2024年4月10日 衆議院厚生労働委員会(赤旗未報道の宮本徹質疑議事録) ハローワーク 三年公募の廃止 常勤化進めよ 宮本徹求める

配付資料 都道府県労働局の体制について 
配付資料 令和4年度 職員の男女の差異の情報公表
配付資料 国家公務員の男女賃金格差 厚労20240410
配付資料 厚生労働省ホームページ「令和4年 雇用動向調査結果の概要」より抜粋 
配付資料 ハローワーク(東京労働局)の求人票の所定内賃金(常用フルタイム)の上限、下限額 

≪2024年4月10日 第213国会衆院厚生労働委員会11号議事録≫

○新谷委員長 次に、宮本徹君。
○宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。前回の続きです。まず、ハローワークの体制についてでございます。お配りしております資料、これは厚労省の作った資料ですけれども、こう書いてあるわけですね。ハローワークについては、非常勤職員の割合が高く、常勤職員が本来担うべき基幹的な業務を非常勤職員が恒常的に担っている実態が一部にある、こうあるわけですね。ここで言う常勤職員が本来担うべき基幹的業務というのは何を指しているのか、そして、それを担っている非常勤の方は何人ぐらいいらっしゃるんでしょうか。
○山田政府参考人 お答えいたします。御指摘の常勤職員が本来担うべき基幹的業務というのをずばり定義づけることはできませんが、例えば、障害者ですとか一人親の世帯、高齢者等、そういった就職に際してきめ細かなサポートが必要な方への就職支援といった、ハローワークの幅広い業務経験や専門性を持って丁寧な対応をすることが望ましい業務のことを指して言っております。ハローワークの窓口には様々な求職者が来所する中で、このようなきめ細かな支援を必要とする方々もいらっしゃるのがハローワークの場合通常ですので、このような方々だけを担当する職員としては配置していないことから、一概にそういった人がどれぐらいいるのかという数字をお答えすることは困難ですけれども、個々の求職者のニーズや状況に応じて、常勤職員が非常勤職員を管理、フォローしながら対応していきます。
○宮本(徹)委員 高齢者や障害者や一人親や、きめ細やかな就職支援をやっているのは、恐らく窓口の非常勤の相談員の皆さん、ほぼ皆さんがやられているということですよね。
○山田政府参考人 お答えいたします。現状では、紹介部門においてかなりの数の非常勤職員の人が入っていていただいて、その方々にそういった業務も含めてやっていただいているのは事実でございます。
○宮本(徹)委員 つまり、ほぼ皆さんが、本来常勤職員が担うべき基幹的業務を非常勤の皆さんが担っているというのが実態だということだと思うんですよね。この資料を見ますと、今、常勤と非常勤は一対二ということで、非常勤が常勤の倍いる状況なわけですけれども、こういう状況を大きく変えて、非常勤の皆さんの常勤化を抜本的に進めるということが必要だというのがこのペーパーの言っている趣旨なのかなと私自身は理解をしております。ただ、ハローワークの非常勤の職員の皆さんは、三年に一度、昨日の参考人質疑でも紹介がありましたけれども、自らの職が公募にかけられる、求職者に自らの職を紹介しなきゃいけない、こういう立場に置かれているわけであります。そこで、厚労省の文書の二つ目を見ましても、こう書いているわけですね。職業の安定を所掌するハローワークで働く非常勤職員の雇用が不安定であることについて、その処遇の改善が求められていると。私、去年の予算委員会で武見大臣に、ハローワーク職員が不安定雇用だというのはブラックジョークにもならないということを申し上げさせていただきました。そういうことを受け止めていただいたのかと思うような書きぶりになっているなと思いました。ちょっと数字を教えてほしいんですけれども、ハローワークで働く非常勤の期間業務職員の皆さんが公募に応募した際の合格率、これまでずっと働いてきて引き続き継続の任用を目指すケースと、新規応募者のケースと、それぞれ合格率はどうなっているでしょうか。
○山田政府参考人 お答えいたします。令和五年三月三十一日時点で在籍したハローワークの期間業務職員のうち、人事院規則等に基づき公募の対象になり、公募に応募した者は五千四百六人、そのうち採用に至った者は四千五百四十九人でありまして、今の数字を割り算すると、この割合は八四・一%となっております。もう一つ御指摘のあった新規の応募者数、そのうち採用された者の割合については、採用された者については一千百四十九人ですけれども、ちょっと応募者数については把握はできていませんが、公募に当たって公正な採用に留意して行っており、新規に応募される方についても、担当業務のハローワークでの仕事に求められる能力を有しているかどうか適切に評価して、意欲と能力のある方々について今回採用した次第でございます。
