2024年2月15日 衆院予算委員会 少子化対策 ‟負担なし“は虚偽 宮本徹議員追及 厚労相負担増認める

配付資料 子ども・子育て政策の強化(加速化プラン)の財源の基本骨格(イメージ)
配付資料 厚生労働省提出資料
配付資料 社会保障
配付資料 厚生労働省「後期高齢者医療の窓口2割負担導入の影響について」より宮本徹事務所作成

以下2024年2月16日付赤旗日刊紙より抜粋

 「医療・介護の利用者負担を増やしながら、『実質的な負担は増えない』というのはまやかしだ」―。日本共産党の宮本徹議員は15日、衆院予算委員会で、「少子化対策」の財源をめぐり、「負担は生じない」とする政府のごまかしを厳しく批判しました。
 政府は年3・6兆円の「少子化対策」の財源を「歳出改革」による医療・介護の公費削減(約1・1兆円)や公的医療保険料に上乗せする「こども・子育て支援金」(約1兆円)などで確保するとしています。
 宮本氏は、「歳出改革」で検討されている75歳以上の高齢者の医療費3割負担、介護保険2割負担の対象拡大などによる利用者の自己負担増をただしました。武見敬三厚生労働相は、「正確な算定は困難だ」などと述べ、利用者への影響すら示しませんでした。
 宮本氏は、介護保険の2割負担について、昨年の厚労省の試算では、対象者を年収190万円以上に広げると公費は400億円削減される一方、自己負担額は800億円に増えると指摘。「1・1兆円もの医療・介護の公費負担を削減すれば、べらぼうな利用者の負担増になる。『実質的な負担は増えない』との言い方はまやかしだ」とただすと、武見厚労相は「一定の負担が増える世代層が特に高齢者層に出てくる」と認めました。
 「こども・子育て支援金」は、公的医療保険の仕組みを使って徴収します。宮本氏は、厚労省の試算でも、年収300万円の単身者の場合、介護保険料は協会けんぽでは年2万8400円、国保では年4万4000円で、協会けんぽの1・5倍の負担になることを提示。「同じ収入でも保険ごとに支援金の負担額が異なる」と指摘し、「収入の少ない人が、収入の多い人より負担が増えることが起きる。およそ正当化できない制度設計だ」と批判し、撤回を迫りました。

