2024年2月6日 予算委員会 雇調金も軍拡財源1964億円 「税外収入」を流用 宮本徹氏質問で判明

 雇用を維持するための雇用調整助成金(雇調金)を軍拡財源に回す―。日本共産党の宮本徹議員の質問に対する鈴木俊一財務相の答弁(6日の衆院予算委員会)が波紋を広げています。なぜ雇調金を軍事費に回すことが可能か。その手口は2023年に成立した軍拡財源法の利用であることが判明しました。
 問題となっているのは、24年度予算案で、労働保険特別会計から1964億円を、財務省所管の「防衛力強化特別会計受入金」に繰り入れ、「防衛力整備計画対象経費の財源に充てる」(鈴木財務相)というもの。防衛省は23年度から5年間で43兆円もの防衛力整備計画を立てています。1964億円は、コロナ禍で設けられた雇調金特例措置の余った財源です。宮本氏は「被災者救済が最優先で、財源の意義に照らせば能登半島地震特例の雇用調整助成金増額に充てるのが筋だ。心を寄せるところが違う」と指摘しました。
 軍拡財源法は、軍事費捻出のために、国立病院機構や地域医療機能推進機構(JCHO)の積立金や、外国為替資金特別会計などの「税外収入」を軍拡財源に回すもの。医療や年金などに回すべき積立金の流用に国民の怒りが高まりました。
 今回の流用は、軍拡財源に充てる税外収入について定めた同法14条2項に基づきます。同項について鈴木財務相は「予算総則による国会の議決で(軍拡財源に充てる)税外収入の範囲を明確化する規定」(23年5月24日の参院本会議)だと説明しています。税外収入について具体的な限定はありません。
 積立金などの税外収入は本来であれば一般会計に繰り入れて、社会保障や子育て予算などに使えますが、岸田政権は雇用や医療などに回すべき財源を軍拡に充てています。軍拡増税を先送りしている政府は、当面増税せずに税外収入などで軍拡分を賄うと主張しますが、税外収入の流用は、結局のところ国民負担の増加につながります。

以上2024年2月11日付赤旗日刊紙より抜粋

≪2024年2月6日 第213国会衆院予算委員会第4号議事録該当部分抜粋≫

○小野寺委員長 次に、宮本徹君。
○宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。まず、能登半島地震の被災者支援です。住まいとなりわいの再建へ、希望が持てる支援が必要です。商工会の方に伺うと、断水もあり、事業が再開できるまで長期間かかり、雇用の維持、従業員の確保で苦境に陥っています。助成金だけでは給料を賄えない、人材が流出したら事業が再開できなくなるので、休業補償を一〇〇%しているという事業所もあります。パネルを御覧いただきたいと思います。雇用調整助成金、今回はコロナのときより大変貧弱です。上限額は、コロナのときは一日一万五千円、今回は八千四百九十円。助成率も、コロナのときは最大十分の十、今回は中小企業でも最大五分の四。総理は、異例の措置もためらわずに実行するとおっしゃいました。総理、雇用を守り、人材を流出させないことは、なりわいの再建の大前提だと思います。コロナ並みに日額上限や助成率を引き上げるべきなのではありませんか。
○岸田内閣総理大臣 被災地において今後の復旧復興に取り組んでいくためにも、雇用の維持、従業員の確保、これは重要な課題であり、雇用調整助成金について助成率や支給日数を引き上げるなどの特例措置、これは講じたところです。そして、委員の方から、コロナの特例措置との比較について御指摘がありましたが、お尋ねのコロナの特例措置については、コロナ流行下において国から事業者や国民に対し感染防止対策への強い要請を行う中で実施したものです。具体的には、日額上限の特例については、休業手当が支払われることを前提とした雇用調整助成金とは別に、休業手当が支払われない場合でも労働者に適切な支援が行われるよう新型コロナウイルス感染症対応休業支援金という特別な仕組みを創設した際に、休業を余儀なくされている労働者の雇用維持を支える両制度のバランスを確保する観点から、雇用調整助成金の日額上限、これを引き上げた、こういった経緯をたどりました。また、助成金の特例については、企業が休業手当を十分に支払える状況にしなければ労働者が安心して行動抑制をすることが困難であるということから、感染防止対策として、趣旨を踏まえて、特例的な助成率の引上げ、こういったことを行った次第であります。こうしたコロナ特有の事情において、御指摘の助成率、日額上限、こういったことの引上げが行われた、こういったことであります。同一に災害対応として論ずることはできませんが、今回においても様々な支援を行っている、細かい配慮を行っている、このことについては強調しておきたいと思います。長いと言うのでここで止めますが、こういった配慮も行っているということを申し上げた上で、コロナ対応との違いについて申し上げさせていただきました。
○宮本(徹)委員 コロナのときよりも、はっきり言って被災者の皆さんは大変じゃないですか。建物も機械も損傷して、ある意味、コロナよりも大変なんですよ。その大変さが全然総理は理解されていない。昨日、与党の被災地の議員からも同じ要望が出ていたじゃないですか。党派を超えて当然やるべきことだということで、やらなきゃいけないと思いますよ。コロナのときだって、いろいろなことがありましたけれども、先ほど言ったような話で引き上げたんじゃないですよ。私、この予算委員会でずっと議論を聞いていましたけれども、コロナのときに引き上げたのは、イギリスが休業補償を上限三十万やっているのに比べて低い、こういう指摘ががんがんやられて、当時の安倍首相も決断して引き上げたんですよ。全然経過も違うことを述べられて、やらない理由ばかり述べるのはやめてください。被災地の皆さんにちゃんと寄り添ってください。
○岸田内閣総理大臣 今回の特例措置においては、過去の災害の対応を参考としつつ、現地での休業による雇用維持だけではなくして従業員が二次避難を行っている場合等の出向を活用した雇用維持の助成も対象とする、また、被災企業がより制度を活用しやすいように休業等の規模が小さい場合でも助成の対象とする、こうした要件緩和も行っています。こうした、今回の災害の現地の事情にも細かく配慮した制度を用意しているということであります。先ほどのコロナの経緯については、先ほど説明したとおりであると私は認識しております。
○宮本(徹)委員 細かい配慮なんて、なっていないわけですよ。全然足りない。本当に、雇用の維持ができなかったら、人材が流出していったら、今、人手不足の時代なんですから、人材が流出したら事業を再建しようと思ってもできないですよ。是非、もっと被災地の皆さんのお話を聞いていただきたいと思います。今度の予算を見て驚いたことがあるんですよね。コロナのときに、雇用調整助成金のために労働保険特別会計に繰り入れておりましたが、今回、一千九百六十四億円を一般会計に戻すと。財務大臣、これは戻して何に使うんですか。
○鈴木国務大臣 ただいま御指摘のありました雇用調整助成金のコロナ特例に伴う一般会計負担分の返納金につきましては、令和六年度予算では、労働保険特別会計からの受入金として、防衛力整備計画対象経費の増額に充てる財源に活用することとしております。
○宮本(徹)委員 つまり、雇用調整助成金を引き揚げて、被災地のために使うんじゃなくて、防衛省予算の倍増のために使うという話ですよ。心を寄せるところが違うんじゃないですか。優先すべきところが違いますよ。そのことを厳しく指摘しておきたいと思います。~以下略~