2022年5月27日 衆院予算委員会 経済好循環へ転換迫る やるべきは物価を下げ国民の収入増やすこと

パネル1 出典:財務省「法人企業統計」、資本金10億円以上の大企業(金融・保険業を含む)をもとに宮本徹事務所作成
パネル2 出典:総務省消費者物価指数(2022年4月分)より宮本徹事務所作成
パネル3 出典:財務省HP「一般会計税収の推移」をもとに宮本徹事務所で作成
パネル4 出典:JILPTデータブック国際比較2022、JETROホームページ、Los Angelesホームページ、Yahoo!JAPANファイナンスホームページ、国立国会図書館提供資料より宮本徹事務所作成
パネル5 出典:日本共産党政策「アベノミクスで増えた大企業の内部留保に適正な課税を」(2022年2月24日)より宮本徹事務所作成
予算委員会パネル6 出典:総務省、厚生労働省ホームページより宮本徹事務所作成
予算委員会パネル7 出典:財務省『防衛』2022年4月20日、財政制度等審議会 財政精度分科会 歳出改革部会(2022年4月20日開催)配付資料より宮本徹事務所作成

 「いま政治がやるべきは、物価の引き下げと、物価高騰に負けないよう国民の収入を増やすことだ」―。日本共産党の宮本徹議員は27日の衆院予算委員会で、深刻な物価高騰から暮らしを守り、経済の好循環をつくる抜本的な提案を示し、国民の暮らし最優先の政治への転換を迫りました。
 宮本氏は、物価高騰のなかで政府の補正予算案はガソリン・燃油対策と予備費がほとんどで十分な支援策になっていないと指摘。政府がすぐにできる物価の引き下げは消費税の減税だとして、「消費税の緊急減税で生活必需品の物価全般の引き下げが必要だ」と主張しました。
 岸田文雄首相は「消費税は社会保障の安定財源として維持する」などと述べ、暮らしの支援に背を向けました。
 宮本氏は「国民の暮らしを守るという真剣さが感じられない」と指摘。世界各国では政治ができる最大の賃上げ政策として最低賃金の引き上げが行われていることや、財源として党が大企業への内部留保課税を提案していることを示し、「どの中小企業・小規模事業者も助かる形で最低賃金引き上げの支援を行うべきだ」と求めました。
 しかし、岸田首相は「政府としても最低賃金の引き上げの努力を続けている」というだけ。宮本氏は「物価が高騰しているのだから、大きく引き上げる覚悟が必要だ」と強調しました。
 生活必需品の値上がりが、とりわけ年金生活者を直撃しています。宮本氏は、物価高騰で高齢者への負担が増えるなかで、年金削減をストップしなければならない局面ではないかと追及しました。
 岸田首相は「年金制度は将来世代の負担が過重にならないように持続可能な仕組みとする」と答弁。宮本氏は「いまの仕組みでは将来世代が受け取る年金は基礎年金部分が3割も減る。財源を確保して、高齢者も将来世代も安心できる頼れる年金制度に抜本改革することこそ必要だ」と主張しました。
 さらに宮本氏は、岸田首相が日米首脳共同声明で「防衛費の相当な増額を確保する決意」を表明した問題に触れ、「大軍拡の規模、その財源はどこに求めるのか、参院選前にはっきりと国民に示すべきだ」と迫りました。
 宮本氏は、自民党が提言でGDP(国内総生産)比2%以上の防衛予算を目指すとするなかで、財源はどこにあるのかと追及。「防衛予算をGDP比2%(11兆円)に増やそうとすれば、消費税増税か、暮らし予算の切り捨てに直結する。国民にとってこうした事態をもたらすという自覚はあるのか」とただしました。
 岸田首相は「厳しい安全保障環境の中で何が必要なのかを具体的に積み上げていく」と従来の答弁に終始。宮本氏は「際限ない軍拡競争で暮らしをつぶすことには断固としてたたかっていく」と訴えました。

以上2022年5月28日付赤旗日刊紙より抜粋</strong

≪2022年5月27日 第208回衆院予算委員会第20号 議事録≫

○根本委員長 これにて玉木君の質疑は終了いたしました。次に、宮本徹君。
○宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。今、急激に物価が高騰して、電気、ガスは二割、生鮮食品は一二%値上がりをしております。今後も値上げラッシュが続きます。今、政治がやるべきは、物価の引下げ、そして、物価高騰に負けないよう国民の収入を増やすことです。ところが、政府の補正予算案は、ガソリン、燃油対策と予備費だけです。総理、ガソリン以外にも、政府の決断で価格をすぐ下げられるものがあります。小麦です。今、パンも麺類もお菓子も大変高くなっておりますが、七月にまたパンの大幅な値上げが、もう決まっているわけです。この原因は、四月に政府が小麦の売渡価格を一七・三%引き上げたことにあります。総理、小麦の政府の売渡価格、引下げをやるべきじゃありませんか。これは二百二十二億円でできます。
○岸田内閣総理大臣 小麦の価格については、四月一日から九月三十日まで政府売渡価格を設定して、売渡しを行っております。結果として、この時期の前の水準、要は、国際価格が二割以上上昇する以前の国際価格に基づいて設定されているということであります。この価格を政府としてはしっかりと維持をしていきたいと考えております。
○宮本(徹)委員 何で維持するんですか。ガソリンは一生懸命下げるためにやっていて、パンは、毎朝食べられている方もたくさんいらっしゃいますよ、麺類が好きな方だっていらっしゃいますし、もう本当に、毎日の食卓に直結する話ですよ。何でガソリンは下げられて、小麦は下げられないんですか。政府が上げなければ、こんなに七月から上がることはないわけですよ。これは是非下げてください。
○金子(原)国務大臣 輸入の小麦の政府売渡価格は年二回、御承知のとおり、四月と十月の改定のため、今期の輸入小麦の政府売渡価格を踏まえまして製粉企業は小麦粉等の価格改定を公表しておりまして、販売先である食品メーカーと価格交渉が進められています。そうした中で、仮に期中に政府売渡価格の引下げを行った場合は、製粉企業や食品メーカー等の製品供給に混乱を来すとともに、適正な価格転嫁を阻害するおそれがあります。また、大豆やトウモロコシ、食用油、輸送料等の価格が高騰する中、小麦だけ価格を抑制することは慎重に考えるべきだと考えています。小麦を含む原材料価格の高騰に対しましては、先般の原油価格・物価高騰総合緊急対策におきまして、輸入小麦から国産の米、米粉、国産小麦への切替え、生産方法の高度化によるコストの抑制等を支援するほか……(発言する者あり)
○根本委員長 簡潔にお願いします。
○金子(原)国務大臣 国産小麦の生産拡大等を支援することといたしております。
○宮本(徹)委員 今引き下げたら混乱が起きるかのようなことを言いますけれども、政府が売渡価格を引き上げたことによって国民生活が混乱しているんですよ。そこをちゃんと見てください。やらない言い訳ばかり繰り返されても困りますよ。大体、五兆円も予備費を積んでいるんだから、二百二十二億円、すぐできる話ですよ。それから、小麦だけ下げるのはどうかみたいなことをさっき大臣おっしゃいましたけれども、じゃ、こうしましょうよ。もう一つ政府が今すぐできる物価の引下げが、消費税の減税です。これをやれば、物価、全部下がりますよ。物価は今二・五%増、生活必需品は前年同月比で四・八%増です。肌感覚で消費税が五%ぐらい税率が上がったような感覚を多くの皆さんが受けております。庶民の暮らしも、事業者の皆さんも大変ですよ。消費税の緊急減税で、物価全般、引き下げる必要があるんじゃないですか、総理。
○岸田内閣総理大臣 まず、小麦の政府売渡価格の設定によって、先ほども申し上げましたが、国際価格の比較において、この四月一日の前の段階と、そして今の段階、二割以上この格差が生じています。結果として、二割低い国際価格を基準にして価格を設定する、こうした価格になっています。これをしっかり維持するということを申し上げています。そして、大臣の方から小麦だけではという話がありましたが、これは、小麦製品について、例えば食パン一つでも、小麦については八%しか影響がないという事態もあるということを説明した次第であります。そして、消費税についてでありますが、消費税については、これは再三申し上げております、政府としては、この総合緊急対策を始め様々な政策を丁寧に、そして重層的に用意しているわけでありまして、消費税については、我が国にとりまして社会保障の安定財源として位置づけられておりますので、今、消費税について触ることは考えていないというのが政府の考え方であります。
