2020年5月11日予算委員会 検察庁法案撤回求める

 日本共産党の宮本徹議員は11日の衆院予算委員会で、短文投稿サイト「ツイッター」で9,10両日に検察庁法改正案への抗議の声が500万件に上ったことを示し、安倍晋三首相に同案の撤回を強く要求しました。
 宮本氏は、安倍政権に近いとされる黒川弘務東京高検検事長の勤務延長を従来の法解釈を覆して閣議決定したうえ、ときの政権の判断で検察幹部の勤務を延長し、検察人事に恒常的に介入する仕組みを制度化する法改正まで狙うのは「三権分立をゆるがす独裁者の発想だ」と批判。演出家の宮本亞門氏など著名人の声も示し、「国民がみんなで自粛し新型コロナウイルスとたたかっているさなかに、自らの権力を守る悪法を押し通すのは〝火事場泥棒”だと国民に映っている。この国民の怒りをどう受け止めるのか」と追及しました。
 安倍首相は、「検察官も一般職の国家公務員だ」として、「口頭決裁」にすぎない森雅子法相による法解釈変更は「適切」だったと強弁。同法改定で「内閣の恣意(しい)的な人事が行われるとの懸念は当たらない」との従来の説明を繰り返しました。
 宮本氏は「国家公務員と区別し、ときの政権が検察官の人事に介入できない仕組みでやってきた。そこになぜ手をつけ、ときの政権が介入できるようにするのか」と述べ、著名人も含む市民の意思表示はかつてない事態だと強調。「さきほど答弁したとおりだ」と逃げる首相に、「国民の怒りの声に耳を傾けるつもりはない姿勢に、国民はますます危惧を持つ」と述べ、法案撤回を重ねて要求しました。

以上2020年5月12日付赤旗日刊紙より抜粋

≪第201回2020年5月11日衆院予算委員会第22号議事録該当部分抜粋≫

○宮本委員 ~略~ 枝野さん、後藤さんからも質問がありましたけれども、検察庁法の問題であります。この週末に、検察庁法改正案に抗議します、このハッシュタグをつけて、ツイッター上でデモが行われました。この週末二日間で約五百万のツイート、キョンキョンやきゃりーぱみゅぱみゅ、あるいは西郷輝彦さん、浅野忠信さん、いきものがかりの水野良樹さんなど、著名な方々、芸能人の皆さんも多数が参加されておられました。時の総理をも起訴することができるのが、検察官の職務であります。だからこそ、政治的中立性と独立性が不可欠であります。ところが、安倍政権はこの間、これまでの法解釈をひっくり返して、黒川氏の勤務延長を閣議決定いたしました。さらに、今度は法改正までして、政権の判断で検察幹部の勤務延長ができ、時の政権が恒常的に検察官人事に介入できる仕組みを制度化しようとしております。私、はっきり言って、三権分立を揺るがす独裁者の発想だと言わなければならないと思っております。演出家の宮本亜門さんは、ツイートの中で、このコロナ禍の中、集中すべきは人の命、どう見ても民主主義とはかけ離れた法案を強引に決めることは、日本にとって悲劇です、こうツイートされています。俳優の井浦新さんは、こうツイートされています。もうこれ以上、保身のために都合よく法律も政治もねじ曲げないでください、この国を壊さないでください、こうツイートされております。国民みんなで自粛をして、新型コロナと戦っているさなかに、みずからの権力を守るために悪法を押し通す火事場泥棒だと国民に映っているわけであります。総理、この国民の怒り、どう受けとめていますか。
○安倍内閣総理大臣 検察官も一般職の国家公務員であり、国家公務員法の勤務延長に関する規定が適用されるとの今回の解釈変更は、検察庁法を所管する法務省において適切に行ったものと承知をしております。その上で、今般の国家公務員法等の改正法案の趣旨、目的は、高齢期の職員の豊富な知識、経験等を最大限に活用する点などにあるところ、検察庁法の改正部分の趣旨、目的もこれと同じであります。また、今回の法改正においては、検察官の定年延長に当たって、その要件となる事由を事前に明確化することとしており、内閣の恣意的な人事が今後行われるといった御懸念は全く当たらないということをはっきりと申し上げておきたいと思います。(発言する者あり)
○棚橋委員長 御静粛にお願いいたします。与野党とも御静粛に。
○宮本委員 いや、国家公務員並びにしちゃだめなんですよね。国家公務員と区別をして、政治が、時の政権が人事に介入できないように今まで検察官の仕組みはやってきたわけですよ、定年延長の制度を。そこになぜ手をつけて、検察官の人事にまで時の政権が介入できるようにしようというんですか。私は、先ほど総理にお伺いしたのは、これだけたくさんの方がツイッターで、著名人の方まで含めて、市民、国民が意思表示したのはかつてない事態ですよ、これをどう受けとめているのかということを伺っているんですよ。その点を答えてください。(発言する者あり)
○棚橋委員長 御静粛にお願いいたします。
○安倍内閣総理大臣 先ほど答弁したとおりであります。(発言する者あり)
○棚橋委員長 まず御静粛に。与野党ともに御静粛に。宮本徹君、恐縮ですが、申合せの時間が来ております。手短にお願いします。
○宮本委員 全く国民の怒りに応えていない、国民の声に耳を傾けるつもりもない、そういう姿勢に、国民はますます今度の検察庁法を通そうということに危惧を持つと思いますよ。検察庁法の改正案は撤回すべきだということを強く申し上げて、質問を終わります。
○棚橋委員長 これにて宮本君の質疑は終了いたしました。