2020年4月14日 厚生労働委員会 給付金 収入認定するな
提出資料① 宮本徹事務所作成
提出資料➁ 朝日新聞2001年7月5日
提出資料➂ 朝日新聞・福岡版2008年8月1日
提出資料➃ 厚労省通知などより宮本徹事務所作成
日本共産党の宮本徹議員は14日の衆院厚生労働委員会で、新型コロナウイルス感染拡大に伴う政府の緊急経済対策の「子育て世帯への臨時特別給付金」について、生活保護世帯が受け取った場合、収入認定しないよう求めました。
加藤勝信厚労相は、「過去、認定したり、外したりした例がある。給付金の制度設計を見たうえで判断したい」と述べるにとどめました。宮本氏は「災害の義援金などは収入認定しなかった。今回のケースも収入認定しないよう対応を」と要求しました。
また、政府の緊急経済対策には、収入が減少した事業者に対し税金、社会保険料の納入を1年間猶予する特例が設けられました。
一方、新型コロナの影響で打撃を受けている事業者に対し、過去の社会保険料の滞納処分として売掛金の差し押さえが強行され、資金繰りが途絶えるなどの相談も寄せられていると訴えた宮本氏。「すべての滞納処分、とりわけ売掛金などの差し押さえは中止するという通達を自治体に出すべきだ」と求めました。
加藤厚労相は「財産の差し押さえ等の滞納処分は停止して差し支えないという取り扱いを行っている」と答弁。宮本氏は、差し押さえの脅しが4月も続いているとして、処分停止を徹底するよう重ねて求めました。
以上2020年4月15日付赤旗日刊紙より抜粋
≪第201回2020年4月14日衆院厚生労働委員会第8号 議事録≫
○盛山委員長 次に、宮本徹君。
○宮本委員 日本共産党の宮本徹です。まず、新型コロナ対策にかかわって、差押えについて伺います。今度の緊急経済対策で、収入に減少があった事業者の税金、社会保険料については一年間、納付猶予の特例を設けるということになりましたけれども、その一方で、こんなときに、過去の社会保険料の滞納処分として売掛金などの差押えが強行されて資金繰りが途絶える、こういう相談が幾つも私のところにも寄せられております。今回の政府の緊急経済対策の目的からしても、過去の社会保険料の滞納処分とはいえ、この三月や四月に差押えするというのは、政府の考え方からいってもおかしいんじゃないかというふうに思います。全ての滞納処分、とりわけ売掛金などの差押えは中止する、こういう通達を自治体に出すべきじゃありませんか。
○加藤国務大臣 厚生年金保険料等について、現下の状況等を踏まえ、その納付を猶予する仕組みを、これは今委員からお話がありました、説明をし、更に一段と深掘りを検討しているところであります。その上で、当分の間は原則として財産の差押え等の滞納処分を停止して差し支えないという取扱いを既に行っているところでありまして、これは、例えば年金であれば、日本年金機構に既に通知をしているところであります。
○宮本委員 ところが、一方、私たちの友好団体のところには、差押えするぞというおどしがこの四月に入ってからも続いているわけですよ。不徹底ですよ。これは徹底していただきたいというふうに思います。それからもう一点、補正予算に子育て世帯への臨時特別給付金がありますけれども、これは生活保護の収入認定に入れるべきじゃないと思うんですよね。今、野菜も大変高くなっております、豚肉も上がっている。私なんかも、いつも買物係ですからスーパーで買物をしますけれども、本当に高くなっておりますので、これは収入認定にすべきでないと思いますが、取扱いをどうされるんでしょうか。
○加藤国務大臣 まずは、子育て世帯への臨時特別給付金、これをどう制度設計するかということなんだと思いますので、これは今内閣府で議論がなされていると承知をしております。その上で、生活保護制度上の取扱いについては、内閣府における検討を踏まえて、我々の方でまた検討することになるというふうに認識をしています。
○宮本委員 生活実態からいって、物価が、いろいろなものが上がっているというのは、生活保護世帯も支出がふえているという認識は大臣もあるわけですよね。
○加藤国務大臣 物価という広い意味で、消費者物価がどうのこうのという議論をしているのではなくて、身の回りの感覚でお話をされているんだと思いますので、それぞれ、物によっては上がっているものもあるということは承知をしているところであります。ただ、いずれにしても、こうした臨時の給付金等の扱いにおいては、過去においても、生活保護の中において勘案する、要するに、収入認定にしたり、収入認定外に扱われたり、いろいろなケースがあったというふうに承知をしておりまして、その前提としては、当該特別の給付金がどういう性格のものなのか、それを踏まえて判断されていたというふうに認識をしておりますから、先ほど申し上げたように、内閣府において今般の子育て世帯への臨時特別給付金をどういうものとしてまず制度設計されるのか、それを見た上で我々としては判断していきたいというふうに思います。