○宮本(徹)委員 何で考えないんですかね。様々な対策をやっていると言いますけれども、全体を覆う政策じゃないんですよね。確かに、低所得者の子育て世帯の皆さんには五万円あります、いろいろな自治体に配ったお金もありますけれども、物価全体を下げるということには全然なっていないわけですよ。物価増がこれからも続いていくのに、このままだと景気にも本当に影響していくと思いますよ。それから、総理は先ほど消費税は社会保障の安定財源だということをおっしゃいましたけれども、是非パネルを見ていただきたいと思います。この三十年間、消費税、三回引き上げております。税収は、一九九〇年の六十兆円から昨年の六十三兆円台へ、微増でございます。消費税収は十五兆円増えておりますが、法人税と所得税は十二兆円減っております。消費税増税分は、ほぼ法人税と所得税の減税分に置き換わっただけだということです。法人税率はこの間、三七・五%から二三%台に下がっております。総理、内部留保を積み増し続ける大企業に法人税減税を続けるよりも、消費税の緊急減税でちゃんと国民の暮らしを支えていく、そのことによって経済の好循環をつくっていく、この方が大事なことなんじゃないですか。
○岸田内閣総理大臣 消費税につきましては、先ほど申し上げたとおりであります。消費税によって社会保障を維持する。所得税等について家計の負担を考えていく。また、法人税を通じて企業の負担を考えていく。こうした成長と分配、様々な分野においてしっかりとしたバランスを取ることによって、好循環というのが生まれていくんだと思います。それぞれの税は、それぞれの意味があります。だから、是非、その税の意味合いについてもしっかり説明しながら政策を進めていくことが大事だと思います。消費税については、社会保障の安定財源としてしっかり維持していきたいと考えます。
○宮本(徹)委員 だから私はこのパネルを出したわけですよ、社会保障の財源になったわけじゃなくて法人税減税と所得税減税に置き換わっただけじゃないですかと。これが事実じゃないですか。これは財務省のホームページから作っているわけですよ。共産党が勝手に作っているわけじゃないんですよ。それで、本当に、今の総理の答弁を聞いていましても、国民の暮らしとなりわいを守る、この真剣さが感じられません。大変残念な答弁でございます。次に、賃上げについてお伺いしたいと思います。今、物価高騰で、所得が少ない人ほど打撃を受けております。パネルを見ていただきたいんですけれども、世界各国で、政治ができる最大の賃上げ政策として、最低賃金の引上げが行われております。イギリス、フランス、ドイツ、ロサンゼルス、日本円にして、今年、時給千五百円弱から二千円近くにまでなります。一方、日本は、最低賃金は全国加重平均で九百三十円ということでございます。最低賃金では本当に人間らしい生活ができない水準であります。総理、今の物価高騰を踏まえて、今年は最低賃金を思い切って引き上げる決断が必要なんじゃないですか。
○岸田内閣総理大臣 政府においても、最低賃金の引上げについて政策努力を続けております。できる限り早期に全国加重平均千円以上を目指す、こうした方針の下に積み上げておりますし、一千円に到達した後も、継続的に引上げに取り組んでいきたいと考えています。
○宮本(徹)委員 その総理の答弁、できる限り早期に全国加重平均千円というのは、毎年ずっと、過去と同じ答弁なんですよ。今、物価が高騰しているんですから、そういういつもどおりの答弁じゃなくて、今年はぐんと引き上げる、この覚悟が要るんじゃないですか。
