生活福祉資金の特例貸付 支給率に地域差、8割どまりも 宮本事務所に厚労省資料

 新型コロナウイルス感染症の影響で収入が減った世帯に貸し付ける生活福祉資金の特例貸付で、支給の決定率が80%台にとどまっている都道府県があり、自治体によって格差があることが21日、厚生労働省の資料で分かりました。日本共産党の宮本徹衆院議員事務所が求めたものです。
 3月から始まった特例貸付の申請件数は、厚労省によると累計で123万8190件(10日現在の速報値)に上り、「例年の300倍の申請」(神奈川県社会福祉協議会)というほど、必要とする人が増えました。
 申請件数に対する支給決定率の全国平均(9月5日までの速報値)は、緊急小口資金が97・84%。総合支援資金が92・2%です。ところが徳島県や茨城県はいずれの支給決定率とも70~80%台となっています。
徳島県は、緊急小口資金の決定率が87・31%、総合支援資金が75・35%です。
 同県で和菓子屋を営む男性(80)は、店の売り上げが新型コロナの影響で半分以下になりました。老人会などの行事がなくなったためです。総合支援資金を申し込もうと市の社協へ行き「月1万ずつなら返済できる」と話すと、窓口の職員は「返済に10年くらいかかりますね。90歳になってもお仕事ができるんですか」と言われたといいます。店主は申請したものの、結果は不承認でした。
 毎週行っている生活相談会で特例貸付の不承認の相談が相次いだことを受け、日本共産党県常任委員で新型コロナ感染対策チーム責任者の上村(かみむら)恭子前県議は「徳島県生活と健康を守る会連合会」とともに県や県社協に改善を求めて交渉を行ってきました。
 県社協が特例貸付が不承認と判断した4人の事例を厚労省へ問い合わせたところ、同省が示す貸付要件では不承認にする要因はなかったことが判明。4人が再申請すると、一転して承認されました。
 上村前県議は「県独自の基準で判断しているのでは。不承認だった理由を明らかにさせ、国の基準に基づいて審査するよう求めたい」と話しています。
 生活福祉資金の特例貸付 市区町村の社会福祉協議会が窓口になっています。一時的な生計維持のため最大20万円を一括で貸す「緊急小口資金」と、失業などで生活の立て直しが必要な場合に最大月20万円(単身15万円)を3カ月間支給する「総合支援資金(生活支援費)」があります。いずれも無利子で保証人は不要。減収が続いていれば住民税非課税世帯は返済が免除されます。

以上2020年10月22日付赤旗日刊紙より抜粋

 厚労省提出資料 緊急小口資金等貸付状況(申請件数入り)