2020年5月8日衆院厚生労働委員会 フリーランス「雑所得」申告対象外 持続化給付金の改善要求

 新型コロナウイルス感染拡大や政府の自粛要請により収入が大幅に減少したフリーランスや中小企業を支援する持続化給付金をめぐり、税務署の指導に従って主たる収入を「雑所得」「給与所得」として申告してきた人たちが対象外とされる事態が起きています。日本共産党の宮本徹議員が8日の衆院厚生労働委員会で改善を求めたのに対し、政府は“審査の簡素化”を理由に後ろ向きの姿勢に終始しました。
宮本氏は、同給付金の対象が「事業所得」の5割以上減少となっていることで、対象から漏れるフリーランスが多数おり、インターネット上で改善を求める署名活動が行われていると指摘。「あるミュージシャンは最初に税務署に相談した際、『雑所得』として申告してほしいと言われた」などと確定申告の実態を示し、対象の線引きを早急に改善するよう求めました。
牧原秀樹経済産業副大臣は、そうした事例が自身にも寄せられていると認める一方、「極力簡素な仕組みとし迅速に給付するのが制度の趣旨」「背景を一つひとつ把握することは困難だ」と、改善に慎重な姿勢を崩しませんでした。
宮本氏は「迅速な給付が必要なのは、それほど窮しているからであり、切り捨てることなど許されない」と批判。議場で与党席からも同様の事例を「聞いた」との声が出たとして、与野党を超えて改善へ動くべきだと強調しました。