○岸田内閣総理大臣 原油や原材料費の高騰に対しては、政府として、十三兆円の総合緊急対策を始め、様々な政策を用意しております。最低賃金については、その様々な影響も勘案しながら、是非、政府の目標どおり、できるだけ早期に全国加重平均一千円以上を目指していきたいと考えています。
○宮本(徹)委員 できるだけ早期にというのは、本当にいつもどおりの答弁を繰り返して、本当に、賃上げへの決意がなかなか感じられないですね。大変残念ですね。全労連の皆さんが生計費調査というのを全国でやられておりますけれども、全国どこでも、最低限の生活を若者がしようと思ったら、やはり最低賃金は時給千五百円、千六百円、都市部、東京なんかでは千七百円、これぐらいなきゃ大変なんですよね。やはり最低賃金千五百円というのを私は日本でも目指していくべきだと思います。そして、もし千五百円、これが実現したら、月収は八万円ぐらい増える。正規も非正規も賃金の底上げができるんですよね。ずっと政府は早期に千円を目指しますということを言ってきましたけれども、もう次の目標を決めなきゃいけないときに来ているんじゃないですか。
○岸田内閣総理大臣 目標を達成するべく、今努力を続けています。是非、千円以上を目指して努力を続けたいと思っています。
○宮本(徹)委員 本当に、なかなかやる気が感じられないといいますか、のれんに腕押しといいますか。恐らく、政府は、賃上げのことでもっと大きな数字を言えないのは、中小企業の皆さん、小規模事業者の皆さんのことを考えて、いろいろな逡巡があるんだなというふうに思いますが、私は、日本の賃上げ政策で決定的に足りないのは、最低賃金を引き上げる際の中小企業への支援策だと思っております。今月、チリがインフレ率を大きく上回る一四・三%の最低賃金引上げを中小企業への補助金とセットで行うということを決めたという報道を見ました。二段階でこれは引き上げるんですけれども、中小企業への補助金は、一段階目では最低賃金引上げ額の七三%、二段階目でも五割以上ということで、かなり賃金を引き上げるに当たっての補助金を出して、中小企業も喜ぶような形で最低賃金引上げをやっているということでございます。私は、日本でも、この最低賃金引上げに当たっては、こういう賃金助成だとか社会保険料の軽減だとか、こうしたことに大胆に踏み込むべきだと思っております。パネルを見ていただきたいと思うんですね。これは安倍政権の間に増えた大企業の内部留保でございますが、百三十兆円増えているわけでございます。ちなみに、この増えたうちの四十兆円は、安倍政権時代に行った法人税減税が積み上がっている、こういう計算になるわけですね。さらに、この円安の中で、この三月期の大企業、上場企業の決算が過去最高益ということになっているわけですね。これは本当にしっかりと賃金に回していく必要があると思います。そこで、我が党は、この間、総理にも累次にわたって提案をさせていただいておりますけれども、内部留保への課税を時限的に行おうという提案でございます。最低賃金引上げのための中小企業支援の財源を、これによってしっかりつくっていく。アベノミクスで増えた内部留保に、毎年二%、五年間で十兆円の時限的な課税を行う。その際、賃上げ、グリーン投資は控除を設けて促進をする。総理、どの中小企業も小規模事業者もしっかりと助かる形での最低賃金引上げへの支援を行うべきなんじゃないでしょうか。
○岸田内閣総理大臣 質問は、最低賃金を引き上げるという……(宮本(徹)委員「最低賃金引上げへの中小企業への支援ですね」と呼ぶ)済みません、最初、内部留保の話だと思っていたので、最後の質問の部分がちょっと違ったので戸惑いましたが、要するに、内部留保については、まず、委員の御提案がありました内部留保への課税ということについては、二重課税に当たるとの指摘があることから慎重な検討が必要だとお答えしております。その上で、企業において、やはり、賃金あるいは設備投資、こうしたものに成長の果実を振り向けていく、これが次の成長や持続可能な経済につながるということだと思いますので、こうした企業の成長の果実を賃金やあるいは設備投資にしっかり振り向けていく、こうした道筋をつくっていくことが重要であると思います。ですから、まずは、賃上げについてしっかり促していくべく様々な政策を動員し、一方で、デジタル投資やカーボンニュートラル投資、こうした投資の市場をしっかりと手厚くすることによって、設備投資、これにお金を振り向けるべく、この政策を進めていくことが重要だと思います。そのことが、中小企業にとりましても、あらゆる企業にとりましても、賃金引上げにつながっていくと考えます。
