2024年4月3日 衆院厚生労働委員会 健康被害報告 義務に 小林製薬「紅麹」巡り 宮本徹氏求める

配付資料 衆議院消費者問題に関する特別委員会議事録2014年3月25日
配付資料 朝日新聞2015年5月13日付
配付資料 東京新聞2019年5月14日付
配付資料 日経クロスティック2022年8月4日
配付資料 産経新聞2017年5月18日付
配付資料 株式会社「マネーフォワード」ホームページ
配付資料 NHK2024年4月2日 みんなでプラス 医師の働き方改革 より宮本徹事務所作成
配付資料 毎日新聞2024年3月30日付
配付資料 東京新聞2024年4月1日付

 日本共産党の宮本徹議員は3日の衆院厚生労働委員会で、小林製薬(大阪市)の紅麹(べにこうじ)を使った機能性表示食品の摂取による重大な健康被害が発覚した問題で、「安全性も品質管理も企業任せの機能性表示食品制度は根本的な見直しが必要だ」と主張しました。
 厚労省は錠剤やカプセルなどの健康食品には医薬品のGMP(適正製造規範)に準ずる安全確保の取り組みを推奨し、医薬品のGMP省令では原料の品質確保、微生物による汚染防止の管理法などを定めています。プベルル酸が検出された紅麹を製造した小林製薬の工場は、GMP認証は取得していません。
 宮本氏は「安全対策の肝は、製造と品質の管理だ。機能性表示食品、サプリメントや菌からつくる原料はGMP管理の義務化を検討すべきだ」と要求。武見敬三厚労相は「管理について調査を進める。安全管理に関わるガバナンスも調査する。根拠に基づいて再発防止の対策を議論する」と述べました。
 宮本氏は、健康被害発覚から報告が2カ月以上も遅れた問題で、「健康被害の報告義務や公表制度がないことへの反省が必要だ」と指摘。工藤彰三内閣府副大臣は「製薬業者が行政機関に報告すると確信して制度をつくった。もう一度考え直す」と答弁しました。
 宮本氏は、国民生活センターには機能性表示食品の摂取後に「肝炎になった」「つえなしでは歩けない」などの重症事例も出ていると指摘し、「消費者から多くの訴えがあっても事業者からの届け出はなかった。健康被害の報告を法律上の義務にしていくことが必要だ」と訴えました。

以上2024年4月4日付赤旗日刊紙より抜粋

≪2024年4月3日 第213国会衆院厚生労働委員会第8号議事録≫

○新谷委員長 次に、宮本徹君。
○宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。今日は、小林製薬の紅こうじサプリの健康被害の問題から取り上げたいと思います。機能性表示食品の制度は、安倍首相が世界で一番企業が活躍しやすい国を掲げて、規制緩和で生まれました。国が審査、許可するのではなく届出制。安全性の担保も品質管理も企業任せ。健康被害の報告義務もない。導入には、日弁連、主婦連、商団連も反対してまいりました。資料一を見ていただきたいと思いますが、導入の前、我が党の穀田議員が国会で、命に関わる問題だと批判し、私は危ないと言っている、あなたは危険がないようにと言っている、それは歴史が審判する、こう指摘してきたわけであります。大臣、今回の健康被害、小林製薬の責任はもちろん重大ですけれども、安全性を軽視した規制緩和を行った政権の責任も重大じゃありませんか。
○武見国務大臣 食品表示法の機能性表示食品の制度については、これは御存じのとおり消費者庁の所管でございますので、私がお答えする立場にはございませんけれども、三月二十九日の関係閣僚会議において、官房長官から、消費者庁において今回の事案を受けた機能性表示食品制度の今後の在り方についてなど五月末を目途に取りまとめるよう指示があったというふうに承知しておりますので、それに基づいてその役割を果たしていきたいと。
○宮本(徹)委員 反省の言葉は大臣の立場からは述べられないんだったら、反省の言葉、消費者庁から一言述べられますか。述べられないんだったら、時間がもったいないのでいいですけれども。反省、ありますか。あるかないかだけお答えください。
○工藤副大臣 先生の質問は、今ちょっと私、まだ整理できていないので、答えることはできません。
○宮本(徹)委員 恐ろしいですね。何の反省もないのかと。私は、猛反省から出発しなきゃいけないと思うんですね。そもそも、この機能性表示食品制度は、スタートしてからも問題点が繰り返し指摘されてきております。資料の二ページ目、特保で申請して食品安全委員会から安全性が確認できないとされたものが、機能性表示食品としては届出が受理された事例。資料の三ページ目、薬剤師会が調べてみたら、効果がない、こう指摘された事例。さらに、資料四ページ、多くの食品メーカーが科学的根拠が不十分な臨床研究論文を作成している可能性がある、こういう指摘もされてまいりました。安全性も効果についてもその担保はない。品質管理も企業任せ。この機能性表示食品の制度は根本的な見直しが必要じゃありませんか。
