ハンセン病家族補償 最大180万円対象拡大 超党派議懇了承「国会・政府おわび」明記

 ハンセン病元患者の家族に対する損害賠償を国に命じた熊本地裁判決を受け、家族への補償法案を検討していた超党派国会議員懇談会は24日、補償額を1人当たり最大180万円とする法案の骨子案について了承しました。
 国の誤ったハンセン病隔離政策によって、元患者の子やきょうだいというだけで深刻な差別を受けてきた家族たち。「人生被害」を償うには十分とはいえないものの、補償額は判決よりも増額され、判決で棄却された原告や、裁判に参加していない人も等しく補償対象に含まれます。
 この日議懇が開いた合同会議で、作業部会(WT)は「国会及び政府は、その悲惨な事実を悔悟と反省の念を込めて深刻に受け止め、深くおわびするとともに、ハンセン病元患者家族等に対するいわれのない偏見と差別を国民と共に根絶する決意を新たにするものである」と明記する補償法案の前文案を合わせて発表。また、臨時国会で同時提出される見通しの「ハンセン病基本法」改正法案に、国立ハンセン病療養所の医療と介護に関する体制の整備、充実に必要な措置を図ることが盛り込まれると明らかにしました。
 6月の熊本地裁判決では、米軍統治下時代の沖縄における家族の被害が認められず、沖縄とその他の地域や、元患者の家族であると知った時期によって、原告の賠償額に差が付きました。
 今回の骨子案は、沖縄の人たちを含め広く補償するとしています。原告団などが求めてきた被害者家族全員の「一律補償」がかなりの部分で生かされた形です。提訴後、判決をまたずに亡くなってしまった原告に対しても、省令で名誉回復の一時金を支給するとしています。
 合同会議に同席した原告団の林力団長は「これまで心から支援をしてくれた人や弁護していただいた弁護団の力で、この日を迎えることができ、胸がいっぱい」と語りました。ハンセン病に対する根強い差別、偏見の解消に向けた今後の取り組みにふれ、「原告のわれわれとしても、実際に苦しみや悲しみを受けてきた人生を語って、積極的に役に立ちたい」とのべました。
 合同会議に日本共産党からは、WT委員として高橋ちづ子、宮本徹両衆院議員が出席。赤嶺政賢衆院議員、井上哲士、倉林明子両参院議員も駆けつけました。

以上2019年10月25日付赤旗日刊紙より抜粋