2020年4月3日厚生労働委員会 国の賃金補償不可欠 緊急事態宣言は欠陥
日本共産党の宮本徹議員は3日の衆院厚生労働委員会で、改定新型インフルエンザ特措法の緊急事態宣言について、都道府県知事の要請・指示に基づいて企業などが営業停止した場合、使用者に休業による賃金の支払い義務がなくなる欠陥があるとして、国による賃金補償が不可欠だと迫りました。
厚生労働省の坂口卓労働基準局長は、同宣言に基づいて営業停止の要請・指示がされた場合、「労働基準法上、不可抗力として休業するものであれば、使用者に休業手当支払い義務は生じないと考えられる」と説明しました。
宮本氏は、現在の「自粛要請」では、休業手当の支払い義務があり、多くの使用者は雇用調整助成金(雇調金)を活用するなど支払いの努力をしていると指摘。支払いが義務でなくなれば、労働者にとって賃金の補償がなくなってしまうと強調し、「国が責任をもって賃金を補償するべきだ」と主張しました。
加藤勝信厚労相は「支払い義務があるか否かは個別の判断だ。義務がない場合も、雇調金を利用してもらうべくお願いする」と述べるだけでした。
宮本氏は「法的な義務付けでなく、『お願い』になってしまう。現在、義務があるなかでも休業手当が支払われないとの相談が多くある」と強く主張し、政府の姿勢を重ねて批判しました。
以上2020年4月4日付赤旗日刊紙より抜粋
≪第201回2020年4月3日衆院厚生労働委員会第6号 議事録≫
○盛山委員長 次に、宮本徹君。
○宮本委員 日本共産党の宮本徹です。朝から入国者の待機要請にかかわっての議論がありましたけれども、大臣からは、ホテルの確保、費用負担に後ろ向きな答弁がありました。ですけれども、ホテルのお金が払えない、自家用車で誰か迎えに来る人もいないというので、公共交通機関で帰って、感染拡大につながりかねないということもあるわけですよね。ホテルの側にも結構困っているという話もありまして、誰が待機要請を受けたのかもわからないわけですよね、ホテルも。それで、待機要請者から陽性の判定が出る場合もあるわけですよ。そうすると、そのホテルでは清掃業務にかかわった従業員などを、今、自宅待機にしてもらっているところもあるわけですよね。そういう事態があるから、ホテルの側も受け入れたくないというふうにどんどんなっていくわけですよ。ですから、ホテルの確保だとか、費用負担だとか、あるいは宿泊施設への情報提供など、こういったものへの支援をやはり国は責任を持ってやる必要があると思いますよ、私は。これは通告していないですけれども、小川さんも質問し、与党の伊佐さんも要請し、共産党も言っているんですから、ぜひ検討してください。それだけ申し上げて、質問に入ります。まず、緊急事態宣言にかかわってお伺いしたいんですけれども、特措法に基づいて緊急事態宣言を出して、都道府県の知事の要請で映画館だとかライブハウスだとかが営業停止した場合、企業には労働基準法に基づく休業手当を支払う義務はあるのか。大臣、どうですか。
○坂口政府参考人 お答え申し上げます。今御質問の休業手当でございますけれども、これは労働基準法の第二十六条で規定をしております。使用者の責めに帰すべき事由による休業であれば、使用者は休業手当を支払う必要があるとしております。ただ、不可抗力による休業の場合は、使用者の責めに帰すべき事由に当たらず、使用者に休業手当の支払い義務は生じないと解してございます。新型インフルエンザ特別措置法に基づく要請などがなされている場合には、不可抗力として休業するものであれば使用者の責めに帰すべき事由に当たらず、使用者に休業手当の支払い義務は生じないと考えられますが、しかし、休業する前に使用者として休業回避のための具体的な努力等が行われていないなどの事情がある場合には休業手当の支払いが必要になると考えられます。ただ、いずれにしましても、今般の新型コロナウイルス感染症により事業の休止などを余儀なくされた場合において、労働者の方を休業させるときには、労使でよく話し合っていただいて、労働者の不利益を回避するように努力をしていただくというのが一番重要であろうと考えております。また、労働基準法上の休業手当の支払いが不要である場合におきましても、今般の新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえまして、全国において、解雇等を行わず、雇用を維持する企業に対して、正規雇用、非正規雇用にかかわらず、助成率を中小企業は九〇%、大企業でも七五%に引き上げるなどのさらなる特別措置を講じておりまして、この助成金を活用することによって、任意に休業手当等を支払っていただくよう、事業主を積極的に支援していくということでございます。