○依田政府参考人 お答えをいたします。機能性表示制度につきましては、食品表示法に基づく制度でございまして、委員御指摘のとおり、これは事業者の、自らの責任において、科学的根拠に基づいて表示をするという制度でございます。科学的根拠につきまして、特に安全性につきましては、食経験、安全性に関する既存情報の調査、又は動物や人を用いての安全性試験の実施により評価をすることを求めております。(宮本(徹)委員「見直しが必要と考えているかどうかだけ答えてもらえますか」と呼ぶ)はい。今回の事案を受けまして、先ほど大臣、副大臣からもございましたように、本事案を受けました機能性表示食品制度の在り方について五月末までを目途に取りまとめることとしておりまして、スピード感を持って検討してまいりたいというふうに考えております。
○宮本(徹)委員 根本から本当に考え直さなきゃいけない事態だと思います。その上で、厚労大臣にこれはお伺いしたいと思うんですけれども、今回、サプリメントなんですね。サプリメントというのは、同じ製品を毎日継続的に長期にわたって摂取するというものであります。ですから、一旦有害物質が紛れ込むと、大きな健康被害につながる。サプリメントにはこうしたリスクがある、こういう認識はございますか。
○武見国務大臣 委員お尋ねのような状況におけるサプリメントのリスクについては、食品安全委員会が開催したワーキンググループが二〇一五年に取りまとめた報告書によりますと、健康食品は安全な上限量は分からないものがほとんどであるが、一般的には、多量に摂取したり長期間同じものを摂取すれば健康被害のリスクは高くなるものとの見解が示されたものと承知しております。
○宮本(徹)委員 そのとおりで、サプリメントというのは健康被害のリスクがそもそも高いものなわけですね。さらに、ここに有害物質が今回紛れ込んでいたのではないのかということになっているわけですから、サプリメントのリスクに見合った安全対策もこれからしっかり考えなきゃいけないんじゃないかというふうに私は思います。その上で、今回、大阪の工場で製造された紅こうじから毒性の強いプベルル酸が検出されたわけですね。機能性表示食品は、製造と品質の管理についても取組状況を届けるだけでよく、品質を担保する定めというのはありません。危険な機能性表示食品が市場に出回る可能性が当初から指摘をされてきました。小林製薬の紅こうじサプリの届出を見ますと、岐阜の工場が日本健康・栄養食品協会のGMP認証を受けておりますが、大阪の原料の工場はGMP認証を受けていたんでしょうか。製造、品質の管理はどうなっていたんでしょうか。
○大坪政府参考人 お答え申し上げます。健康食品のうち錠剤やカプセルなどの健康食品につきましては、令和六年の通知によりまして、医薬品のGMPに準ずる内容でGMPによる安全確保の取組を行うことを推奨しております。したがいまして、民間の、各認証機関の要件を満たす場合には、認証機関によってGMP認証を受けることが可能でありますが、今般の小林製薬の工場においてはGMPの認証は取得をしていなかったと承知をしております。ただ、他方で、食品衛生法に基づき、原則、全ての食品事業者に対しましてHACCPに沿った衛生管理、これが義務づけられております。危害要件を除去又は低減するために全工程において課せられているものでございますが、こういったものについては行っていることを立入検査で確認をしております。
○宮本(徹)委員 全ての食品に課せられているHACCPはやっていたけれども、厚労省が推奨している、医薬品のような、GMP、この認証は受けていないということなわけでございます。原料を作る工場でプベルル酸が検出されたということなんですね。今の機能性表示食品の仕組みでいくと、最終のサプリメントの製造施設だけの管理体制、これを届けるだけでいい、そういう仕組みなんですね。これは、健康被害を防ぐ仕組みとしては、大臣、大変不十分だったんじゃないですかね。
○武見国務大臣 機能性表示食品制度については消費者庁が所管しており、所管外であるために、同制度に基づく届出について私が評価するのは本当は控えたいのでありますけれども、今般の紅こうじを原料とする製品も含めて、食品の管理については、食品衛生法に基づき、令和三年六月から、原則、全ての食品等事業者に対してHACCPに沿った衛生管理を義務づけておりまして、食品の原材料を製造している施設であっても、食品の危害防止や安全性の確保の観点から適正に管理されるべきものと認識をしております。