○宮本委員 過去の災害のときだと、義援金だとかも含めて収入認定にしなかったわけですよね。今回のケースでいえば、収入認定にしないというのが普通の考え方だと思いますので、そこはしっかり対応していただきたいと思います。その上で、きょうは資料をお配りしておりますが、前々からちょっと質問しなければと思いながらできていなかった問題について質問をさせていただきたいと思います。地元の障害者の方から、これまで保険でつくれた靴がつくれなくなったという相談がありました。写真を見ていただければわかると思うんですけれども、足の長さが違う、そして足も変形があるということで、これは靴屋さんがつくってくれた靴なんですね。もともとこの方は、お医者さんから紹介された義肢装具業のところ、いろいろなところに行って靴をつくってもらったんですけれども、いろいろつくってもらっても、うまく歩けなかったわけですね。つくってもらってもそういうことが続きました。そういう中で、とある靴屋さんのことを知って、そこの靴で歩けるようになったという話です。その靴屋さんが、昔、朝日新聞に紹介されておりましたので、ちょっと二枚目の資料につけておきました、二〇〇一年七月五日。ドイツは整形靴についてマイスターの制度がありまして、そこでしっかり修行を積んで、そういう靴をつくる技術があるというところでございます。一方、日本も、義肢装具士の学校でももちろんこういう靴の授業というのはやられているわけですけれども、厚労省に聞きましたら、国立障害者リハビリテーションセンター学院でも、靴をつくるのに学んでいる時間というのは座学と応用実習を合わせて百四時間ということですから、形としてはつくれるのかもわからないですけれども、技術として、それこそドイツで修行を積むようなところのレベルまでは、なるだけの時間をやっているわけではないわけですね。そして、なぜ保険で靴がつくれなくなったのかということなんですけれども、原因は二年前の通知にあります。資料の四ページ目につけました、治療用装具の療養費支給申請に係る手続についてというもので、抜粋だけしておきましたが、保険医の診察や義肢装具士への指示を経ずに患者への採型、採寸、装着又は販売等がなされた治療用装具について保険者が療養費を支給することは適当でないこと、添付する書類の領収書については治療用装具を取り扱った義肢装具士の氏名を書きなさいということになったわけです。ちょっとまず事実経過を確認したいと思うんですが、どういう経過でこの通知を出して、なぜ申請の書類に義肢装具士の名前を記すことになったんでしょうか。
○浜谷政府参考人 お答えいたします。この件の経緯でございますけれども、平成二十九年八月に治療用装具の不正事例に関する新聞報道がございました。これを受けまして、平成二十九年十二月二十七日に社会保障審議会医療保険部会治療用装具療養費検討専門委員会でこの件について議論を行ったところでございます。委員会におきましては、改善方法として、義肢装具の装着部位の採型や身体への適合等は医師から義肢装具士への指示を経て行うこと、事業者が患者に交付する領収書に治療用装具を取り扱った義肢装具士の氏名を記載することなどの手続の明確化について議論がされまして、この委員会においてこの案が了承されたところでございます。こういった審議会の議論、決定に基づきまして、平成三十年二月に通知を発出いたしまして、治療用装具の療養費支給申請に係る手続の明確化を図った、こういう経緯でございます。
○宮本委員 今の説明ではよくわからないんですけれども、不正があったからこうなったんだと。この靴屋さんは別に不正をやったわけじゃないけれども、排除されているわけですよね。議事録を見ましたけれども、治療用装具を取り扱った義肢装具士の氏名ということで、これもきちんと書いていただくようにする、これはある意味牽制効果でございますが、きちんと誰々の責任でこれはつくったんだということを書いていただくということでございますと。不正がいろいろあったから、その不正を牽制するために製作者の氏名をはっきり書いてもらって責任を明確にしよう、こういう議論で入れたということなわけですよね。