○宮本委員 つまり、今は、自粛要請の場合は労働基準法に基づいて賃金を、休業手当を支払わなきゃいけないわけです、自粛要請の段階では。ところが、緊急事態宣言が出たら労基法上の休業手当を支払う義務というのがなくなっちゃうんですよ、さっきも答弁があったとおり。任意でやってもらうんだという話がありましたけれども、これはちゃんと、どうするのかというのをしっかり考えないと本当に大変な事態になりますよ、緊急事態宣言をいざ出すとなった場合に。ですから、緊急事態宣言をもし仮に出すんだったら、この労働基準法上の休業手当の義務がないもとでどうするのか。国として賃金補償をやるんだ、あるいは、どうするのかというのをちゃんと対案を出さなきゃいけないと思いますが、大臣、いかがですか。
○加藤国務大臣 ちょっと、今の委員の理屈が、いま一つ、すとんと入ってこなかったんですが。例えば今でも、例えば北海道等で自粛要請がありました、法律に基づかないわけであります。今回は、仮に緊急事態宣言があって、これは都道府県知事等が実施をされるわけでありますけれども、しかしこれも要請なんですね。ですから、要請の中でそこをどう認識をするのか。要請、ここをとめてくださいといった、そうした具体的なケースがあったときに、その範囲の中で、どこまでそれが事業の縮小や停止にかかるのか、あるいは、その場合であったとしても、ほかの回避する手段、要するに、事業所として、例えばほかの事業所があって、そこで雇用を継続することができないのか等、結果的には個別で判断をしないと、この使用者の責めに帰すべき事由というところ、これはなかなか判断できないというのが実態だというふうに思います。
○宮本委員 要請の段階では、営業自粛を店の人がした場合に、労基法に基づいて休業手当を支払っていますよ、支払おうとしますよね。支払っていないところもありますよ、それは。相談がいっぱい来ていますけれども。だけれども、労基法上はそれは店の側の都合だということで対応しているわけですよ、今は。しかし、今度は、労基法上の、法的な、休業手当をしなきゃいけないという義務づけがなくなるわけですよね。そこをちゃんと見た対応が必要だという話をしているわけですよ。
○加藤国務大臣 いや、ですから、なくなるか、なくならないかは個別に判断をしていかないと、一概には言えないということを申し上げたわけであります。
○宮本委員 いや、ですから、緊急事態宣言で例えば営業停止としたら労基法上の義務はなくなるという話が今答弁にあったわけじゃないですか。答弁にあったじゃないですか、さっき。そう答弁したんですよ。大臣、聞いていなかったですか。そうですよね。一言、そこだけ、労基法上の義務はなくなると。
○坂口政府参考人 お答え申し上げます。先ほど私がお答えしたのは、こういった要請などがなされて不可抗力として休業するものであれば使用者の責めに帰すべき事由に当たらずということを申し上げたということが一点と、あと、大臣からもありましたように、休業する前にいろいろ、自宅勤務の検討であったり、他につかせることができる業務がないかなどの、先ほど私が申し上げました休業回避のための具体的な努力等が行われていないなどの事情があれば休業手当の支払いは必要となるということを申し上げたということでございます。
○宮本委員 ですから、緊急事態宣言に基づいてということでそのお店をとめなきゃいけなくなった場合は、義務はなくなっちゃうわけですよ。さっきの説明のとおりですよ。ですから、その際にどう対応するのかというのをちゃんと、やはりそれは、政府としてそういう場合も賃金補償をしますということがないと。緊急事態宣言をやって何の補償もありませんという話、おかしいでしょう。