○宮本(徹)委員 今、引き続き雇用を求めても不合格になられた方々がいらっしゃる。合格率八四・一%、差引きすると八百五十七人の方が任用が打ち切られてしまったということになるわけですね。ですから、こういう心配があるから、本当に三年目を迎えると大変不安な気持ちに多くの皆さんが駆り立てられてしまう。そして、専門性を持った方々も職場を一定去るという状況が生まれてしまっているわけですね。私は、この三年に一度の公募制度というのは根本からやはり見直して、安定雇用を図っていく必要があると思います。先ほどの障害者や高齢者や一人親の支援、皆さんが求職の支援をやられているわけですよね。相談員ですから、どういう方がその窓口にそのタイミングで来るか分からないですから、誰もがやはりそういう対応をしなきゃいけない。きめ細やかに支援しようと思ったら専門性が必要だし、専門性のためにはやはり継続して働き続けるというのが一番だということでありますから、この三年に一度の公募制度というのはやはり根本から見直して、思い切って常勤化を進めていく、これが必要だと思いますけれども、武見大臣の答弁をお願いいたします。
○武見国務大臣 これは国全体の、人事院の所管になっているんですよね。ハローワークの非常勤職員など、国家公務員の非常勤職員の任免制度は、三年に一度の公募制度を含めて、人事院の所管になっております。厚生労働省としては、人事院の規則などに基づいて採用を行っております。その中で、相当、厚生労働省としても、委員も御指摘もあるとおり頑張っておりまして、令和六年度の組織・定員要求で、常勤職員が中心となって、担当者制できめ細かな支援を実施するモデル事業等に必要な人員要求をいたしておりまして、ハローワークについては百十一名の定員増を実現しました。それから、その上で、ハローワークにおいては、これまでも非常勤職員の処遇改善だとか常勤化に継続的に取り組んでおりまして、特に、令和六年度に向けた社会人の選考採用においては、ハローワークなどの非常勤職員について、近年の実績の三倍となる百六十六名の方を常勤として採用しました。ハローワークの定員は、先ほど申し上げたように、政府全体の国家公務員の定員管理の中で決まるものではありますけれども、令和七年度以降も、モデル事業の成果を踏まえて、必要な執行体制の確保に努めるとともに、非常勤職員の常勤化を進めていきたいと思います。
○宮本(徹)委員 百六十六人の常勤が、これまでの三倍だといいますけれども、大臣、この資料を見てくださいよ。ハローワークの非常勤職員、二万百二十三人ですよ。一年で百六十六人だったら、二万百二十三人を常勤化しようと思ったら、百年たっても何千人も非常勤のままということになってしまうわけですよね。ですから、これは本当に根本的に取り組まなきゃいけないと思いますし、あと、あわせて、先ほど、三年に一度の公募の制度というのは人事院の制度だと。それは確かに人事院の制度なんですけれども、私が聞いているのは、人事担当者同士では、厚労省サイドは、三年で公募にかけるのはやめた方がいいんじゃないかというのは言っているみたいなんですよね、当然のことながら。ですから、ここは大臣からも、ちょっと人事院に直接言うのが適切かどうかというのはありますけれども、人事院に、あるいは内閣人事局の担当大臣にも、やはり、ハローワークの担っている仕事からしても、三年に一度公募というのは全くこれは実態に合わないので、やはり大臣からも少しこれは物を言っていただく必要があるんじゃないかと思いますが、その点、いかがでしょうか。
○武見国務大臣 これは、令和五年の人事院勧告時の報告で、再び採用される場合の公募要件の在り方を含めて、非常勤職員制度の運用の在り方について検討する旨の表明を、人事院がそれを行っております。私も、厚生労働大臣として、この趣旨に沿って、実際に努力をしていきたいと思います。
〔委員長退席、大串(正)委員長代理着席〕
○宮本(徹)委員 努力するというのは、この三年に一度の公募を見直していくという方向での努力ということでよろしいですか、根本的に見直して。
○武見国務大臣 その点も含めて、これからはしっかり検討していきたいと思います。