○宮本(徹)委員 現実には、三月は実質賃金はマイナスになったわけですよ。政府の賃上げ政策では不十分だから、私たちはこういう新たな提案も今国会させていただいているわけですよ。私たちはこういう提案をしておりますけれども、じゃ、皆さん、今の話で、中小企業全体に支援が行きながら最低賃金引上げができますか、今の総理の話で。総理はよく賃上げ減税の話をされますけれども、今日午前も議論がありましたけれども、賃上げ減税を使っている中小企業はほんの数%ですよ。全く支援になっていないじゃないですか。私たちは、もっと広く、大企業の内部留保は、これは元々は法人税減税をやり過ぎたんだから、少し戻そうじゃないかと。さっき二重課税というお話がございましたけれども、そんなことを言ったら、ガソリン税と消費税も二重課税に見えるという、そういう話は幾らでもありますよ。これは政府のやる気次第だと思うんですよね。しっかりと全中小企業に最低賃金引上げの際に支援を行う、このことを私はやるべきだということを申し上げているんです。いかがですか。
○岸田内閣総理大臣 政府としましては、賃上げは大変重要だと認識をしています。だから、賃上げ税制を始め様々な政策のメニューを用意して、賃上げの雰囲気を、社会的雰囲気をつくっていこう、こうしたことを申し上げていますし、これを安定的な賃上げにつなげるためにこそ成長が大事だということで、賃上げを次の成長につなげる、こうした経済システムをしっかりとつくっていくことが重要だ、こういったことを申し上げています。しかし、その中にあって、国際的な価格高騰によって、今、国内の原油そして様々な原材料費の価格が高騰している、こうした事態を迎えています。だからこそ、それに対して、昨年十一月の七十九兆円の経済対策に加えて、十三兆円の総合緊急対策、これを用意して、生活や事業を守っていこう、こういった対策を用意した、こういった次第であります。是非、こうした価格高騰対策をしっかりやっていきたいと思いますが、あわせて、賃上げが定着するような経済のありよう、システムをしっかりつくっていく、こういった努力も続けていきたいと考えております。
○宮本(徹)委員 先ほども言いましたけれども、賃上げ税制は結局一部の企業しか使わない、そして大企業には内部留保がたまり続けている、これが現実じゃないですか。もうちょっと、現実をどう変えるのか、こういうことを真剣に考えていただかないと、本当に、この物価高騰の中で、低所得者の非正規労働者の皆さんの暮らしは守れないですよ。そのことを厳しく指摘をしておきたいと思います。次ですけれども、この物価高騰の中で大変厳しい思いをしているのが、賃上げと無縁な年金生活者の皆さんでございます。パネルを見ていただきたいと思います。生活必需品の値上がりは、とりわけ年金生活者に影響しております。高齢者の消費者物価は六年で五%も上がっておりますが、年金は増えず、今年は〇・四%の削減であります。私、二月にこの場で、このパネル、まだこのときは一番端っこが点線でしたけれども、これを示して、年金削減のストップを総理に求めました。その後、与党の側から年金生活者に五千円配るという話が出てきましたが、ばらまきと批判されて、引っ込んでしまいました。五千円を配らなきゃという思いが生じるくらいだったら、初めから年金削減をやめればいいんですよ。かつて、小渕内閣など、何回も、予定されていた年金削減をストップしたことはあります。過去の自民党政権でも例があります。総理、今の物価高騰は、年金削減をストップしなきゃいけないような局面なんじゃないですか。いかがですか。