以上2020年5月9日付赤旗日刊紙より抜粋

≪第201回2020年5月8日衆院厚生労働委員会第11号議事録該当部分抜粋≫

○盛山委員長 次に、宮本徹君。
○宮本委員 日本共産党の宮本徹です。きょうは、牧原経産副大臣に来ていただきました。まず、持続化給付金についてお伺いしたいと思います。きょうから給付が始まったという報道が流れておりますが、要件が前年度比で売上げが五〇%以下ということです。フリーランスの方々の中には、主たる収入を事業収入ではなくて雑所得やあるいは給与所得として税務署に申告している方々がいらっしゃって、そういう方々が、何で自分たちは対象にならないんだということで、制度の改善を求めて、ネット上でも署名を集められておられます。ミュージシャンの方が、税務署に最初に相談したら雑所得として申告してほしいと言われたと言われていますね。あるいは、スポーツクラブのインストラクター、たくさんいろいろなスポーツクラブに出かけている方ですが、税務署から勧められて、一社は給与、ほかは雑所得で申告してきたと。イベントの司会業や講師の方々も契約書上は業務委託、普通、業務委託なら報酬で支払われると思うんですけれども、なぜか給与としての源泉徴収票が届くので給与所得で確定申告しているという話を伺いました。きょうはこういう質問をしますよと言ったら、更にいろいろなお話が寄せられました。通訳案内士の報酬が給与扱いされている例が多々あるとか、フリーランスで講師をしているが、税務署で言われるまま雑収入で確定申告をしてきただとか、あるいは建設業の一人親方、どう考えても個人事業主だと思いますが、人を雇っていないので給与所得として申告していたと。こういう話だとかがいっぱい寄せられています。あるいは、芸能の仕事をしている方からは、直接契約して業務委託をした場合は源泉徴収で給与、事務所を通すと支払い調書で事業所得と。扱いがばらばらになっているわけですね、実態は。税務署も、本来だったら、こういう方々には事業所得で申告しなさいというふうに指導するのが当たり前だと私も思っていたんですけれども、そうじゃなくて、主たる収入が雑所得として申告せよというふうに現場で事実上なっている例もあるわけですよね。私、今回のこの持続化給付金の趣旨というのは、本当に、こういうフリーランスの方々も含めて困っている方々、コロナの影響でイベントを自粛する、あるいはスポーツジムが閉まる、いろいろなことで収入を失った方々を救済する、支援する、これが目的だったと思うんですよね。そうすると、この本来の制度の目的からいえば、持続化給付金の制度の改善がこの点では求められていると思いますが、牧原副大臣の認識をお伺いしたいと思います。
○牧原副大臣 お答えします。宮本先生におかれましては、本当に、現場のさまざまな御事情まで、声をお届けいただきましてありがとうございます。持続化給付金につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響で極めて厳しい経営状況にある事業者や、フリーランスを含む個人事業主の方が本業として実施する事業の継続を支えるために現金給付を行うものとしているところでございます。こうした制度の趣旨に照らして、フリーランスの方の雑収入等の減少については支援の対象とはしていないということでございます。仮に本業に伴う収入が事業所得以外で申告されているとしても、極力簡素な仕組みとし、迅速に給付するとの持続化給付金の制度趣旨を踏まえると、所得の内訳について一つ一つ個別に審査を行って給付するということについては慎重な検討が必要であるということでございます。きょう発表もされましたけれども、数十万件の申請が既にあって、そして、五月一日からするときょうで一週間になりますけれども、きょう、もう二・三万者ぐらいの方にお支払いをしているという、この迅速さを、できるだけ早く進めていくということで、審査は簡単なものとさせていただいているということもまた御理解を賜りたいと思います。
○宮本委員 今の答弁を聞いたら、本当にフリーランスの皆さんはがっかりしますよ。がっかりすると思いますよ。本業の事業者は救済する。本業でミュージシャンをやっている、本業でスポーツのインストラクターをやっている、本業で司会業をやっている、そういう方々が税務署に言われて、税務署に言われてですよ、雑所得として申告しろと言われて、国に言われたとおりに本業としてやっていることを事業所得じゃなくて雑所得で申請したら対象外になるというのは、私はこんなおかしな話はないと思いますよ。そのおかしさというのは牧原副大臣には感じられませんか。
○牧原副大臣 個々の事情につきましては私のところにもお寄せをいただいているということもございますし、恐らく宮本委員のところでより詳細に実態も把握されているのかと思うんですが、他方で、個々の雑所得になっているもの、給与所得になっているものに実はこういう背景があるとか、実は税務署からこう言われたんだとかいうことを一つ一つ把握するということは困難でありますので、今のところ、この制度の趣旨に照らして、フリーランスの方についての雑収入等は見ていないということで御理解をお願いしたいと思います。
○宮本委員 今のところって、今までそうだったけれどもそれでは救われないという声が上がっているわけですよ。それで、先ほど、牧原さんのところにもそういう話が来ているという話じゃないですか。恐らく、経産省にも直接、おかしいんじゃないかという声が幾つも寄せられているというふうに思いますし、ちゃんと見ずに、雑所得のまま、今回給付金の申請を出した方々もいらっしゃいますよ。いらっしゃいますよ。そのままだと、はねられちゃうわけですからね。迅速にするためにそういうふうにしたということを言われるわけですけれども、迅速にしなきゃいけないぐらい窮している方々でもあるわけですよね、この方々は。その窮している方々を切り捨ててしまっていいのか。やはり、ここはちゃんと、どうやれば救われるのかという検討を。それは、答弁ペーパーは役所の中で書かれたことだと思いますけれども、牧原副大臣の政治家としての立場として、やはりこれは、どうやったら救済できるのかと省内でしっかり検討してみたい、こう言っていただけないと、皆さん、政府に期待している方は、もっと言えば、政府に言われて、税務署に言われてそういう申告をしちゃったんですよ、救われないという話になる。許されないと思いますよ。もう一度答弁をお願いします。
○牧原副大臣 お答えをします。先ほど申し上げましたように、ここはやはり極めて慎重な検討が必要だというふうには考えておりますが、慎重な検討を先生から言われておりますので、いずれにしても、とにかく形式的に、一つ一つが給与所得で、実はということを判断するというのは大変難しいということになりますので、その辺は御理解をいただきたいというところでございます。
○宮本委員 いや、慎重な検討というのは本当に何もやらないというのに等しい答弁で、これでは私も引っ込むわけにはいかないと思っていますので。与党の皆さんのところに寄せられている声も結構あると思いますよ。皆さん、ある、あると言っているじゃないですか。最近そういう話が多いんですよ。みんなが同じ話を聞いているんですから。ですから、与党の皆さんからもちょっと声を上げていただいて、コロナの問題で自粛に協力したことによって収入を失った方々をやはりそういうところで線引きしないというところで、改善を改めて求めておきたいと思います。 ~以下略~