○宮本(徹)委員 しっかり取り組んでいただきたいと思います。あわせて、ハローワークの非常勤の職員もそうなんですけれども、女性の比率が高いんですよね。資料の三ページ目を見ていただきたいと思うんですけれども、これは、前に予算委員会で使わせていただいた資料ですけれども、国家公務員の男女の賃金格差、職員全体の男女の賃金格差ですね。厚労省は六三・七というふうに出るのは、非常勤の比率が高いからこういう数字が出るわけですけれども、じゃ、非常勤の中での男性、女性の比率ということで見れば、大体男性の倍近く女性が占めるというのが、非常勤職員の中での厚労省の男女比率ということになっているわけですね。ですから、私たち、これまでの日本社会の遅れた性別役割分業がこういう、女性に非正規の方を広げてきたということをずっと指摘してきたわけですけれども、こういう状況を考えると、厚労省全体の男女の賃金格差是正ということを考えても、ハローワーク職員をしっかり正規にしていくというのは非常に大事な課題になっていると思いますが、この点は、大臣、いかがでしょうか。
○武見国務大臣 確かに、厚生労働省の全職員における給与の男女差の差異というのは六三・七%、高いところにあります。この要因として、常勤職員の平均給与額が非常勤職員の平均給与額に比べて高い中で、非常勤職員における女性の割合が大きいということであります。厚生労働省の非常勤職員の給与は、給与法などに基づいて、勤務形態や職務内容を含めて定めているんですけれども、厚生労働省の非常勤職員の多くがハローワークで勤務されているという方々でございまして、今後とも、ハローワークの非常勤職員の常勤化の取組を確実に進めていくことなどにより、特に女性は当然でありますが、男性も含めて、問わず、働きやすい環境づくりをしなければいけないと思います。
○宮本(徹)委員 しっかり取り組んでいただきたいと思います。次の問題に移ります。昨日の参考人質疑でも出た話でございますが、教育訓練休暇給付金のことについてお伺いをしたいと思います、ちょっと問いの順番が入れ替わっていますけれども。教育訓練休暇給付金の支給を受けると、休暇開始前の被保険者期間は被保険者期間に含まれなくなってしまう。それまで何十年と雇用保険料を納めてきても、これは一旦受け取るとリセットされてしまうということなんですね。これで懸念されるのは、この教育訓練休暇給付金の支給を受けた後に失業する場合なんですね。失業給付を受けられるのは、原則として、訓練休暇終了から一年経過しないと駄目ということになりますし、一旦雇用保険の期間がリセットされてしまいますから、失業した場合の給付日数というのも減ってしまう、こういうデメリットがあります。昨日の参考人質疑でも、これは知らされていないと、後で知ってトラブルにもなりかねない、こういう指摘もありました。それで、別の参考人の方からは、教育訓練給付金についてはメリット、デメリットについてしっかり把握できる手続が必要だ、こういう指摘もありました。ですから、この教育訓練休暇給付金については、しっかりと、こういうデメリットもあるんだよということも周知していただきたいと思いますし、利用するかどうかの判断の前に、必ず本人がこのデメリットも含めて把握をする、こういう手続を取るようにしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○武見国務大臣 教育訓練休暇給付金につきましては、無給の教育訓練休暇を活用して自発的に教育訓練を受けることは、教育訓練に専念するために離職する場合と同視し得ることから、失業給付に相当する給付を行うこととしておりまして、教育訓練休暇給付金を受給した場合は、失業給付の受給資格は一旦リセットされることになります。この取扱いについて御理解していただけるように、制度の周知に努めるとともに、例えば、失業給付の受給資格を一旦喪失し、新たに受給資格を得るためには、原則十二か月の被保険者期間が必要となることを利用者が理解した上で申請していることを支給申請の段階できちんと確認するなど、きめ細かな対応を行うことによって、施行に向けて、こういう周知を徹底させていくということなどを含め、その手続、詳細、検討していきたいと思います。
○宮本(徹)委員 しっかり、そこは本当に、知らずにこれを受給して、その後、何か突然失業せざるを得ないという状況になってということで、えっ、失業給付を受け取れないのかなんということにならないように、しっかりとした手続をお願いしたいと思います。続きまして、雇用保険の全体の話にも移っていきますけれども、失業者のうち、今日も議論になっておりますけれども、基本手当を受けている方というのは二二・八%にとどまります。幾つも理由があるわけですけれども、一つは受給資格要件が厳しい、二つには所定給付日数が短い、三つには給付制限があるということがあります。それぞれ改善が必要です。今回は、法改正に合わせた通達の改正で、正当な理由がない自己都合退職の場合の給付制限期間を二か月から一か月に短縮する。これは、一歩は前進だと思いますが、しかし、給付制限期間はまだ残るわけですね。給付制限期間が一か月というのは、離職から二か月ぐらい収入がない、こういうことにもなるわけです。そうすると、非正規雇用の人なんかは、本当に貯金もない方も少なくなくいらっしゃいますから、失業手当の受給以前に、当面の生活費の確保のために悪い労働条件で働くことを余儀なくされる、あるいは、就職を急いだ結果、ミスマッチが生じる、こういうリスクがあるんじゃないでしょうか。