○岸田内閣総理大臣 公的年金制度については、将来世代の負担が過重にならないように、長期的な給付と負担のバランスを確保して、将来にわたって持続可能な仕組みとする、こうした考え方に基づいて今の制度を着実に実行していきたいと思っています。そして、低所得、そして無年金、低年金の高齢者の方々に対しては、まずは、住民税非課税世帯に対する十万円の給付、二月から三月にかけて支給を開始しています。また、総合緊急対策の中では、地方創生臨時交付金を拡充して、自治体によって低所得、無年金、低年金者への負担軽減を行う、こうしたことも用意しておりますし、また、年金生活者支援給付金、医療、介護の負担軽減、こうした様々な政策を重層的に用意して、年金生活者の方々の負担軽減に努めている、これが政府の方針であります。
○宮本(徹)委員 今お話しされたことは全部物価高騰の前の対策でしょうということを昨日さんざん長妻さんに言われていたじゃないですか。そして、先ほど総理は将来世代の負担ということもおっしゃいましたけれども、今の仕組みでは、その将来世代が受け取る年金もどんどん減るわけですよ。三割目減りするわけですよ。財源を確保して、高齢者も将来世代も安心できる、頼れる年金制度へ抜本改革することこそ私は必要だと思いますし、何よりも、いろいろな支援をしなきゃいけないと思っているんだったら、こんなときに減らすのは直ちにストップすべきだ。過去の内閣が決断したことがなぜ岸田総理にできないのか。本当にしっかりとしてほしいなという思いでいっぱいでございます。その上で、次の質問でございますけれども、軍事費についてお伺いをしたいと思います。日米首脳会談で、岸田総理は、防衛費の相当な増額、これを勝手にお約束されてしまいました。自民党は、昨年の総選挙の公約で、GDP比二%以上も念頭に防衛関係の増額を目指すと掲げ、先日は、五年以内に必要な予算水準の達成を目指す、こう提言をしているわけでございます。GDP比二%といったら、今の倍増、十一兆円ということになるわけでございます。これは、世界で見ても、もしそういうレベルになったら、ロシアを超えて世界第三位の軍事大国になるということになります。一体どこからそんな財源が出てくるのかということです。ちょっと今日、パネルを、財政制度等審議会の資料を抜粋したものを出しましたが、これ、財務大臣、説明していただけますか。
○鈴木国務大臣 端的に御説明申し上げますと、御指摘の資料、これは財政制度等審議会における議論の参考といたしまして、各国の防衛費の規模は税収の水準や国防分野への歳出配分によって特徴が見られることを示した上で、国防費対GDP比を一層増加させるためには、他経費を削減して国防費に一層重点配分するか、国民負担を増加させるかという議論につながるといった論点を紹介したものと理解しております。
○宮本(徹)委員 こういうことなんですよね。十一兆円に防衛省の予算を増やそうと思ったら、端的に言えば、増税か、暮らしなどのための予算の切捨てに直結するということなんですよ。総理がバイデン大統領にお約束されたことというのは、国民にとってこういうことをもたらすことだという自覚は、総理はお持ちですか。
○岸田内閣総理大臣 私は、まず数字ありきの議論はしておりません。国会でも従来から言っておりますように、この厳しい安全保障環境の中で国民の命を、暮らしを守るためには何が必要なのか、これを具体的に、現実的にしっかり積み上げていくということをまず申し上げています。そして、それに必要な予算を確保するということ、これを日米首脳会談においても日本の姿勢として表明をさせていただいた、こういったことであります。よって、今後、年末にかけて、国家安全保障戦略の策定、あるいは予算編成作業の中で、具体的な必要とされるものがしっかりと確定をされ、結果としてどれだけの予算が必要になるのか、これが見えてくるということであります。今の段階において、どれだけの予算になるのか、これは数字で申し上げることは、議論の最中でありますので、できません。是非、そうした必要な数字をどのように賄うのか、こうした議論も年末に向けて併せてしっかりやっていきたいと考えています。