○浜谷政府参考人 お答えいたします。治療用装具を提供するためには、装着部位の採型及び身体への適合が必要でございますけれども、この中には、義肢装具士法上、無資格者が業として行ってはならない行為が含まれていると考えております。こういった前提の中で、そういう意味では、責任の明確化、法に適合しているということの確認のためにこういう手続の明確化を行ったということでございます。
○宮本委員 そんな議論はされていないですね、私は議事録を見ましたけれども。不正防止のために、責任を明確化するために記そうということになったんじゃないんですか。
○浜谷政府参考人 お答えいたします。きっかけは不正防止ということでございますけれども、その不正防止という中に、いわば無資格者による採型、採寸、そういったことを防止するということも不正防止の一環という観点から、このような手続の明確化を行ったということでございます。
○宮本委員 無資格者による採型、採寸といいますけれども、採型、採寸は無資格でもできるんですよ。おかしなことを言わないでくださいよ。そういう議論は全然なされていないですよ、議事録を私は見ましたけれども。不正があったから、責任を明確化するために記したわけですよね。おかしなことを言うからちょっと確認しますけれども、配付資料の四ページ目、義肢装具士法の施行について、施行した際の通知を添付しておきました。こう書いてあるんですね。義肢装具の採型適合等のうち、従来医師又は看護婦等のみができることとされていた医行為の範疇にわたるものについても、義肢装具士が診療の補助として行うことができるものとされたと。今まで、この法律ができるまでも、当然、採型、採寸をやっていたわけですよ、義肢装具をつくっている方々は。そうしなければつくれないんだから。そのうち医行為にわたるものまで義肢装具士の方にできるように開放したというのがこの義肢装具士法なわけですよ。逆に言えば、医行為に当たらない採型、採寸はあるわけですよ。だから、この法律以前だってつくれたわけですし、法律以後もつくれたわけですよね。ちょっと確認しますけれども、この義肢装具士の採型、採寸のうち、医行為の範疇にわたらないものというのは何ですか。
○吉田政府参考人 お答えいたします。まず、義肢装具士法上、義肢装具士の業務としましては、義肢装具の製作と義肢装具の装着部位の採型及び身体への適合が定められております。このうち、義肢装具の採型、適合には、無資格者が業としては行ってはならない行為である、いわゆる医行為が含まれているというところでございます。ここで言う医行為とは、当該行為を行うに当たり、医師の医学的判断及び技術をもってするのでなければ人体に危害を及ぼし、又は危害を及ぼすおそれのある行為というふうにこれまで解釈をしてございます。その上で、義肢装具の採型、適合のうち、具体的にどのような行為が医行為に該当するのか否かにつきましては、その行為が人体に危害を及ぼし、又は危害を及ぼすおそれのある行為であるか否かの判断を個別具体的に行う必要があると思っております。最終的には個別具体的な判断によるということでございますが、御質問の医行為に該当しないケースとしましては、治療が終了した方に対する日常生活の補助のための義肢や装具、例えば義手でありますとか義足などでございますけれども、の採型、適合が想定されるところでございますけれども、少なくとも、治療を継続している又は治療が必要とされる患者に係る義肢装具の採型及び適合については医行為に該当するものと考えております。
○宮本委員 私が事前にもらったメールがありますが、一言で言えば、侵襲性のない行為は医行為には該当しません。人体に侵襲性がある行為は医行為ですが、侵襲性のない行為は医行為に該当しません、簡単に言えばこういうことでいいわけですよね。危害を与える、あるいは危害を与えるおそれがあると。危害を与えなければ問題ないわけでしょう。
○吉田政府参考人 お答えいたします。先ほど申しましたように、医行為につきましては、当該行為を行うに当たり、医師の医学的判断及び技術をもってするのでなければ身体に危害を及ぼし、又は危害を及ぼすおそれのある行為というふうに解釈をしているというところでございます。
○宮本委員 ですから、今まで、この二年前の通知が出るまでは、医師の指示のもとに、義肢装具士じゃない、義肢装具士よりももしかしたら高い技術を持っている靴屋さんがつくれたわけですね、保険で。ところが、突然つくれないという話になったわけですよ。これは本当に私はおかしな話だと思うんですよね。法律を変えたわけでもないのに、突然つくれるものがつくれなくなる。こんなおかしな話は私はないと思うんですよね。ちょっと確認したいんですけれども、この二〇一八年二月九日の通知を出した際に、義肢装具士の資格はないけれども、医師から信頼を得て、高い整形靴作製の技術を持った靴屋がいるんだ、そういうことについて議論されたんですか。