○武見国務大臣 今回の制度改正では、転職を試みる労働者が安心して再就職活動を行えるようにするという観点から、自らの意思により離職する者に対して設けられている基本手当の給付制限については、現行の二か月の給付制限期間を一か月に短縮をしております。それから、自ら雇用の安定や就職の促進に資する教育訓練を行った場合は、給付制限を課さずに基本手当を支給することとしております。他方で、給付制限は、雇用保険の基本手当の受給を目的とした離職を助長しないようにするために設けられたものでございます。その趣旨、引き続き重要でございます。御指摘のミスマッチのリスクについて、これはまだ定かではございませんけれども、ハローワークにおける再就職支援によって、本人の希望に沿った再就職が可能となるように取り組んでまいりたいと思います。なお、給付制限期間中であっても、再就職した場合には、支給残日数に応じて再就職手当が支給される仕組みとなっております。
○宮本(徹)委員 問題は、当面のお金がない方々が一番困っているということなんですよね。そこへの手当てというのが私は必要だと思うんですね。先ほど、この給付制限期間がなくなると、離職を助長するんじゃないかみたいな答弁があったわけですけれども、二〇二〇年に給付制限期間を三か月から二か月に短縮して、その結果を厚労省自身が調査していますよね。それを見ると、三か月から二か月に短縮した結果、じゃ、何回も失業を繰り返す人が増えたかといったら、増えていないというのが厚労省の調査ですよね。局長、そうですよね、そこは。通告していなかったから、答弁がすぐ出ないんだったらいいです。私、資料で見ましたけれども、自己都合退職で二年以内に二回以上受給資格を得た者の割合は一%前後で、変化が見られていないというのが厚労省自身の調査結果ですよね。局長、そうですよね。
○山田政府参考人 お答えします。御指摘いただいたように、自己都合離職者数等は、給付制限期間を三か月から二か月に短縮した令和二年十月の前後で比較して、傾向に大きな変化は見られないということになっています。
○宮本(徹)委員 ですから、この制限期間を短く一回したわけです。それで、別に失業給付目当てで失業しようという方は当然増えなかったわけですよね。ですから、今回、更に一か月短縮するという判断をしたんだと思いますけれども、この際、私はもうなくしたらいいと思うんですね。資料の四ページ目を見ていただきたいと思うんですけれども、厚労省の調査で、離職の理由というのを見ますと、個人的理由、その他の理由とありますけれども、労働時間、休日等労働条件が悪かったというのが一割前後いらっしゃるわけですね。職場の人間関係が好ましくなかったというのも一割前後いらっしゃる。給与等の収入が少なかったというのも六%、七%台ということになっているわけですけれども、これらの理由というのは、本人からすればやむを得ず離職に踏み切るものであって、どれも離職の正当な理由に私は当然当たると思うんですね。ところが、こうした理由で離職した多くのケースというのは、給付制限期間がかかる、正当な理由がなく自己の都合によって退職した場合になっているわけですね。私はこれはおかしいんじゃないかと思いますけれども、大臣、率直にどう思われますか。
〔大串(正)委員長代理退席、委員長着席〕
○武見国務大臣 会社を離職する以上、被保険者にとってはそれぞれの事情があったというふうに考えますが、給付制限が課されない正当な理由、その正当な理由のある離職であるか否かの判断に当たっては、その離職が真にやむを得ないものであることが客観的に認められる場合としております。この判断基準は、ハローワークごとに判断が異なるというようなことであってはいけませんから、労働政策審議会において、諮問の上、全国統一した基準としております。その上で、労働者が自ら離職を申し出た場合でも、労働契約の締結に際し明示された労働条件が事実と著しく相違したことにより離職した場合、それから、上司、同僚などからの嫌がらせなどにより離職した場合、これまで支払われていた賃金と比べて八五%未満に低下して離職した場合などの場合には、給付制限なく失業給付が受けられる取扱いというふうにしております。
