2022年2月1日 衆院予算委員会 休校助成の断念多発 抜本的改善を要求

提出資料 出典:「小学校休業等対応助成金の個人申請を求める親の会」作成資料
提出資料 出典:米原市ホームページより

 日本共産党の宮本徹議員は1日の衆院予算委員会で、コロナの影響で小学校・保育園が休業した際に、育児のための保護者の休業を補償する小学校休業等対応助成金について、「企業から申請や協力を断られて活用できない事例がたくさん起きている」と指摘し、制度の抜本的改善を求めました。
 同助成金は企業が利用しない場合、労働局が企業に働きかけます。個人申請でも、事業主が「休業」と認め協力しなければ支給されません。
 宮本氏は、労働局が行った企業への働きかけで「すべての企業が応じているのか」と質問。後藤茂之厚生労働相は「働きかけをした企業1010件のうち、協力や検討といったのは約9割」と答弁しました。宮本氏は「(残りの)1割は届いていない。非正規雇用のひとり親だった場合、本当に深刻な問題だ」と指摘しました。
 「個人で申請しようとしたら、労働局に連絡するな。労働局に相談したら、クビにする的なことを言われました。有給もなく、お金がありません。助けて」―。宮本氏は、ツイッター上で岸田文雄首相に寄せられた声にふれ、「労働局に相談できない人もたくさんいる」と強調。人口4万人弱の滋賀県米原市では、国の制度で申請できなかった人が対象となる制度があり、昨年度は71人、今年度は17人が利用したとして、「これを考えれば、実際は(全国で)数万、数十万という規模になるのではないか」と迫り、多くの人が利用できるよう抜本的な改善を求めました。後藤厚労相は「少しでもよい形で改善できないか探ることは必要だ」と答えました。
 また宮本氏は、エッセンシャルワーカーや保育が必要な子どもの代替保育を保障するよう要求。後藤厚労相は「必要な保育が提供される体制を市区町村に構築していただけるよう強く働きかける」と述べました。