○宮本(徹)委員 そのHACCPだけでは不十分だったのではないのかということだと思うんですよね。先ほど局長から答弁ありましたように、厚労省としてはGMP認証ということを言っていたわけですね。ちょっと医薬品の場合についてお伺いしたいと思いますけれども、医薬品の場合は、製造管理、品質管理、これは省令で基準を定めて、このGMP省令に適合していないと承認されないということになっているわけですね。この医薬品のGMP省令は、原料についてはどういう対応を取っているんでしょうか。
○城政府参考人 お答え申し上げます。医薬品についてでございますが、医薬品医療機器等法におきましては、医薬品の品質、有効性、安全性を確保するために、医薬品等の製造管理及び品質管理の基準でありますGMP省令を定めておりまして、そこでは、医薬品や有効成分たる原薬等の製造業者に遵守を求めているものでございます。GMP省令では、菌から製造されるものも含みます原料につきまして、その製造管理や品質管理に関して規定をしております。そして、原料の取り違えや、品質が確認されていない原料の使用などを防ぎ、製品の品質の確保をいたしております。また、製造所の構造設備の管理方法も規定しておりまして、微生物等による汚染を防止をしております。具体的には、製造業者に対しまして、原料につきまして、原料が適正であることを確認するための手順書の作成、原料及び製品について、ロットごとの試験検査の実施と記録の作成、保管、原料等の提供者が適切な製造管理及び品質管理を実施しているかの定期的な確認を求めておりまして、さらに、製造所の構造設備につきまして、製品に応じた適切な清掃及び保守の実施、微生物等による汚染を防止する構造設備を有する作業室の設置等を求めているものでございます。
○宮本(徹)委員 医薬品の場合は、微生物による汚染をどうやって防ぐのかと徹底的にやっているわけですよね。それをちゃんと省令で基準を定めて、それに適合していない限り、そもそも承認されないということになっているわけですね。今回の紅こうじなわけですけれども、これは菌なんですね。今日の報道を見ていますと、やはり、サプリメントの業者なんかの指摘でも、菌の培養器が熱を帯びて周辺の温度が上がり、工場の空気中にカビや雑菌が繁殖しやすいということなんかも指摘がされております。ですから、紅こうじを他の食品や日用品と同じ工場で生産するのはリスクがある、こういうことも言われているわけであります。まだプベルル酸が原因だと確認されて断定されているわけでもないですし、あるいはプベルル酸がどのように発生したかというのも、まだその発生機序も分かっていないわけでありますけれども、少なくとも機能性表示食品については、医薬品のようにGMP管理を義務化しないといけないんじゃないか。それで、原料の製造施設についても、GMP管理を義務化していかなきゃいけないんじゃないか。とりわけサプリメントは有害物質が紛れ込むと大きな健康被害につながりますから、サプリメントの原料についてはGMP管理を義務づけるだとか、あるいは菌ですね、菌は本当に温度だとか何だとかというものによって培養の過程でほかの雑菌が繁殖しやすい可能性も指摘されているわけですから、菌から作る原料についてはGMP管理を義務づけるだとか、今回の事案に応じた徹底した安全対策について検討しなきゃいけないと思いますが、ここは厚労大臣、お答えいただきたいと思います。
○武見国務大臣 先ほどの答弁の中でも申し上げたように、今回は、やはり、五名の死亡者が現実に発生をしたという極めて深刻な事態というふうに受け止めております。改めて、その原因と、それから、実際にこういった症状が生じ、死亡者に至るその機序というものの因果関係を徹底的にまず調査をして、そして、その中で、制度の中に問題があるのか、あるいは小林製薬という企業の中に問題があるのか、それらをしっかりと見極めた上で、エビデンスに基づいて、今後どのように再発防止の対策というものを講ずることができるか、こうした形で議論を進めさせていただければと思います。