○宮本(徹)委員 ですから、そういう様々な限定がかかっちゃうわけですよね。もっと高い給料のところに転職したい、今の給料は少ない、こういう方は、これは自己都合退職で、正当な理由がないんだとなってしまうわけですよ。これはハローワークの負担を見ても大変なんですよね。一々、真にやむを得ない理由に相当するかどうかということをチェックしなきゃいけないわけですよ。今回、ハローワークの業務がさらにまた法改正で増えるわけですけれども、ハローワーク職員の仕事の負担ということから見ても、そして離職者の生活ということから見ても、この給付制限期間というのは私はなくしてしまう方が本当にいいと思います。ちなみに、ちょっと参考人にお伺いしたいと思いますが、先ほど大臣から説明がありましたけれども、退職勧奨を受けた場合だとか上司などからの嫌がらせを受けた場合は正当な理由に該当するわけですけれども、実際は事業主に認められないというケースも少なくない。その場合は、証明資料がないと正当な理由として認められないということになります。正当な理由か否か、労使の主張が対立したケース、そして、証明資料がそろわないために正当な理由と認められなかったケースというのは年間どれぐらいあるんでしょうか。
○山田政府参考人 お答えいたします。基本手当の受給資格決定に当たって、事業主と離職者との間で離職理由に争いがある場合は、事業主や離職者の主張に加え、必要な資料を離職者や事業主から収集した上で判断することとしております。ただ、御指摘の、離職理由について労使の主張が対立したケース、あるいは客観的な資料がなく事実が確認できなかったケースについて、具体的な件数は把握しておりません。離職者が客観的な事実を明らかにする資料を提出できずに事実確認が難しい場合においても、客観的な資料の有無だけで判断することはなく、職場の同僚等の意見なども丁寧に聴取することにより、離職者の置かれた状況に寄り添って、必要な判断を行うこととしております。これはちょっとハローワークの職員に対する負担になるとは思いますが、引き続きこれらの取組を継続してまいりたいと思います。
○宮本(徹)委員 今、局長も、これもハローワークの職員の負担になるという答弁がありましたけれども、これはやり続けなきゃいけない理由が本当にあるんだろうかと。昨日の参考人質疑でも、リクルートから来た方がこうおっしゃっていましたよ。挑戦する人に対しても給付制限を行うことで、その挑戦をそいでしまうと。なるほどなという指摘でありました。立場を超えて、給付制限期間はなくした方がいいんじゃないかという声がたくさん出ておりましたので、ここは、大臣、今後のハローワークの体制、担ってもらわなきゃいけない仕事、先週議論しました体調不良の職員の多さ、こういうことなんかも含めて、そういう角度も含めて、しっかり給付制限期間の問題というのは改めて考える必要があるんじゃないかと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○武見国務大臣 給付制限期間自体は、雇用保険の基本手当の受給を目的とした離職を助長しないようにするために設けられたものでございまして、その趣旨は引き続きやはり重要でございます。自らの意思により離職する者に対して設けられている基本手当の給付制限について、転職を試みる労働者が安心して再就職活動を行い得るようにする観点からの見直しというのは行うこととしているわけであります。なお、諸外国の失業保険でも、自己都合離職の場合は支給対象としない国や給付制限を設けている国がかなりあります。給付制限の制度そのものを廃止するということは、これは適切ではないかなと思います。
○宮本(徹)委員 ただ、今回、リスキリングの場合は、自己都合の退職で、給付制限期間をなくすわけですよね。だから、そこは本当に私は考え直していただきたいということを再度申し上げておきたいと思います。加えまして、次の問題に行きますけれども、労政審では、労働者側から、基本手当の給付水準、この問題について、かつての法改正前の水準に回復せよということが意見としてずっと出されてきております。法定賃金日額、給付率、所定給付日数等々でございます。基本手当日額の一日平均支給額を見ますと、二〇〇二年度は五千九百八十八円、二〇二二年度は五千九十二円ということで、二〇〇三年の改悪以降、急減しております。一か月にすると、平均は十五万二千七百六十円になるんですね。ちなみに、東京二十三区で生活保護を利用した場合、夫婦と子供二人、四人家族の生活扶助額は二十万五千六百七十円になるわけですよ。生活保護で四人家族なら二十万五千六百七十円。一方、失業給付の平均は十五万二千七百六十円です。失業給付が、健康で文化的な生活を送る権利というのを保障し得る水準になっていないんじゃないかと思うんですけれども、大臣、これは低過ぎると思われませんか。