○加藤国務大臣 いや、だから、今の局長からの答弁は、要するに、新型インフルエンザ特別措置法に基づく要請などがなされている場合に、これが不可抗力として休業するものであれば使用者の責めに帰すべき事由に当たらず、使用者に休業手当の支払い義務は生じないということで、さらに、しかし、休業する前に使用者として休業回避のための具体的努力等が行われていないなどの事情がある場合には休業手当の支払いが必要になることがあるということを言っているわけなんですね。したがって、委員おっしゃるように一律的にどっちかということを言っているわけじゃなくて、結果的に個々のケースを見ながら見ていかなきゃなりませんし、それから、不可抗力のところも、それが不可抗力なのかどうかという個別の判断が求められるということを申し上げているわけであります。
○宮本委員 ですから、その不可抗力のケースがあるわけですよ。不可抗力のケースが、当然。政府が緊急事態宣言を出して、ここの映画館を閉めてください、ここのライブハウスを閉めてください、ここの飲み屋さんを閉めてくださいと、要請に加えて指示までできるわけですよ、今度は都道府県知事が。そうですよね。不可抗力で閉めざるを得なくなった場合の、その場合は労基法上の義務づけがなくなっちゃうという仕掛けになっているわけですよ。だから、そこはどうするんですかという話をしているわけですよ。そこもちゃんと、政府として賃金保証をやっていきますと言ってくださいよ。
○加藤国務大臣 いや、ですから、賃金補償じゃなくて、そういう場合でも休業手当が支払われれば当然雇用調整助成金が出されるわけでありますから、それを利用するべく、我々としては周知をするわけであります。それから、申し上げておりますように、一律になるわけではなくて、個々のケースごとに判断するということが当然求められるということ、これは先ほどから局長も答弁されているということであります。
○宮本委員 ですから、雇調金を使って支えますよという話をするわけですけれども、だけれども、企業の側は今度は、今までは休業手当を払わなければ違法だったわけですよ、それは労働者の側がそこで争えるわけですよ。ところが、違法じゃなくなるわけですから。雇調金を使って休業手当を出さなくても違法じゃなくなっちゃうわけですよ、皆さんの見解でいえば。私はこれはおかしいと思いますけれども、そういう事態になるから、そこはちゃんと、政府として責任を持った対応をするということを言っていただかないと。そうでしょう。だって、皆さん、企業の経営者はみんな善人だと思っているんですか。みんな悪人とも言わないですけれども、だけれども、現に今だって、労基法上は休業手当を払わなきゃいけない状態でも休業手当が出ないという相談がいっぱい労働組合に来ているわけですよ。ましてや、今度は労基法上の義務づけがなくなって、どうするのかという話になるわけですよ。そこは政府として責任を持ちますと、責任を持ってどうしますというのをちゃんと言ってくださいよ。
○加藤国務大臣 いや、だから、委員は義務づけがなくなると言っておられるから、そうではないということを申し上げているので、ケース・バイ・ケースだということは、先ほど局長も含めて答弁はさせていただいている。更に加えて、そうした場合においても、私どもとしては、雇用調整助成金という制度をもって引き続き休業手当を支払っていただくべく、これはお願いをしていくということになるんだろうというふうに思います。
○宮本委員 だから、法的な義務づけじゃなくて、お願いベースになっちゃうわけですよ。そこをどうするのかというのが、もう一段考えていただきたいということを強く申し上げておきたいというふうに思います。その上で、病床の確保の問題についてお伺いしますけれども、前も、これは予算委員会で二月に問題提起させてもらったことがありますけれども、一般の病院が病床を確保しようといったときに、そのとき大臣からはお金を出しますよという話があって、一ベッド当たり、この間聞きましたら、一万六千百九十円だという話だったんですね。ですけれども、ワンフロアあけて待っているということになったら、それまでベッドをフル活用している状態からすると病院は当然減収になるわけですけれども、この一万六千百九十円というのだと病院は減収になるんじゃないですか。