○宮本(徹)委員 当然その原因の解明というのが基本ですし、エビデンスに基づいて対策を取るというのが基本だと思いますが、先ほど来の答弁で、小林製薬独自の問題という言い方が少し気になるんですよね。企業はもうけをやはりいつも優先しちゃいますから、いろいろなところが緩くなっていくわけですよ。それをやはりしっかりと規制するのが政府の立場であり、法律だということだと思うんですよね。ですから、そういう点でいうと、今回の事案の解明というのは当然きっちり、これが大前提でありますけれども、安全対策の肝の一つというのは、やはり製造管理、品質管理、ここの安全性の担保だというふうに思うんですけれども、その認識は大臣におありでしょうか。
○武見国務大臣 これはもう、食品衛生法上に基づいたそうした食品の管理というものが、例えば、HACCPが義務づけられていて、それをきちんと遵守しているかどうか、それから、GMPの管理については、これは推奨しているわけでありますけれども、それにどの程度対応できていたのかとか、そういったことについてしっかりと調査を進める必要性がございますし、また、その安全管理に関わるガバナンスの問題というのもやはりきちんと調査をして、確認をして、そして、それがそれぞれの個社の問題であるのか制度設計の問題であるのか、こういった議論が一つ一つ丁寧にきちんと今回行われるべきだと考え、そして、その根拠に基づいて今後の対応策について御議論をさせていただきたいと思います。
○宮本(徹)委員 そこはしっかり分析して対応ということになると思うんですけれども、個社の問題が起こる背景には制度の問題も多くの場合はあるという認識を持って、しっかり対策を進めていっていただきたいと思います。それから、次の問題は、山井さんもかなりやられていたんですけれども、初めの健康被害から二か月以上も報告が遅れたことが被害の拡大につながった可能性が極めて高いわけであります。機能性表示食品のガイドラインでも、万が一、健康被害が発生した際には、急速に被害が拡大するおそれがある、そのため、入手した情報が不十分であったとしても速やかに報告することが適当であるとありますので、明白なガイドライン違反だということであります。小林製薬には健康食品を扱う資格が問われるかのような対応なわけですけれども、しかし、法律上は報告の義務はないというままになっているわけですね。機能性表示食品制度をめぐっては、当初から、健康被害の報告義務や公表制度がない、こういうことが市民団体の皆さんから指摘され続けてきました。反省が必要じゃありませんか。
○工藤副大臣 お答え申し上げます。機能性表示食品制度においては、届出事項の一つとして、健康被害の情報収集体制を内閣府令に規定し、表示の適正性を図る観点から、その運用について届出ガイドラインに規定しております。届出ガイドラインにおいては、健康被害の発生及び拡大のおそれがある場合は、届出者は速やかに消費者庁はもとより保健所に報告することとしています。こうした届出後の事業者の対応、具体的には、事業者が健康被害の発生の未然防止や拡大防止のために情報収集し、報告を行う体制を事業者の責任においてきちんと運営していただくことが重要であると考えております。小林製薬が医療従事者……(宮本(徹)委員「消費者庁としての反省はないんですかと」と呼ぶ)
○新谷委員長 答弁を続けてください。
○工藤副大臣 小林製薬が医療従事者からの被害情報を入手してから行政機関への報告まで、先生がおっしゃったとおり二か月を要しており、届出後に健康被害の情報収集体制が機能していたかという点について疑念を抱かざるを得ないと考えており、三月二十八日付で、小林製薬を含む全ての届出食品約七千件について、届出者に対し、健康被害の情報の有無や報告状況などの確認を行った上で、消費者庁に回答することを求めております。本調査では、医療従事者から報告のあった健康被害情報の行政機関への報告状況、行政機関へ報告しなかった理由等について文書で回答を求めております。機能性表示……(宮本(徹)委員「だらだら答えないで」と呼ぶ)
○新谷委員長 答弁を続けてください。
○工藤副大臣 機能性表示食品制度については、先週の閣僚会合において、官房長官から、本事案を受けた機能性表示食品制度の今後の在り方について五月末を目途に取りまとめるよう指示されたところであり、本調査の結果も踏まえ、五月末までに本制度の在り方の方向性を取りまとめるべく、スピード感を持って取り組んでまいります。今委員から、反省はないのかと。やはりこの件については、このような事案が起きたということは、全てが、何とか、私たちがどうなんだということはないですが、私としては、見ていまして、やはり、こういう業者、製薬業者がきちっとしたものをやってもらえるだろうと確信してこういう制度をつくっているわけでありますので、その辺をもう一度考え直すことも、五月末までに、私としては入れなきゃいけないと考えております。
