質問主意書 学校の標準服(制服)が「女子はスカートのみ」は不合理 どの学校でも子どもたちの声をきけ


「学校における標準服(制服)着用に関する質問に対する答弁書」20190702

 なぜ、学校の標準服(制服)は、女子はスカートなのか? 今年、中野区の小学生が同級生にアンケートをおこない、ズボン、スカート、両方、それぞれ好みがあることを中野区に示したことをきっかけに、全校でスラックスとスカートの選択制になったニュースがありました。実は、文部科学省は昨春、ある公立小学校で有名ブランド製の制服の採用が話題になった際に、教育委員会あてに通知をだし、制服の選定や見直しについては、保護者らの意見をきいた上で決めることがのぞましいとしています。

 しかし、実際は、通知にもとづいて、あらためて子どもたちや保護者の意見をきくということはあまりおこなわれていないようです。そこで、6月20日に政府に質問主意書をだしました。

 1、既に、標準服(制服)を選定している学校についても、改めて、保護者と子どもたちの意見を聞く機会を設けるのが望ましいのではないのか
 2、LGBT等への配慮、小学校ではズボンを着用する女子が多くいる現状、ファッションの自由、並びに防寒対策等を考慮するならば、標準服(制服)を性別に関係なく、自由に選択できるようすることが望ましいのではないか
 3、標準服(制服)の着用は義務づけられていないことを、教育現場および保護者、子どもに対して周知する必要があるのではないか

 7月2日に答弁書が閣議決定されました。3点の問い、いずれに対しても、政府の見解を示さずに、文科省の通知で示した考えをふまえて、「各学校において適切に判断すべき事柄である」との回答。聞いたことに正面からこたえず、逃げの答弁書でした。

 しかし答弁書の中でも、文科省の通知をふまえて各学校で適切に判断すべきというのですから、保護者のみなさん、そして小学生、中学生、高校生のみなさん、学校や教育委員会のみなさんに、標準服(制服)について、好みや意見がある場合は、どんどん、意見を伝えましょう。

 そして、各教育委員会、各学校のみなさんは、生徒・児童、これから新たに入学してくる子どもたちや保護者のみなさんに、積極的に意見を聞いていただきたいと思います。

 なお、都立高校の場合は、池川都議会議員のツイートによると、都立高校等196校中、制服が164校、標準服は16校。そのうち、スカートとスラックスの選択可能な学校は93校(2016年度調査)とのこと。つまり、半分です。

 

学校における標準服(制服)着用に関する質問主意書

 標準服(制服)を性別に関係なく、自由選択できる学校が広がっている。他方、今なお、原則として男子がスラックス、女子がスカートとなっている学校が多数ある。また、標準服(制服)の経済的負担が重い、標準服(制服)を着たくない、等の声もきく。
 そこで、以下質問する。

一、昨年三月十九日、文部科学省は、「学校における通学用服の選定や見直しについては,最終的には校長の権限において適切に判断すべき事柄であるが,その選定や見直しを行う場合は,保護者等学校関係者からの意見を聴取した上で決定することが望ましい」との通知を発出した。
 ところが、文部科学省の通知発出後も、学校側が改めて保護者と子どもの意見を聞く機会を設けることもなく、「原則として男子がスラックス、女子がスカートを着用すること」を依然続けていることが少なくない。政府は、こうした実態をどこまで把握しているのか。
 既に、標準服(制服)を選定している学校についても、改めて、保護者と子どもたちの意見を聞く機会を設けることが望ましいと考える。政府の見解を明らかにされたい。

二、標準服(制服)について、女子にスカート着用の選択肢のみを求めることは、防寒対策並びに動きやすななどの観点からも合理性を欠くのではないか。
  また、LGBT等への配慮、小学校ではズボンを着用する女子が多くいる現状、ファッションの自由、並びに防寒対策等を考慮するならば、標準服(制服)を性別に関係なく、自由に選択できるようすることが望ましいのではないか

三、標準服(制服)の着用は法令等で何ら義務づけられていないことを、教育現場および保護者、子どもに対して周知する必要があると私は考える。政府の見解を明らかにされたい。

右質問する

以上

衆議院議員宮本徹君提出学校における標準服(制服)着用に関する質問に対する答弁書

一について
 お尋ねの「こうした実態」の意味するところが必ずしも明らかではないが、平成三十年三月十九日に文部科学省が各都道府県教育委員会等に対し、「学校における通学用服等の学用品等の適正な取扱いについて(通知)」(平成三十年三月十九日付け二十九初財務第二十六号文部科学省初等中等教育局財務課長及び文部科学省初等中等教育局児童生徒課長連名通知。以下「通知」という。)を発出した後、御指摘の「学校側が改めて保護者と子どもの意見を聞く機会を設けることもなく、「原則として男子がスラックス、女子がスカートを着用すること」を依然続けている」学校の有無及び学校数については把握していない。また、御指摘の「既に、標準服(制服)を選定している学校についても、改めて、保護者と子どもたちの意見を聞く機会を設ける」か否かについては、各学校において適切に判断すべき事柄であると考えている。

二について
 学校における通学洋服の選定や見直しについては、通知において、「最終的には校長の権限において適切に判断すべき事柄であるが、その選定や見直しを行う場合は、保護者等学校関係者からの意見を聴取した上で決定することが望ましい」と示しているところであり、お尋ねについては、このような考え方を踏まえて、各学校において適切に判断すべき事柄であると考えている。

三について、
 御指摘の「法令等」の具体的に意味するところが明らかではないため、お尋ねについてお答えすることは困難であるが、「標準服(制服)の着用」について校則においてどのように定めるかは、二についてで述べたところと同様に、各学校において適切に判断すべき事柄であると考えている。