○宮嵜政府参考人 今委員から、病床一床当たりの確保、一日一万六千百九十円ということのお話がありましたが、国としてこの額の補助を行っているところでございますが、これは、診療報酬の一般病棟入院基本料、急性期一般入院料の千六百十九点を踏まえて金額を設定させていただいたものでございます。
○宮本委員 ですから、私はそういうことを言っているんじゃない、それだと、フロアをあけて待っていたら病院は減収になるんじゃないですかということを伺っているわけですよ。病院の経営もかつかつでやっているわけですよね。ですから、今はベッドをできるだけ埋めて患者さんを診ているわけですけれども、これから新型コロナの患者がどんどんどんどんふえてくる、そのために病床をあけてください、わかりました、では協力しますというふうになったときに、あけている間、待っている間は、患者を診ているような状態の収入よりも、この一万六千百九十円では減ってしまうんじゃないですかという話をしています。
○宮嵜政府参考人 お答え申し上げます。今先生御指摘のように、患者さんを診ていれば、その分の診療行為の診療収入もございますし、それに対するコストもかかっているかと思いますが、ここはあくまでも空床確保の額ということで、先ほど申し上げました診療報酬点数千六百十九点を踏まえて設定させていただいたところでございます。
○宮本委員 ですから、質問に答えてください。収入は減っちゃうんじゃないですか。空床状態だったら減っちゃいますよね。
○宮嵜政府参考人 お答え申し上げます。今申し上げましたが、患者さんを診るとそのほかの診療収入もございますので、当然それがない分は収入としても下がりますし、逆に、空床ですので、コストもその分は、人件費とか、かかっていない分は下がるというふうに考えて、空床の確保料として、先ほど申し上げました点数をもとに金額を設定させていただいたところでございます。
○宮本委員 ですから、これから一般病院にお願いして、一般病床を使って新型コロナの患者を受け入れていくというときに、当然、一部屋だけということじゃないんですよね、病棟単位だとかフロア単位であけなきゃいけないわけですよね。それはどれぐらいの期間になるかわからないし、患者がふえたり減ったりということをするわけですよね。そうすると病院は減収になるんじゃないかという心配のお話を、私も病院関係者から聞くわけですよね。そこはそういうふうにはならない措置をとりますよということをちゃんと政治の側がはっきり言わないと、病床の確保というのが思ったように進まない状況が生まれるんじゃないですか。
○加藤国務大臣 そこは、局長から答弁させていただいたように、当然、そこに患者さんが入ればさまざまな治療がなされるわけですから、それに伴う収入もある、しかし、他方で、患者さんが入っていないわけですから、そうした意味でのケアも必要ないという、そこを見ながらこの一万六千百九十円ということが算定されたというふうに承知をしているところであります。したがって、確保できないかどうかという問題でありますけれども、これについては、今、私どもが出させていただいた算式をベースに、それぞれの都道府県ごとに、外来がどのくらい、入院がどのくらい、重症者数がどのぐらいという算定をし、それを含めた病床等の確保を今していただいておりますし、また、その実態も今私どもの方へ報告をお願いしているところでありますから、そういった意味での病床確保がしっかりと行われるように、これは引き続き努力をしていきたいと思います。
○宮本委員 ですから、これで必ず病院の経営が成り立つだけの収入だという根拠があることも大臣は言えないわけじゃないですか。そうすると、実際、今、一万六千百九十円ですと。その結果、いっぱいもらっても、またこれも悲しい事態なわけですけれども、何とかそれで収入としても成り立つ場合もあるかもわからないし、実は、あいている期間、フロアのかなりの部分が埋まらないという事態が長い間続くということによって逆にマイナスになる病院も出る可能性もあるわけですよね。ですから、そういう場合であっても、最終的には、コロナの対策で感染症対策に協力した病院が減収になる、赤字になる、そういうことにはならないようにしますよと、そういうことは政治としてはっきりとアピールしておく必要があるんじゃないですか。