○宮本(徹)委員 考え直すというのは、反省を踏まえなければしっかり考え直すことはできないわけですよね。資料の五ページ目を見ていただきたいと思いますけれども、実は、機能性表示食品が原因の可能性がある重篤な健康被害というのは、これまでも全国各地の消費生活センターには消費者から相談が寄せられるということがありました。消費者庁にお伺いしますけれども、この機能性表示食品の制度発足以来、全国各地の消費生活センターには健康被害について消費者から何件の相談があったのか、そのうちガイドラインに基づく健康被害の報告というのは何件あったんでしょうか。
○依田政府参考人 お答え申し上げます。消費生活相談につきまして、機能性表示食品に関する健康被害に関する相談のみを集計することは、消費生活相談を管理しているデータベースの仕様上、申し訳ございませんが、困難でございます。また、それらが我が方の制度に基づく届出ガイドラインに基づく報告であったかどうか、これも、照らし合わせることも、したがいましてできないということでございます。ただ、なお、参考情報でございますけれども、いわゆる健康食品一般に関する健康被害に関する相談情報につきましては、制度発足二十七年四月一日から令和六年三月二十一日まで集計しましたけれども、約一万七千件ございました。
○宮本(徹)委員 機能性表示食品に関しての統計がないということなんですけれども、国民生活センターの事故情報データバンクを私も昨日見ましたけれども、機能性表示食品を取った後に肝炎になった、足がしびれてつえなしで歩けなくなった、脳梗塞を発症した、目がよく見えなくなったなどなど、かなり重い事例も出てくるわけですよね。もちろん、因果関係というのは、消費者からの届出ですから、それだけで断定するわけにいかないですけれども、こうしたものが把握も、ちゃんと集計もされていないというのは大変深刻だと思います。では、こういう聞き方をしますけれども、機能性表示食品について、ガイドラインに基づく健康被害の報告というのは、事業者からこれまで何件あったんですか。
○依田政府参考人 今回のように、対象の商品が回収命令の対象になるような形での展開の健康被害の情報報告というものは、今回が初めてということになります。
○宮本(徹)委員 今まで消費者生活センターには消費者からはいろいろな健康被害の報告があったけれども、事業者から健康被害だと報告がされたことは今回が初めてだということなんですよね。ですから、全く、この機能性表示食品の問題というのは健康被害の報告の仕組みとしても機能していないと言わなければならないというふうに思います。武見大臣、こういう事態なんですよね。消費者からいっぱい訴えがあっても、事業者から全然届けられることもなかった。ですから、ここの健康被害の報告義務というのを、どの範囲でどうかけるのかというのはありますけれども、ここは本当にしっかり検討しなきゃいけないと思います。先ほど山井さんの質問で、ルール化は必要だと大臣の明快な答弁がありました。そのルール化というのは、やはり、今は努力義務になっているわけですけれども、義務にしていく、法律上の義務にしっかりしていく、ここが必要だと思います。その点、御決意をお伺いしたいと思います。
○武見国務大臣 国民の皆様方の御心配というものが大変深刻であることは、実は、厚生労働省、消費者庁と合同で、コールセンターを三月二十九日の午後三時に設置したのでありますけれども、四月一日までの相談件数、延べ二千二百十七件もあります。こうした状況も踏まえて、改めて、先ほどから申し上げているような、原因、それから発生機序に関わる因果関係、これらを徹底的に分析をして、そしてさらに、それぞれ企業自身のガバナンスに関しても徹底的に調べた上で、未然防止のための対処方針というものをしっかりと検討をし、その中で、どのようなルール化が必要かということを確定していくということが適切なプロセスになるのではないかと思います。