以上2022年2月2日付赤旗日刊紙より抜粋

≪2022年2月1日 第208回衆院予算委員会第7号 議事録≫

○根本委員長 これにて斎藤君の質疑は終了いたしました。次に、宮本徹君。
○宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。まず、小学校休業等対応助成金についてお伺いをいたします。この間、子供での感染が広がり、休校、休園も広がっております。そういう中で、休まざるを得ない保護者が増えているわけですが、ところが、休業補償である小学校休業等対応助成金を利用しようとしたら、企業に申請や協力を断られ、使えない事例がたくさん起きております。配付資料は、これは小学校休業等対応助成金の個人申請を求める親の会の皆さんがまとめた声であります。この制度は、事業主が有給休暇の制度を設けて申請するというのが基本になっています。事業主がやってくれない場合は、労働局の相談窓口に相談すれば企業に労働局が働きかける、それでも企業がこの助成金を使わないとなれば個人申請もできる、しかし、この個人申請についても、事業主が休業と認め協力しなければ支給されない、こういう仕組みになっております。まず大臣にお伺いしますけれども、労働局が働きかければ全ての企業が応じていますか。この間の実績、また、協力に応じない企業はどういう理由からか、教えていただけますか。
○後藤国務大臣 今、宮本先生御指摘のとおりで、厚生労働省では、労働者の意向を踏まえた上で、事業主に対して助成金の活用を働きかけているところでございます。令和三年九月三十日の制度再開以降、この働きかけを行ったもの千十件のうち、助成金の支給要件となる特別休暇制度の導入や労働者が個人申請を行う際の協力について事業主に御理解いただいたものや検討するとされたものの割合は、約九割となっております。
○宮本(徹)委員 九割ということは、一割の方には届いていないということなわけですよね。ですから、せっかくこの制度を使っても、本人に休業補償としての支援金が届いていないということでございます。非正規雇用の一人親だったりしたら、本当に深刻な問題になるわけでございます。さらに、労働局に、今、相談した件数といいますか働きかけたのは千十件とありましたけれども、現実には、労働局に相談できない方もたくさんいるということです。それは、配付している資料も是非御覧いただきたいと思いますが、例えば、岸田総理宛てのツイッターでこういうのもありました。小学校休業等対応助成金を会社に申請しましたが断られました、個人で申請しようとしたら、労働局に連絡するな、労働局に相談したら首にする的なことを言われました、有給もなくお金がありません、助けて。事業主の側から報復的な仕打ちがあるのではないのか、こういう不安を持って、労働局に相談できていない人もたくさんいらっしゃいます。本来ならばこの制度の対象なのに利用できていない人というのは、どれぐらいに上ると大臣は見込んでいらっしゃいますか。
○後藤国務大臣 小学校休業等対応助成金につきましては、小学校の臨時休業等を受けて仕事を休まざるを得ない保護者に対して休暇を付与した場合に対象となるわけでございますけれども、対象となるケースは、保育所からの登園自粛要請や子供が濃厚接触者になった場合も含むなど相当に幅広いわけでございまして、御指摘の人数についてお答えすることは困難であると考えております。また、制度再開以降、労働者から都道府県労働局への相談を受けて、助成金の支給要件となる特別休暇制度の導入や個人申請を行う際の協力について事業主に御理解をいただいたものの割合は九割というふうになっておりますけれども、相談前からやっているもの、やっていないが相談に来ないもの、全体として捕捉することが難しいということでございます。しかし、いずれにしても、小学校の臨時休校等により仕事を休まざるを得なくなった労働者の方が休暇を取得しやすい環境を整えていけるよう、生活をしっかり支えられるよう、引き続き事業主に対してしっかりと働きかけを行っていきたいと思います。
○宮本(徹)委員 どれぐらいか分からないという話でございますけれども、資料の六枚目、七枚目に、これは米原市の制度の申請用紙をつけておいたんですけれども、実は、米原市では、国の制度では申請できなかった人でも対象となる制度を早い段階から設けているわけです。学校休業等対応緊急応援金というものなんですね。これは、聞きましたら、二〇二〇年度が七十一人で、今年度は、今十七人の活用ですけれども、今物すごい相談が増えているという話も聞いております。米原市の人口は四万人弱ですから、国の制度から漏れてこの市の制度を使っている方がそれだけに上るということを考えたら、実際は、本当は対象になっているけれども漏れている方というのは、数万、数十万という規模に上るのではないのかというふうに私は思います。今の制度では、数万人、数十万人がたどり着けない、支給まで国の制度ではたどり着けないのではないかと思います。ですから、抜本的なやはり改善を図る必要があると思うんですよね。一つは、労働局に相談しなければ前に進まないというやり方だと、労働局に相談したら、脅されるといいますかね、企業から、そんなことをしてくれるなと、不利益を被るのではないかというおそれがあるわけですから、やはり、労働局に相談しなければ個人申請に進めないというこの枠組み自体を改める、もっと簡単に個人申請に行けるようにするというのが一つだと思います。それと同時に、個人申請した際も、今の仕組みでは、事業主が休業をしていると認めない限りは、これまた駄目なわけですよね。ですから、もっと客観的な資料で、学校が休校している、保育園が休園になっている、あるいは、子供がコロナに感染した、濃厚接触者になった、こういう客観資料と、あとは、労働者自身がその日働いていませんよというのを、休業手当ももらっていませんよというものを示せれば、十分代わりの資料となり得ると思うんですよね。是非、本当にこのオミクロン株でこれだけ休校が広がっている、休園が広がっているわけですから、多くの方が利用できる制度に改善を図っていただきたいと思いますが、いかがですか。
○後藤国務大臣 休業支援金の申請をされる方から御相談を受けた場合に、労働局から事業主に御理解をお願いした上で、しっかりと労働者からの申請を行えるように、労働者の側の立場に寄り添って、引き続き労働局から事業主に丁寧に働きを行ってまいりたいと思っております。なお、事業主による休業させたことの確認は休業支援金を支給するための法律上の要件でもありますので、この確認自体は必要であるというふうに考えております。事業主にこの点も含めて御理解いただけるように丁寧に働きかけを行いたいと思います。
