2020年4月24日厚生労働委員会 軽症者施設確保への人的支援、歯科の減収補填、医療・介護・障害者福祉事業所への支援を
日本共産党の宮本徹議員は4月24日の衆院厚生労働委員会で、新型コロナウイルス感染症の軽症患者向け宿泊療養施設の確保と、新型コロナの影響により減収が続く歯科医療機関や障害者福祉の事業所などへの踏み込んだ支援を求めました。
厚労省は現在、軽症患者の療養はホテルなどの宿泊施設を基本とする方針を示しています。宮本氏は、方針を実効あるものにするため、医療スタッフの必要人数の把握と確保を求めました。
また、宮本氏は、政府から治療の延期を求める事務連絡が出されている歯科医療機関の経営問題を取り上げました。
厚労省の吉田学医政局長が、特に厳しい状況にある歯科医療機関は、「持続化給付金のご活用もいただける」と答弁したのに対し、宮本氏は、持続化給付金の額では「家賃の一部にしかならない場合も少なくない」と指摘。医療機関や介護施設、障害者施設も収入が大きく減っているところがあるとして、対策を求めました。
吉田局長は、通所サービス事業者が居宅の訪問や電話で安否確認を行った場合、特例で報酬の算定を可能にすると答弁。宮本氏は「利用者側からすれば、電話だけなのに利用料がかかることになる」と強調。報酬引き上げや支援金など実態に見合った対策を求めました。
≪第201回2020年4月24日衆院厚生労働委員会第10号議事録該当部分抜粋≫
○盛山委員長 次に、宮本徹君。
○宮本委員 日本共産党の宮本徹です。まず、新型コロナウイルス対策について質問いたします。埼玉県で、お二人の方が自宅療養中に亡くなるということが起きてしまいました。大臣は、昨日、軽症者の方は宿泊施設が基本だということを表明されました。その上で、都道府県が宿泊施設を用意する上での国の支援がどうなっているのかということなんですよね。聞こえてくるのは、やはり人的配置をするのが大変だ、医療関係者の確保が大変だということが自治体からは聞こえてくるわけですけれども、その辺の支援が不十分なんじゃないでしょうか。
○吉田政府参考人 お答え申し上げます。宿泊療養をそれぞれの都道府県が選択をしてそれぞれ展開していただくに当たりましては、私どもとして、その運営に当たっての一つのマニュアルの形で、一定の方向性についてお示しをしてございます。その中には、委員御指摘いただきましたように、利用される方々の健康状態をフォローするための一定のスタッフについてもお示しをしてございますし、それに必要な経費につきましては、今回補正において盛り込むことにしております包括支援金などについての御活用もいただきながら、必要な経費についてはきちっと対応させていただく。その中で、それぞれの地域において、関係者の方々の御理解、例えば地域の医師会の関係者の方々あるいは看護協会の方々にも御協力をいただきながら必要な体制をとっていただいているというふうに理解しておりますので、そのあたりが、私どもとしてもしっかり支援をさせていただきたいと思っております。
○宮本委員 しっかり支援できていたら、軽症者の施設はもっとたくさん確保できているわけですよ。実際はそうなっていないわけですよね。総理はたしか、記者会見でこの軽症者の問題を言われたときに、必要ならば自衛隊の医療スタッフも動員してやるんだということをおっしゃられたと思うんですよね。私、そういう記憶がありますよ。軽症者の施設を早く用意しないと、またこういう事態が続くかもわからないわけですよ。自治体が一生懸命、それは医師会とも協力して人を募る、募るのにまだ手が挙がらない段階では、政府の医療スタッフも含めて、軽症者施設を早く用意するために力を尽くすべきなんじゃないですか。大臣、御答弁をお願いします。
○加藤国務大臣 ですから、私どもとして、どういうホテルのグループが受け入れてくれるのかということを、これは観光庁が中心になって情報を集め、それをそれぞれの地方自治体に提供させていただいています。それから、自衛隊に関しても、当初の立ち上げを中心にそうした対応もさせていただくということを申し上げております。主として、予算については、先ほど局長が申し上げたような、そうした宿泊療養施設をつくるに当たっての物的な整備の支援、また人的な配備をすることに対する支援、こういったことも今回の交付金の中に盛り込んだり、場合によっては診療報酬を活用していただいたり、そういったことで対応させていただくということも御説明をさせていただいております。したがって、環境としては我々はできる限りの対応をさせていただき、そしてその中で具体に、それぞれの地域が具体的に、ホテルの中で、動線等も考えながら、ではこのホテルを使いましょうと。そして、地元の医師会等とも御相談をされながら、どうした人的な支援、医療的な支援を受けていくのか、そういったことを今立ち上げていただいて、三十二の都道府県において既に実施をし、あるいは準備に入っている、こういうふうに承知をしているところでありますが、更に県が拡大していくこと、またそれぞれ都道府県において更に宿泊療養の体制がより強化していけるように、更に我々も支援をしていきたいと思っています。