≪2024年2月15日 第213国会衆院予算委員会第10号議事録≫

○小野寺委員長 これにて住吉君の質疑は終了いたしました。次に、宮本徹君。
○宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。子育て支援の財源についてお伺いします。一・一兆円の医療、介護の公費負担の削減を充てるとなっているわけですね。昨日、岸田総理は、この二年の歳出改革、医療、介護で三千三百億円、加入者一人当たり百五十円、保険料の伸びを抑えた、こういう発言がありましたけれども、それでやられたことというのは、七十五歳以上の医療費の窓口負担の二倍化であります。一人当たり二万六千円の自己負担増、総額でいえば一千億円の負担増となったわけですよね。厚労大臣に伺いますけれども、来年度の予算案では、先発医薬品の価格の一部が保険給付から外れ、全額自己負担になります。また、介護報酬改定で、老人保健施設と介護医療院の室料負担の見直しがあります。さらに、改革工程表の中にある介護保険の二割負担の対象拡大では、昨年、年収百九十万円まで対象を拡大した場合の給付影響額の試算が示されました。それぞれ、公費負担の削減額と利用者の自己負担増の総額は幾らになりますか。
○武見国務大臣 幾つか御質問がありますので、それぞれにお答えさせていただきますが、まず、長期収載品に関わる分野、薬価におけるイノベーションの更なる評価などを行うために、令和六年十月から導入を予定しております一定の仮定の下、令和六年度予算案で満年度化した場合の国費影響額を約百十億円と見込んでおります。一方で、改定による患者行動の変化が見込まれるために、委員御指摘の公費や自己負担への影響額の正確な算定は実際には困難であります。そのほか、介護報酬の方も御説明をいたしますと、事実上の生活の場として選択されている一部の介護老人保健施設等において、在宅サービスを受ける方との負担の均衡を図るため、一定の室料負担をお願いすることといたしました。令和七年八月に開始することから、現時点で正確な数値、これをお答えすることはできませんが、一定の仮定を置けば、委員御指摘の額は、共に満年度化した場合に、おおよそ数億円程度と見込まれております。介護保険の二割負担の在り方については、昨年末に閣議決定した改革工程に従って、第十期介護保険事業計画期間が開始する二〇二七年度前までに、丁寧にこれから検討していくことになっておりまして、現時点で具体的な見直しの内容が決まっているわけではありませんので、御指摘の額を今現在お示しすることは難しいと思います。
○宮本(徹)委員 何かいただいているメールと随分違う回答が来ているんですけれども、選定療養費の自己負担は百八十億円増えるというのをお話でいただいているわけですよね。先発医薬品ですね、選定療養費の自己負担が百八十億円増える、国庫の負担は百十億程度だという話でございました。それから、介護保険の二割負担については、昨年の試算では給付影響額が八百億円あるということですから、単純に言えば、自己負担が八百億円増えて、公費は四百億円削減されるという話なわけですよね。医療、介護の公費の削減、一・一兆円削減したら、物によっては、公費削減額よりも大きな自己負担が生まれるものもたくさんあるわけですよね。そうすると、これはとんでもない負担増になるんじゃないかというふうに思いますが、一・一兆円医療、介護の公費負担を削減したら、一体全体、医療や介護の利用者の負担増というのは最大どれぐらいになりますか。
○武見国務大臣 歳出改革の具体的な内容についての改革工程表でお示しをしているところ、人口減少に対応していく観点であるとか、一人一人のニーズに的確に対応して必要なサービスを受けることができる体制を確保していく観点から、サービス提供側の質の向上と効率化、例えば医療提供体制の効率化や介護分野におけるICT化の活用など、幅広い取組を視野に入れております。歳出改革として実施する取組については、二〇二八年度までの各年度の予算編成過程で検討、決定していくこととしておりまして、その影響を含めて、現時点でお答えすることは実際には困難であります。
○宮本(徹)委員 結局、自己負担がどれぐらい増えるのかということも何の試算もしていないというお話なんですけれども、一・一兆円医療や介護の公費負担を削ったら、本人の、医療、介護の利用者の負担はべらぼうに大きくなるとはっきりしているわけですよ。閣僚の皆さんは、実質的な負担は増えない、増えない、こういう話をされるんですけれども、それは社会保険料についてだけの言及なんですよね。国民にとっては、利用料が増えて、負担は増えるんですよ。医療や介護の利用者の負担を大幅に増やそうとしながら、実質的負担は増えない、こういう言い方というのは、加藤大臣、まやかしなんじゃないですか。
○加藤国務大臣 お答え申し上げます。今回の加速化プラン実施のための子供、子育て予算の財源確保に当たりましては、今回、増税という手法を取るのではなく、歳出改革を徹底し、既定予算の最大限の活用を図るとともに、支援金についても、歳出改革と賃上げによって社会保障負担額の軽減効果を生じさせ、その範囲内で構築することで、全体として実質的な負担は生じないこととしております。
○宮本(徹)委員 歳出改革で負担は増えるでしょう。
○加藤国務大臣 支援金制度は、児童手当の抜本的拡充など加速化プランで新設、拡充する施策に充て、切れ目のない支援を実現していくための子供、子育て政策の抜本的強化に充てる安定財源の一つとして導入をされるものであります。子供、子育て政策の財源は、まずは徹底した歳出改革で確保することをおっしゃるとおり原則としていまして、この歳出改革と若い世代の所得向上策の一環として取り組む賃上げにより実質的な社会保険負担軽減効果が生じることから、その範囲内で支援金制度を構築してまいります。
○宮本(徹)委員 ちょっと、聞いたことに答えずに、全然違うペーパーを読まれるのは困るんですよね、十分しかないのに。歳出改革で自己負担が増えるのは間違いないですね。一言、武見大臣、それは増える部分はある、それを一言答えてください、もうほかの質問がありますので。
○武見国務大臣 歳出改革を通じて、御指摘の患者負担に関連する分野については、一定の負担が増える世代層というのが特に高齢者層に出てくることは御指摘のとおりでありますが、それは、全世代型の社会保障の中で全体の負担のバランスを取るという観点から実行しています。しかも、それは実際の保険料が賃上げによって増収する分の中に収まりますから、実質的な負担増とはならないということを御指摘申し上げたいと思います。
○宮本(徹)委員 負担増は、個人個人から見たら、べらぼうに高齢者は増えるんですよ。でたらめな答弁はしないでください。それで、もう一点お伺いします。子供、子育て支援金は、医療保険の仕組みを使って徴収するわけです。被用者保険と国保の費用の分担は、介護納付金と同じだといいます。厚労省に計算してもらいましたが、年収三百万円、単身者の介護保険料は、協会けんぽなら年約二万八千四百円、国保なら年四万四千円です。国保は協会けんぽの一・五倍なんですね。医療保険の仕組みを使うと、同じ収入でも保険ごとに子育て支援金の負担額が異なり、収入が少ない人が収入が多い人より負担額が大きい、こういうことが起きるんじゃないですか。
○加藤国務大臣 お答え申し上げます。支援金につきましては、全世代、全経済主体が子育て世帯を支える新しい分かち合い、連帯の仕組みとして検討しているところであります。その際、医療保険制度は同じく連帯の仕組みであり、少子化対策によってその持続可能性の維持向上に寄与するとともに、全世代が広く加入することなどから、これを活用して支援金を賦課徴収いただくことを検討しているものです。現在、法案の成案化に向けて最終調整を行っており、各医療保険制度ごとや収入の多寡等による支援金の拠出額について申し上げられる段階にはございません。
○宮本(徹)委員 否定されない。当たり前なんですよね。でも、これはどう考えたって、同じ仕組みを使ったら、国保の方が収入が少ないのに、負担が同じ協会けんぽの人よりも増えちゃうということになっちゃうわけですよね。大体、収入が少ない人が収入が多い人よりも子育て支援金を大きく負担する、こういうことが起きる制度を正当化し得るんですか。
○小野寺委員長 宮本君、既に予定の時間が過ぎております。
○宮本(徹)委員 時間が来ちゃいましたから終わりますけれども、これはおよそ正当化できない制度設計だということを厳しく指摘申し上げまして、質問を終わります。
○小野寺委員長 これにて宮本君の質疑は終了いたしました。