○宮本(徹)委員 しっかりとして対策を取って、二度とこうした事態が起きないように、私たちも一緒に取り組んでいきたいと思います。次のテーマであります。四月から、運送業、建設業、医師の時間外労働の新たな上限規制が始まりました。建設業で働く若者からこういう相談があったんですね、訴えがありました。会社からの指示でスマホに勤怠管理アプリを入れて管理することになったが、これを使って不払い残業が行われているという訴えなんですね。勤怠管理のアプリは、たくさん今出ております。私もホームページで検索して、一例として資料六ページに載せました。アプリの設定で、始業時間だとか終業時間などを丸めるという機能が、丸めという機能があるんですね。訴えがあった人は、始業時間前の三十分未満、あと終業後の三十分未満を丸めて切り捨てられる、残業時間とみなさない、こういうことがやられているということなんですね。アプリのシステムによっては六十分丸めることができる。その場合は、前後でいえば一日最大百二十分も残業とみなさないということになってしまうわけですね。武見大臣、当然、労働時間の管理というのは一分単位というのが原則なわけであります。労働時間を何分以下なら切り捨てるというのは明白な違法行為だと私は思います。勤怠管理アプリで時間を丸めて残業代の支払いから逃れる行為、こうしたことは許されないんだということを、事業者にも、そしてアプリの開発事業者にも、双方に徹底する必要があるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
○武見国務大臣 労働時間については、通達により、一か月における時間外労働、休日労働及び深夜業の各々の時間数の合計に一時間未満の端数がある場合に、三十分未満の端数を切り捨て、それ以上を一時間に切り上げるという場合は、労働者に有利な場合も不利な場合もあることから、事務簡便を図るものとして、法違反として取り扱わないこととしております。一方、例えば、切上げを行わずに日ごとに六十分に満たない部分を常に切り捨てるといった運用は、これは認められません。 こうした通達の考え方はこれまでも労働基準監督署において周知を図るとともに、事業場において適正な労働時間管理が行われていない場合には指導を行ってまいりました。アプリ開発者に注意を促すことも含めて、引き続き、必要な対応を徹底してまいりたいと思います。
○宮本(徹)委員 本当に、私も昨日ホームページをいろいろ検索して、時間を切り下げる、日ごとに切り下げるというのは、ほとんどのアプリにその機能が備わっているわけですよ。(発言する者あり)ひどいなんて話がそこも上がっていますけれども、本当にこういうことがまかり通っているということでございますので、徹底的にこれはこうしたことがないようにやっていただきたいということを申し上げておきたいと思います。最後に、医師の働き方改革について取り上げようと思っておりましたが、あと、質問までたどり着けるのかという時間しか残っておりません。昨年、医師の労働時間規制に合わせて宿日直許可が乱発されているという問題を取り上げさせていただきました。労働時間を労働時間として扱わない事態が広がっているわけですね。資料の七ページ目を御覧いただきたいと思います。これは、昨日NHKのサイトに新しく出た声なんですね。医師の働き方改革の現場から届いた百四十以上の声をまとめたページができておりまして、その中から宿日直許可に関わるものを幾つか抜き出しました。右下のやつを読みます。当院は周産期母子センターで緊急搬送や緊急手術があるのにもかかわらず、宿日直届を提出しています。そのため、当直当日も一時間置きに起こされて、診察しても、実質五分ほどしか当直業務としてみなされず、当直時間はほぼ給料が出ない仕組みになっています。外勤も、働き方改革のため行えません。現状だと犠牲者は必ず出ます。こうした声が、たくさんたくさん寄せられている現状があります。まず、この宿日直許可の実態を是非大臣に改めて調べていただきたいと思うんですよ。この間、様々なところで告発がメディアでも出ております。いかがでしょうか。
○新谷委員長 武見厚生労働大臣、簡潔にお願いします。
○武見国務大臣 はい。医療機関における宿日直許可については、特殊な措置を必要としない軽度、短時間の業務や、夜間に十分な睡眠が取り得る業務など、宿日直許可基準に適合しているものに限って労働基準監督署が許可の判断を行っております。こうした許可基準に適合しなければ、許可はいたしません。個別の報道についてコメントは差し控えますけれども、一般論として、宿日直許可の趣旨に反し通常の勤務時間と同様の業務に従事することがあった場合には、その時間を通常の労働時間として、時間外労働に対する割増し賃金の支払い義務などが生じます。加えて、厚生労働省は、医療機関において宿日直許可取得後の適切な労務管理について理解を深めていただくよう、新たに分かりやすい資料を作成をして、この周知徹底を行っているところでございます。
○宮本(徹)委員 時間は終わりますけれども、夜間に十分に睡眠を取れるのが前提にもかかわらず、取れていない方々が宿日直許可の対象にたくさんなっているのが現状ですから、これは次回もまたやらせていただきます。終わります。