○加藤国務大臣 ですから、確保についてはこういう形で既に出させていただいて、これまでもこういうことでやらせていただいているということであります。ただ、この病院がさらに新型コロナウイルス患者を受け入れて、そしてさまざまな費用がかかってくるということが当然あり得ます。それに対しては、そうした受入れに対しては我々はいろいろ考えていかなきゃならないだろうということで、今検討をしています。
○宮本委員 受入れに対して出すのは当然なんですよね。でも、確保の部分についても、受入れと確保とセットでですよ。セットで、感染症対策に協力した病院が結果として減収にならないように、そこはそうしますよということを言っていただければいいんですよ。
○加藤国務大臣 それは、個々の病院の経営まで一つ一つというのは、これは、もともと診療報酬でやっていますから、それを診療報酬の中でどう決めていくのかということになるんですね。ですから、確保についても、これだけの確保のお金を払わせていただきますよと。それから、これは今、中で議論しているところでありますけれども、受け入れていただいた場合、これから新型コロナウイルス患者を受け入れた場合にはこうなりますよということはしっかりとお示しをさせていただきたいと思いますし、そこにおいては、これまでの診療報酬等も踏まえながら、必要な金額を確保していくべく努力をしたいと思います。
○宮本委員 個々の病院と言いますけれども、個々の病院によって、結果としてですよ、私が言っているのは、コロナ対策の部分について言っているわけですよ。コロナ対策の部分について、ベッドの埋まり方だとかいろいろなことによって、空床のある期間によって影響が出るわけですから、そこはちゃんと、受入れと、病床の確保と、もろもろで、感染症対策にかかわったところにはしっかり出す、そうしていただきたいということを言っているわけです。そんなに難しい話を私は言っていないと思うんですよね。そんなに難しい話は言っていないでしょう。
○加藤国務大臣 いや、ですから、それぞれ、必要な診療報酬を確保して対応させていただきますということを申し上げているわけであります。
○宮本委員 ですから、それは空床の期間によって結果として違うことが出ますよということを言っているわけです、私は。そこを検討してください。時間がなくなってまいりましたので、次の問題に行きます。医療も今、受診抑制がかなり広がっておりますし、それから、介護や障害者福祉でも利用控えというのが広がっております。デイサービスでも感染拡大のリスクを恐れて利用控えがある、障害者福祉でも就労継続支援だとかの利用者が減っておりますし、イベントが軒並み中止になっているので、物をつくっても売れないので作業ができない、工賃が出せない、こういう相談も受けております。こういうことなんですよね。このままでは医療、介護、障害者福祉は、医師会からも要望を受けていると思いますけれども、病院もかなり患者さんが減っていますよね、医療、介護、障害者福祉は大幅な減収になるところが少なからず出るわけですよ。病院なんかからは五月が怖いというお話を、診療報酬が三月分が入ってくる、そういうお話もたくさん聞きます。ですから、医療、介護、福祉を崩壊させない、新型コロナの影響による減収分はちゃんと補填していく、こういう姿勢がまた政治として必要だと思いますが、大臣、その点。この間の本会議の総理の答弁は、いろいろな制度をつくっている、あとは雇調金と無利子無担保融資がありますよという話をしていたんですけれども、とにかく、この中で、介護事業者が倒産していくだとか、障害者福祉が立ち行かなくなっていく、絶対にそういう事態があってはならないと思いますので、そうならないような手だてをとるというお約束をいただきたいと思います。
