ノーモア・ミナマタ第2次訴訟 共産党国会議員団と懇談
「偽患者じゃない」
「わたしらは偽患者じゃない」。水俣病と認定されず、救済策の対象にならないのは不当だと主張して熊本や鹿児島の被害者140人余が国と熊本県、原因企業のチッソに賠償を求めたノーモア・ミナマタ第2次訴訟で、熊本地方裁判所が22日に出したのは原告側全員の訴えを退ける不当判決でした。これを受け、原告団のうち10人余が26日、衆院第1議員会館で開かれた集会で、全面救済を訴えました。
原告団長の森正直さん(73)=水俣市=は「まさか全員棄却になるとは思わなかった」と言葉をつまらせました。
子どものころから手足のしびれ、ふくらはぎの‟からす曲がり”(こむらがえり)が起きるのは普通だったといいます。
2009年に水俣病被害者の救済・解決にかんする特別措置法(水俣病特措法)が議員立法で成立。認定患者でなくても手足のしびれなど一定の病状があれば一時金を支給することなどを定めました。しかし対象地域や発症年で線引きされ、多くの被害者が救済されていません。
未救済の水俣病患者を救済し、最終解決をはかることをめざし、国・熊本県・チッソを被告として熊本地裁に提訴したのが13年です。1陣から14陣の1627人が原告となりました。
森さんは「10年を経過し227人が亡くなりました」と報告。原告の平均年齢は75歳です。「医師からは水俣病だと言われるのに、(裁判では)いろいろ条件を出されて棄却される。この判決を許すわけにはいかない」と涙とともに訴えました。
鹿児島からきた楠元照子さんは味覚症状があります。「食事を作っても味がわからん。作ってもうれしくない。なりたくてなった病気じゃない」と訴えました。
園田昭人弁護団長は「熊本地裁判決の問題は水俣病検診の経験豊かな医師たちが作成した共通診断書を軽視した点、25人については水俣病と認定したのに20年で損害賠償請求権が失われる除斥期間を適用し退けた点」だと指摘しました。
一方「評価できる点がある」として、1969年以降のメチル水銀暴露の可能性を認めたことに言及。「水俣病と認めた25人のうち21人は特措法の対象地域外の原告でした。特措法の対象地域見直しが必要であることが明らかになった」とし、「引き続き団結してたたかう」と控訴する決意を語りました。
日本共産党から小池晃書記局長、田村貴昭、宮本岳志両衆院議員、仁比聡平参院議員が出席しました。
共産党国会議員団と懇談
集会前日の25日、国会内で原告弁護団と日本共産党国会議員の懇談があり、弁護団から判決の概要、原告の実情などが語られました。田村智子党委員長は「政治ができることは被害患者の早急な救済。解決のために全力を尽くすと約束しました。
穀田恵二、宮本徹両衆院議員、仁比聡平、山下芳生両参院議員が出席しました。
以上2024年3月27日付赤旗日刊紙より抜粋(写真は赤旗提供)