○宮本委員 ちょっと確認したいんですけれども、今、政府の医療スタッフは、軽症者の施設に対して何人が協力されているんでしょうか。
○吉田政府参考人 お答えいたします。政府のというところをいま一つ私どもは受けとめかねているのかもしれませんが、先ほど大臣から答弁がありましたように、これまでの経緯の中におきまして、例えば東京都のように、立ち上げ期における必要に応じて、都道府県からの御要請に応じた自衛隊の応援というのもいただいております。現時点、今々について、地域においてどのような体制を日々組んでおられるかをすべからく把握している、今の時点、この手持ちではございませんが、それぞれのニーズに応じて、私どもとして、必要があれば、またそれについての御相談に応じてまいりたいと考えております。
○宮本委員 実際にどれぐらい医療スタッフが足りなくて、まだ確保できていないんだったらこれだけ出しますよ、そういう相談を詰めて、急いでやっていかなきゃいけないんじゃないですか。埼玉では、確認されたうちの半分ぐらいの方が自宅療養ということになっているわけですよね。物すごく不安だと思いますよ、今、自宅療養をされている皆さんは。このコロナの特徴は、とにかく症状が悪化し始めたら急速に悪くなるということなんですから、だからこそ大臣も、基本はこれからは宿泊施設で、医療スタッフがいるところでということで方針を発展させたわけですから、それを実効あるものにしていただきたいというふうに思いますが、大臣、いかがでしょう。
○加藤国務大臣 いや、先ほど局長が申し上げたように、政府のというのは、我々自身、国立のそういったものを持っているわけでもありません。今は、JCHOとか、それぞれ独立行政法人であります。あるいはナショナルセンター。きのう東京の施設に行きましたけれども、国立国際研究センターからスタッフが実際に出ているわけでありますから、それを幅広く政府のといえば、そういった支援もさせていただいております。ただ、限定的に言えば、政府のというと厚生労働省にまさに医務技監、医務の関係の方がおられますが、これは行政職としておられるわけでありますので、直接に我々はそれだけの手持ちを持っておりませんが、ただ、国の持っているそうした公的医療機関も含めて、また、先ほど申し上げたように自衛隊においてもそうした対応を図るということ、これを地方に対しても申し上げているところであります。
○宮本委員 実際にどれだけ足りないのかというのを把握して、進めていっていただきたいと思います。それから、二つ目ですけれども、病院の減収に対する支援策についてお伺いしたいと思います。一つは歯医者さんなんですけれども、歯医者さんは、まさに、治療するときに唾液がかかるという職業ですから、感染者がいた場合は感染リスクが一番高いところになるわけですよね。そういう中で、政府自身の事務連絡で「歯科医師の判断により、応急処置に留めることや、緊急性がないと考えられる治療については延期することなども考慮すること。」こういうふうになっています。ですから、私なんかが聞いても、歯医者さんも、緊急じゃないものについては、歯のメンテナンスなんかについては来ないでくれというのをとりわけ高齢の方々にはずっとお話ししているというお話も伺っております。それから、テレワークの影響もあって、都心なんかの歯医者さんは三月の半ばぐらいから患者さんが激減しているという話を聞いているわけであります。政府の側から治療を延期してくれということを言われて、診療報酬が歯医者さんのところはがんと減るわけですよね。歯医者さんの場合は、オンライン診療だとか電話で診療といっても、やれることは限られるわけですよ。入ってくる収入は、ほとんどがやはり実際に会わなきゃできない仕事ですから。これについてはちゃんとした支援策をとらないと閉院するところが相次ぐんじゃないかと思いますが、この点の支援、どうされるんでしょうか。