○浜谷政府参考人 お答えいたします。先ほどの委員会あるいはその通知の発出の際におきましては、御指摘のような具体的な靴店についての議論はしていないところでございます。ただしでございますけれども、先ほどの繰り返しになりますけれども、治療用装具を提供するためには、装着部位の採型及び身体への適合が必要ということで、この中には、義肢装具士法上、無資格者が業としては行ってはならない行為が含まれている、こういったことを前提にしたということでございます。
○宮本委員 ですから、議論をしていないわけですよね。知らなかったんですよ、皆さんは。皆さんは、障害者の皆さんの具体的な実態を知らずに議論をして、普通の義肢装具業の皆さんのお店を回ってもつくれなかった、歩けなかった、そういう靴しかできなかったけれども、ドイツで修行を積んで高い技術を持った靴屋さんがつくれる、これを知らずにこういう通知を出して、今大変な被害を障害者の方が受けております。大臣、私、本当に、法も変えずに通知を変えて、ここの靴だったら、私はせっかく歩けるようになったという方が、その靴を保険で手に入れられなくなるというのは極めて問題だと思いますよ。まず、この通知は見直す必要があると思います。今、私は東京の靴屋さんからお話を聞いたからこの話をしていますけれども、東京だけじゃないんですね。九州の方でも、福岡県立大学が一緒になって、ずっと、こうした高い靴の技術で、歩くのに苦労している方々を支えようということをやられた取組があったわけですけれども、そこも次から次へと不支給の決定がなされております、各保険者から。全部この通知を理由にしているわけですよ。この通知が出るまでは、厚労省も何も言っていなかったわけですよ。靴屋さんが、ちゃんとこの朝日新聞に、二〇〇一年、もう二十年も前の朝日新聞じゃないですか。これはちゃんと保険適用ができていて、皆さんも公然と黙認して、黙認といいますか、当たり前のことだと思ってやっていたわけでしょう。それがこの通知でできなくなった。大臣、こういうことでいいんですかね。
○加藤国務大臣 今、局長等からるる説明をさせていただいたように、現行法の考え方、それを改めて通知という形で出させていただいた、こういうふうに説明をさせていただいているというふうに認識をしています。
○宮本委員 いや、違いますよ。現行法の解釈がなぜ変わったのかということを聞いているわけですよ。
○浜谷政府参考人 お答えいたします。これは取扱いを変えたということではなくて、御指摘の通知は、保険医から義肢装具士への指示を経ずに提供された治療用装具について療養費を支給することは適当でない旨を示したものでございますけれども、これは従来からの義肢装具士法上の解釈を明確化したということでございまして、取扱いについて変更したということではございません。
○宮本委員 今まで何十年も、メディアで報道されていても、何も皆さん、一言も言っていないですよね。変えたんですよ、皆さんは。今まで全部保険者で受け付けされてきたじゃないですか。変えたんですよ。変えたのを変えていないとか、昔からそうですなんて言わないでくださいよ。桜を見る会なんかと同じじゃないですか、やっていることは。変えたんでしょう、勝手に。では、今まで何で受け付けたんですか、何も言わずに。答えてくださいよ。
○盛山委員長 時間となっておりますので、答弁は簡潔にお願いします。
○浜谷政府参考人 お答えいたします。三十年二月以前については、手続を明確化していなかった、一律に解していなかったということで、保険者におきまして御指摘のような事例があり得たものと考えておりますけれども、三十年二月にその手続、取扱いを明確化したということでございます。
○宮本委員 つまり、三十年二月までは解釈がなかったということじゃないですか、皆さんの方で。保険者に対しても示している解釈はなかったということじゃないですか、今の答弁は。そうでしょう。新たな解釈を法律も変えてもいないのにつくって、人権侵害ですよ、やっていることは。そういう自覚がないということは大変問題だと思いますよ、私は、はっきり言って。時間になりましたから終わりますけれども、大臣、はっきりしましたよね、法の解釈を明確にしたんじゃないですよ。今まで保険者に対して何の説明もしなかったと言ったじゃないですか。こんなばかな話はないですよ。続き、やりますからね。終わります。