○加藤国務大臣 地域の医療や介護や障害者福祉等々を崩壊させないようにすることは非常に大事だと思います。さまざまな事業活動の中で発生する民間事業者の個別の損失を直接補償することは困難、これは先日も総理が言われたところでありますし、これはベースになるというふうに思いますが、その上で、医療、介護、障害者福祉サービスを行う事業者に対しては、一時的に人員の基準を満たすことができない場合にも報酬は減額しない等の特例を設けております。さらに、先ほどからお話をしておりますが、利用抑制による減収等に対しては、無利子無担保を内容とする融資による支援、さらには、もちろん、雇用の面からの雇用調整助成金というのも当然あるわけであります。さらに、今、補正予算について議論をさせていただいておりますけれども、感染拡大防止策、医療提供体制の整備等を掲げておりますので、具体的に、例えば障害福祉サービスをされているところが他のサービスを実施していく、代替をしていただく、それによって利用者の生活を支えていただく、これは非常に大事でありますから、それを踏まえる中で、どういう対応ができるのか、そういったことを今議論させていただいているところではあります。
○宮本委員 補正予算でしっかり対応していただきたいと思います。それから、具体的に、他のサービスを代替した場合、他のサービスといいますか、やり方を変えた場合でも出しますよという通知が出ていますよね、介護にしろ、障害者福祉にも。こういう話があったんですよね。障害者の入所施設が、感染防止のために利用者が一時帰宅し、そこへ電話をかけて相談したり、ケアしたりとやって支援をしている。しかし、自治体からは、国からの通知というのは通所施設の話なので、入所施設については対応するものじゃないんですといって、一時帰宅して収入が減った分について対応しませんと言っている自治体があるわけですよね。これは私は是正が必要だと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○橋本政府参考人 先ほど来大臣から答弁がございますように、感染拡大防止を行いながら障害者の生活をしっかりと支えていくということは大変重要でございますし、そのためにも、障害者の福祉サービスを提供しております事業所をしっかりと支援していくということは大事でございます。それで、御指摘の事務連絡でございますが、例えば、自治体から要請を受けて休業している場合ですとか、あるいは、職員や利用者などに感染するおそれがある等、サービス事業所での支援を避けることがやむを得ない、そのように市町村が判断する場合などにおきまして、居宅等で相談支援に応じるなど、できる限りの支援を実施したというふうに市町村の方で判断される場合には障害福祉サービスの報酬を請求することができるといったことなどを示しているものでございます。この取扱いにつきましては、数次にわたり私どもは各自治体の方に周知をさせていただいておりますが、必要に応じて、さらなる周知徹底を図ってまいりたいと考えております。
○宮本委員 通所施設というふうに読んじゃっている自治体もありますから、入所施設というのも含めて、わかるように、次の周知をやるときは書いていただきたい。うなずいていただいているので、わかっていただいたと思います。あと、就労継続支援B型のところからこういう話を聞いているんですよね。今、基本の報酬単価というのが、就労継続支援B型というのは平均工賃で出すわけですね。前年の平均工賃に基づいて基本の報酬の単価が変わるという仕組みになっています。ですけれども、先ほどお話ししましたけれども、今、例えばイベントで物を売っているようなところなんかは、イベント自体がないですから、作業自体をやっていないところもあるんですよね。来てもやることがない、工賃も払えないという事態になっているわけです。そうすると、今も大変な事態なんですけれども、今の仕組みでいうと、翌年にも響いちゃうんですね、平均工賃で基本の単価を変えるという仕組みをつくっていますから。ここについてはちょっと特別な対応が必要だと思いますが、大臣、どうでしょう。
○橋本政府参考人 御指摘の平均工賃の問題、これは、就労継続支援につきましては平均工賃に応じた形で報酬を支払うという形になってございます。これにつきましては、令和元年度の年度末におきまして今回のような異常事態が起きているわけでございますので、そういったところにつきましてはカウントせずに、通常のベースにのっとったところで算定できるような、そういった特例的な取扱いをさせていただいておるところでございます。