○宮本(徹)委員 数字は考えていない、積み上げていくというふうにおっしゃいましたけれども、積み上げる前からなぜ相当な規模というのが出るんですか。積み上げる前から頭に、念頭にあるから、相当な額というのが出てくるんじゃないですか。もっと言えば、GDP二%という数字は、これは岸田総理が総選挙で戦った自民党の公約の中に入っている数字ですよ。
○岸田内閣総理大臣 防衛力の抜本的強化に当たって必要なものの裏づけとなる予算を確保するということを申し上げています。日米首脳会談においても、日本は、この防衛力、必要な防衛力、抜本的に強化する、それに相応する予算をしっかり用意する、こうした基本的な考え方を申し上げたわけであります。こうした基本的な考え方に基づいて、先ほど申し上げたような形で、年末に向けて議論を積み上げていきたいと思っております。
○宮本(徹)委員 二%という数字は自民党の公約にあるから私は申し上げているわけでございます。そして、仮にですよ、防衛省の予算をGDP二%にしていくとした場合に、追加に必要な五兆円、これを消費増税でやろうとしたら、消費税率は一二%、二%引き上げなきゃいけなくなる。あるいは、ほかの予算を削る。例えば、医療費の国庫負担を五兆円削ったら、窓口負担は倍増になるか、あるいは保険料の大幅な値上げをせざるを得ないということになるわけです。本当に、これはこういうことになるんだということを、私は、国民に対して総理は説明しないのは無責任だと思いますよ。参議院選挙が迫っているわけですよ。参議院選挙の前に、必要な数字は積み上げていきますと。一方では、総選挙でもう、数字で、GDP二%を念頭にということを言いながら、実際には、この場では、これから積み上げるんですと。選挙が終わったら、GDP二%になりました、その財源は増税ですと。こういうやり方は私は絶対あってはならないと思いますよ。どれぐらいを目指しているのか、そしてその財源はどこに求めるのか、このことは参議院選挙前にはっきりと示すべきじゃありませんか。
○岸田内閣総理大臣 政府にとって、国民の命や暮らしを守る、これは最も大切な役割であります。そのために必要なものが何なのか、そしてそれの裏づけとなる予算を用意する、これは政府として大きな責任であります。そういったことを申し上げています。今の段階で、数字の積み上げもできていない段階から、財源について申し上げることはできません。内容と、金額と、そして財源と、三点セットでしっかり議論をこれから行ってまいります。
○宮本(徹)委員 結局、じゃ、参議院選挙が終わってから数字も明らかにします、その財源も明らかにします、増税も含めたフリーハンドを与えてくださいという話じゃないですか、今の総理の答弁は。そんなことは許されないですよ。少なくとも、増税か、ほかの暮らしのための予算の切捨てに直結する議論をしている、その自覚はあるのかどうかということだけお答えください。
○岸田内閣総理大臣 今言った議論を、三点セットで、年末の国家安全保障戦略策定の議論等を進める中で行っていきたいということを申し上げております。今の段階で、まず数字ありきというような議論はしていないということを申し上げています。是非、こういった政府の取組、国民の皆さんにもしっかりと説明をし、御理解をいただきながら政策は進めていきたいと思います。この数字等がはっきりしない段階から、財源とか、影響とか、今申し上げることはできないと考えています。
○根本委員長 宮本徹君、もう申合せの時間が経過しておりますので、簡潔に。
○宮本(徹)委員 これで質問を終わりますけれども、数字がないと言うんだったら、GDP二%という総選挙の公約を撤回してください。そのことは申し上げておきたいと思いますよ。際限のない軍拡競争で暮らしを潰すことには断固として戦っていくことを申し上げて、質問を終わります。
○根本委員長 これにて宮本君の質疑は終了いたしました。