○武見国務大臣 失業給付の給付額、これは、被保険者の離職前の賃金を基に賃金日額を定めて、その額の五〇%から八〇%を支給することとしております。賃金日額の上限額それから下限額を定めた上で、全労働者の平均給与額の上昇率に応じて、毎年見直すこととしております。このように、失業給付の給付額は、失業者の最低生活を保障する観点とそれから早期再就職を促す観点の双方を踏まえて、きめ細かく設定されているところでございます。これらの見直しについては、慎重に検討する必要があると考えております。
○宮本(徹)委員 生活保障の観点と早期再就職を促す観点といいますが、生活保障には足りない。わざと足りなくして、早く就職しろ、早く就職しろという事態に今なってしまっているわけですよね。物価上昇に合わせて見直しているといいますけれども、基本手当日額の上限を見ましたけれども、二〇二〇年が八千三百七十円で、今が八千四百九十円で、百二十円しか上がっていないんですね、二〇二〇年と今を比べて。でも、二〇二〇年に比べて、今、物価はどれだけ上がっていますか。六、七%上がっているんじゃないですか。物価がそれだけ上がっているにもかかわらず、基本手当は上限もほとんど上がっていないというのが状況なわけですよね。私は、こういう決め方では、本当に腰を落ち着けて再就職の活動ができないと思いますよ。これは本当に、慎重な検討が必要だということを言いますけれども、せめて、このインフレ局面ですから、もっと、どうやって生活が保障できるのかというのを考えなきゃいけないです。今、年金、マクロ経済スライド、ひどいと思っていますけれども、マクロ経済スライドをかけても、今年は二・七%上がったわけですよね。基本手当、去年上がったのは、一・何%しか上がっていないんですよね。本当に上げ方もしょぼしょぼです。そこはしっかり見直していただきたいというふうに思います。あと、時間がなくなりましたので、少し質問を飛ばしまして、ちょっと相談があった案件をお伺いしたいと思います。厚労省ともやり取りをうちの事務所でさせていただいた案件ですけれども、職業安定法に基づく有料職業紹介事業者である大手人材派遣会社のパソナ、ここの転職支援サービスを利用した求職者の方から、パソナ側が、エントリー側の企業に推薦書も職務履歴書も、履歴書すら送っていないにもかかわらず、エントリー先のお見送りメールを偽装して送ってきた、こういう訴えなんですね。例えば、転職歴が懸念となったためなどというのを、本当は、エントリー先に何もパソナはやっていないんですよ、やっていないにもかかわらず、勝手にメールを作って、求職者の側にメールを送ってきたという話なんですね。大変求職者に対して著しい不利益を与えているという訴えがありました。これはパソナ側も事実を認めていますけれども、開き直っているわけですね。労働局も、職安法違反には問えないということを言っているわけですよ。しかし、どう考えても、求職者がエントリーした企業のところに何も送っていないのに、勝手にパソナ側が相手の事情をでっち上げて本人にお断りするというのは許されないと思いますけれども、大臣、いかがですかね、こういう問題。規制が必要だと思います。
○武見国務大臣 個別の事案についてはお答えできないんですけれども、一般論として、職業紹介事業者は、職業安定法に基づいて、求職者にはその能力に適合する職業を紹介をし、求人者には雇用条件に適合する求職者を紹介するよう努めることとされております。すなわち、人材のニーズや適性、能力などを踏まえた的確なマッチングを行う結果として、求職者が希望する求人企業に紹介されないケースは、それで直ちに職業安定法に違反するということにはなりません。それから、見送りメールに関してのところでありますけれども、一般に、民間のサービス提供側は、顧客との契約や信義則に基づき、適切な対応や説明を行うことが求められると認識をしております。職業安定法では、御指摘のようなケース、職業紹介を行わなかった場合の求職者への説明について直接規制はしていないものの、求職者保護の観点から、紹介事業者に苦情相談窓口を設けさせて、トラブルなどがあれば迅速、適切に対応することを求めているところであります。したがって、御指摘のようなケースは、直ちに職業安定法に違反するものではございませんが、誠実に説明を尽くさないなど、紹介事業者が求職者からの苦情に適切に対応していないような場合であれば、一般に、行政指導などの対象となり得ます。いずれにしても、個別の事案については、都道府県労働局において適切に対応すべきものと考えます。
○宮本(徹)委員 しっかり行政指導していただきたいということを申し上げまして、時間になりましたので、終わります。