○宮本委員 これはずっとこの数年続きますから、この仕組み自体を、私は、この際、この仕組み自体がおかしいとずっと言ってきましたけれども、見直した方がいいということを申し上げておきたいと思います。最後に、住まいの問題について伺います。派遣切りで職と住まいを一度に失うという事態が広がっております。公的住宅の空き室を住まいを失った方に無償提供するだとか、あるいはセーフティーネット住宅等を行政が借り上げて住居を失った方に無償提供する、こういうことが必要じゃないか、これが一点。あともう一点は、家賃が払えないということで新たに住まいを失う方が出ないように、住宅確保給付金の拡充ですね。この要件は、今、離職者だとか六十五歳未満といった要件があるわけですけれども、この要件の変更、こうしたものも含めて、収入減少によって住まいの喪失のおそれがある人全般に対象を拡大するだとか、こういった措置が必要じゃないかと思いますが、これは国交省と厚労省に、双方にお願いします。
○谷内政府参考人 お答えいたします。議員の一点目の御指摘なんですけれども、国交省への質問でございまして、昨日、質問の対応の際に国交省ということを申し上げまして、秘書の方にはそれで了解をいただいておるんですけれども、きょうは国交省は呼ばれておりませんので、私の方から二点目の質問だけ答えさせていただきます。(宮本委員「国交省は何で来ていないの」と呼ぶ)通告をされておりませんので。では、私から二点目の質問だけ答えさせていただきます。生活困窮者自立支援法に基づきまして、離職や廃業により経済的に困窮して住居を失うおそれがある方等に対しまして、求職活動等を要件といたしまして住宅確保給付金を支給することにより、安定した住まいの確保と就労の支援を行っているところでございます。新型コロナウイルス感染症の拡大の影響によりまして住居を失うおそれがある方への支援につきましては、今般の状況に鑑みますと、さらなる対応が必要と考えておりまして、現在検討を進めているところでございます。 なお、六十五歳未満という支給要件につきましては、高齢者の雇用が進んでいる状況も踏まえまして、ことしの四月一日からもう既に撤廃をしておりまして、年齢にかかわらず支援を行えることになっているところでございます。
○宮本委員 ちょっと、国交省のは、もしかしたら、どこで詰まっているのかわからないですけれども、うちの事務方のところで詰まってしまったのか、よくわからないですけれども、後で国交省についてはお伺いします。最後ですけれども、生活福祉資金貸付制度が今始まっています。給付金自体は一世帯当たり三十万というのを今度の補正予算という話が出ていますけれども、補正予算が通った後、現金が、給付金が届くまでは大分あるわけですよね。その一方で、今、消費者金融にも頼っているという話を聞くわけですよ。そういう話を聞いたら、いや、こういう制度があるんですよと私は伝えているんですけれども、余り制度が知られていないんですよね。実際、社協へ行けば行列ができているんですけれども、十万円こっきりしか借りられないと思ったりとか。三カ月、二十万借りられるだとか、いろいろな仕組みがあるわけじゃないですか。そういうことが伝わっていなくて、必要なお金がないということで消費者金融に行っている方もいますので、いろいろな形で、当面、SNSも使って抜本的な告知をしないと大変なことになるなと思っていますので、その点、対応をよろしくお願いしたいと思います。
○盛山委員長 持ち時間がもう既に経過しております。簡潔にお願いします。
○加藤国務大臣 はい。まさに新型コロナウイルス感染症の拡大が経済にさまざまな影響を及ぼしている中で、生活が困窮される方に対しての制度としてこれを活用していただきたいと我々は思っておりますので、今委員御指摘のように、周知、いろいろな形で、今でも厚労省はツイッター等でも発信をさせていただいておりますけれども、あるいは自治体にさまざまなリーフレットを置かせていただいているところでありますけれども、更にそうした周知を図っていきたいというふうに思います。
○宮本委員 ツイッターで流すよりも、LINEでどかんと八千万人に届けるという手もありますので、よろしくお願いします。時間になりましたので、終わります。