○吉田政府参考人 お答えいたします。委員御指摘いただきましたように、歯科医療機関におきましては、治療時に唾液等を含む飛沫が生じる歯科診療所の特性を踏まえた留意点、特に院内感染対策として四月六日に事務連絡を発出させていただいて、今引用いただきましたように、歯科診療を行う上で、歯科医師の判断によって、応急処置にとどめることや、緊急性がないと考えられる場合に治療の延期を考慮するということもお示ししてございます。さらに、外出自粛というものの要請を行っておりますので、そのような影響などもあって、歯科医療機関においては収入の減少等の影響があるものというふうに私どもは関係者の方々からお話を伺っております。そのための支援策といたしましては、福祉医療機構が行う融資におきまして、新型コロナウイルス感染症の影響によりやむを得ず機能停止等となった歯科医療機関に対する無利子無担保という形での優遇や、日本政策金融公庫等による実質の無利子無担保の融資、さらには、資金供給の円滑化を図るために、信用保証協会のセーフティーネット保証五号の対象業務に四月の十日から追加をさせていただいております。さらに、経済上の理由により事業縮小が生じた場合には、その事業主が雇用調整のために労働者を休業させ休業手当を支払った場合として、雇用調整助成金による支援、これに加えまして、特に厳しい状況にある歯科医療機関につきましては、今後、中小企業等を対象とする持続化給付金の御活用もいただけるものと承知をしております。
○宮本委員 持続化給付金、先週ここで総理とも議論させていただきましたけれども、その額では家賃の一部にしかならないような場合も少なくないわけですよね、とりわけ都市部では。ですから、もっと踏み込んだ支援が必要だというふうに思います。きょう資料を配付させていただいておりますけれども、こっちは歯医者じゃなくて普通の診療所や病院ですね、東京保険医協会の方が四月の半ばに行われたアンケートの結果です。これは二十日に集計されたものですけれども。四月上旬はどうだったのかということで、外来患者が大きく減ったと。保険診療収入で見れば、半減以上したというところを足せば三割を超えるんですよね。電話再診だとかがどんどんふえているわけですけれども、電話再診では全部の診療報酬は補えるわけはないわけであります。とりわけ、病院の中でも精神科なんかは、通院精神療法の点数は、これは電話再診ではとれないから、収入が減って本当に大変だというのがこのアンケート結果には書かれておりました。ですから、このままでは閉院に追い込まれそうだという声が、幾つもこのアンケートの自由記述欄には書かれておりました。こういうところもしっかり支援していく必要があると思いますし、私、この間、何度も申し上げてきましたけれども、介護あるいは障害者福祉も利用の抑制によって収入が大きく減っているところが少なくありません。こういうところへの踏み込んだ支援策がどうしても欠かせないんじゃないかと思いますが、この点、いかがでしょうか。
○吉田政府参考人 お答えいたします。新型コロナウイルス感染症の影響、医療機関あるいは介護福祉、障害福祉事業者、それぞれに事業の継続に支障が生じているというお声をいただいておりますので、私どもとしては、それをしっかり、お話を伺いながら支援を行っていきたいというふうに考えてございます。具体には、医療機関として、先ほど御答弁申し上げましたような、福祉医療機構あるいは政策医療金融機構、さらには信用保証協会などによる取組を行っておりますのに加えて、診療報酬において、重症の新型コロナウイルス感染症患者の診療にさらなる評価が必要であることなどを踏まえまして、当該患者に対する一定の評価、治療への評価を二倍に引き上げさせていただきました。また、介護サービス、障害福祉サービスにおきましては、通所サービス事業者が居宅を訪問してサービスを提供した場合や、電話による安否確認等を行った場合に特例として報酬の算定を可能とする取扱いを示しているところでございます。引き続き、私どもとしては、関係者の方々のお話を伺いながら、いろいろな形から支援をさせていただきたいというふうに考えております。
○宮本委員 介護についても電話でもいいですよ、障害者福祉も電話でもいいですよというのを特例としてやられたわけですけれども、利用料が発生するわけですよね、使う側には。なかなか、例えばデイサービスに来られなくなった方々に電話で、事業者の側はそれで救われるかもわからないですけれども、利用者の側からすれば、電話だけなのに利用料なんですかという話が出てくるわけです。そうすると、事業者の側も、デイサービスに来ていなくて電話だけで、では利用料をお願いできるかといったら、なかなかできないという話になっちゃうわけですよ。ですから、もうちょっと実態に見合った支援策が必要だと思うんですね。やはり、報酬を引き上げていくだとか、あるいは支援金を、自治体でも出しているところがあるじゃないですか。福岡市なんかは、医療機関に対しても、介護施設に対しても、障害者施設に対しても出しているわけですよね。そういうものをぜひ検討していただきたいというふうに思います。~以下略~