○宮本(徹)委員 ですから、残念ながら、事業主の側は協力してくれないということがあるわけですよ。皆さんが幾ら周知する、働きかけると言っても、それに応じていただけないというのがある下でどうするのかというのは、やはりちゃんと知恵を出して考える必要があるんじゃないですか。今のままでいいんですか。恐らく、与党の皆さんのところにもあっちこっち、困っているという相談、来ていると思いますよ。是非これは御検討ください。そのペーパーを読むんじゃなくて、大臣の判断として、本当に今のままでいいのかちょっと検討する、こういう答弁をいただけないでしょうか。
○後藤国務大臣 今のこの小学校休業等対応助成金の制度は、そもそも、雇用調整助成金の制度を踏まえまして、二事業の中で制度設計を行っているという形の制度でございます。そういう意味で、先ほど、休業させたことの確認は休業支援金を支給するための法律の要件だというふうに申し上げております。何とか厳しい状況にある方を対応しなければならないという委員の御指摘については、よく理解をさせていただきました。
○宮本(徹)委員 ですから、理解をしているんだったら対応してほしいんですよね。休業支援金も、シフト制労働者については、事業主の協力が得られない場合も労働局の側で職権的に認めるということをやっているわけですから、同様の運用だってできると思いますし、もっと簡便な制度でみんなを救済できるようにすべきだと思うんですけれども、理解するだけではなくて、どう打開するのかという、検討するというのを是非答弁をいただきたいと思います。
○後藤国務大臣 法律上の制度の仕組みでございますので、なかなか難しい御要請だというふうに思います。しかし、いずれにしても、少しでもよい形で改善ができないかの道を探ることは必要だというふうに思っております。
○宮本(徹)委員 是非、大臣もイニシアチブを取って、改善の道を探っていただきたい、早急にやっていただきたいというふうに思います。続きまして、保育園のことについてお伺いいたしますが、保育園の休園で困っている方はたくさんいらっしゃいます。休園になった場合でも、エッセンシャルワーカーの子供を始め、保育を必要としている子供の代替保育をもっとしっかりと保障しなければいけないと思います。医療従事者については、一月二十七日に、病院内の保育園で受け入れてほしいという通知が出ておりますが、それ以外のエッセンシャルワーカーの方々も含めて、公立の保育園で代替で受け入れるだとか、そういうことも含めて是非対策を取っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○後藤国務大臣 保育所につきましては、感染が拡大している状況においても、社会機能の維持のために、原則開所することを市区町村に依頼をしております。一方、感染者の発生等により保育所を臨時休園する場合には、医療従事者を始めとする社会の機能を維持するために就業を継続することが必要な方に対し代替保育を提供することを、保育を実施する市町村に対して依頼をいたしております。こうした保育を必要とする方に対する必要な保育が提供される体制を市区町村に構築していただけるよう、強く働きかけてまいりたいと思います。
○宮本(徹)委員 強く働きかけていただきたいと思います。ごく一部の自治体でしかしっかりした対応はなされていないと思います。最後の質問ですけれども、保育園、学校でクラスターが増えておりますが、保育園はマスクなしで密着しますので、中での感染対策にも限界があります。ちょっとした症状があれば、登園前に抗原検査キットで確認できるようにするというのが私は大変大事だと思います。そういう点でいえば、抗原検査キットを確保して、学校、保育園を通じて事前に家庭に配付する、これを私はもう本当に去年からずっと言っているわけですけれども、それができていない。そういう中で、今、抗原検査キットが確保できないとなっているわけでございます。ですけれども、本当に、子供に鼻水だとか喉が痛いだとかちょっとした症状があれば、登校、登園の前に、学校や保育園で、保護者が行って、保護者にキットを渡してまず検査をしてもらう、こういう取組がやはり感染拡大防止の上でも必要ではないかと思いますが、これは厚労大臣と文科大臣に来ていただいておりますので、一言ずつお願いいたしたいと思います。
○根本委員長 厚生労働大臣、次に文科大臣、簡潔にお願いします。
○後藤国務大臣 保育所では、乳幼児が長時間にわたり集団で生活する環境でありますから、周囲への感染拡大を防止することが非常に重要だというふうに思っております。それで、今の御議論の中で、症状のある子供について、新型コロナウイルス感染症に感染しているのか、感染していないか、否かにかかわらず、その子供自身の体調の悪化し得ることに加えまして、周囲の子供に感染を広げないという観点から、症状のある子供については登園自体を控えて療養していただくことは重要であるというふうに考えております。
○末松国務大臣 お答え申し上げます。学校教育活動が継続できるよう、学校内での感染拡大を防ぐことが重要であり、そのために、何よりも外からウイルスを持ち込まないことが大切であると考えております。このため、文部科学省としては、衛生管理マニュアル等に基づき、発熱等の風邪症状がある児童生徒につきましては登校せずに自宅で休養することを徹底するなど、感染拡大防止に努めているところでございます。お尋ねの家庭へのキットの配付につきましては政府全体で検討がなされるべきものと考えておりますけれども、いずれにしましても、現時点で、文部科学省としては、保育所と同様、風邪症状のある子供については、仮に、検査キットによる検査の結果、新型コロナウイルス感染症が陰性であっても、感染拡大防止の観点から登校を控えていただく必要があると考えてございます。以上でございます。
○宮本(徹)委員 もう時間がないので終わりますけれども、発熱があれば、多くの保護者の皆さんは登校を控えると判断すると思いますけれども、鼻水だとかのレベルだと、子供なんてしょっちゅう鼻水を出しているわけですから、とりわけ冬になると。それで来ないでくれと言われても、なかなかそうはならないと思いますので、御検討……
○根本委員長 申合せの時間が経過しておりますので、御協力願います。
○宮本(徹)委員 申し上げまして、質問を終わります。
○根本委員長 これにて宮本君の質疑は終了いたしました。