2020年5月20日(&15日)衆院厚生労働委員会 介護の質劣化を招く 不合格の資格付与批判
日本共産党の宮本徹議員は15、20両日の衆院厚生労働委員会で、介護福祉士養成施設を卒業すれば国家試験不合格でも資格を付与する措置を5年間延長する法案(社会福祉法等改定案)は、国家資格の意義を損ね、介護の質を劣化させると追及しました。
宮本氏は15日、「介護福祉士資格は、介護の質を高めるために国家資格とした」と指摘し、社会保障審議会での“外国人の試験合格率が低いことを理由として経過措置を延長するのは本末転倒”“介護福祉士資格への不信感を助長する”との意見を紹介。同審議会で反対する人が圧倒的多数だったのに延長を決めたと批判し、「人手不足解消のためという議論は成り立たない」と強調しました。
厚労省の辺見聡大臣官房審議官は、外国人留学生にとって養成施設で学ぶ魅力がなくなり、「介護福祉士資格を目指す外国人が増えつつある流れに水を差しかねない」と延長を正当化しました。
20日には、同省の谷内繁社会・援護局長が、2018年度に養成施設を卒業した留学生のうち、合格者は108人、不合格で資格を得たのは307人だと答弁。これら計415人が在籍していた95養成施設のうち、合格者0人が29校に上ると明らかにしました。
宮本氏は、低合格率の背景には、養成施設が日本語能力が身に付いていない留学生を多く受け入れている実態があるとして、「やるべきは経過措置の延長ではなく、日本語教育などの支援の充実だ」と主張しました。
以上2020年5月23日付赤旗日刊紙より抜粋
≪第201回2020年5月15日衆院厚生労働委員会第13号 議事録≫
○宮本委員 ~略~ 次に、法案について質問させていただきたいと思います。先ほど尾辻さんから、介護福祉士の国家資格にかかわって、大変私も共感する質疑がありました。養成施設を卒業すれば国家試験に不合格でも暫定的に五年間は介護福祉士の資格が得られるという経過措置がとられておりますが、今度の法案はこれを更に五年延長するというものであります。お伺いしますけれども、他の国家資格試験で、国家資格試験に合格しないまま国家資格が得られるという経過措置を繰り返しているものというのはあるんでしょうか。
○辺見政府参考人 お答え申し上げます。網羅的に把握をしているわけではございませんけれども、御質問のような国家資格については承知をしていないところでございます。
○宮本委員 ですから、これだけが特例扱いにずっとなっちゃっているわけですよ。国家資格というのをこういう扱いにしていいのかというのが問われなきゃいけないというふうに思います。先ほど尾辻さんからも社会保障審議会の福祉部会の結論は両論併記だったというお話がございましたけれども、福祉部会で経過措置延長に対して賛成、反対の意見表明というのはそれぞれ何人いらっしゃいましたか。
○辺見政府参考人 お答え申し上げます。介護福祉士養成施設卒業生に対する国家試験の義務づけについて議論いたしました昨年十一月十一日の第二十三回社会保障審議会福祉部会におきましては、経過措置の延長に賛成の委員が二名、経過措置の延長に慎重な立場の委員が六名、発言内容からは立場が必ずしも明らかではない委員が一名でございました。
○宮本委員 賛成だという方が二名で、慎重だ、反対だという方が六名で、立場がわからないというのが一名だというお話でございましたが、審議会の議論では、私も議事録を読ませていただきましたけれども、物すごく反対意見がわあわあ出る状況だったんですよね。ところが、特例措置の延期ということになって、全く不可思議なんですね。審議会は両論併記ということなんですけれども、その議事録の最後に部会長がこう述べているんですよ。「今後、関係者も国会議員の方々も、本日の議事録を通じてまたさらに認識を深めていただくことになると思います。先ほど言いましたように、この議論の報告については、一人一人の意見を全部書くとすごく長くなりますので、この背景には本日の議事録に残る皆様方の貴重な御意見があることを世の中の人には理解していただけるでしょう。」ということで、今後考える方々はこの議事録をよく読んで考えてほしいというのが審議会の部会長のまとめだったんですよね。ちょっとお伺いしたいんですけれども、この福祉部会の議事録を政務三役の方はどなたか読まれましたか。
○加藤国務大臣 議事録はまだ読んでおりません。
○橋本副大臣 私も目は通しておりません。
○小島大臣政務官 まだ読んでいません。
○宮本委員 皆さん本当にお忙しいと思いますよ、とりわけコロナの対応もこの間ありましたから。ですけれども、この審議会があったのは、コロナの対応の前の去年の話なわけですよね。これだけ反対意見が出て、異例の国家資格試験にかかわって、試験を受けなくても不合格でも学校さえ出ていれば国家資格が受けられる、こういうのを繰り返している、それに対して物すごく懸念が出ているわけですよね。ところが、その議事録を、みんなに読んでほしいと思って一生懸命議論したのに、どなたも読まないまま延長が決まっちゃった。そういう法案が出てきたというのは、私は本当に、経過としてどうなのかなということを思ってしまいますよね。一体、この福祉部会の後、厚労省内でどういうメンバーでどんな検討が行われて、また延長しましょうという話になったんですか。
○辺見政府参考人 お答え申し上げます。まず、福祉部会のほか、社会保障審議会の介護保険部会ですとか、また、個別に関係団体の意見を聴取する機会がございました。いずれの場においても、総じて、養成施設団体と介護施設団体からは経過措置を延長すべきとの意見が、介護福祉士会などからは経過措置の延長に慎重な意見が変わることなく表明されたところでございます。また、与党からも御意見をいただき、自民党社会保障制度調査会介護委員会においては、昨年十二月二十日に経過措置を延長すべき旨を含む提言が取りまとめられたところでございます。これを踏まえて、厚生労働省内の検討プロセスを経て、経過措置の延長を法案に盛り込むこととしたということでございます。
○宮本委員 与党の意見を受けて厚労省でこうなったんだという話なんですけれども、与党の皆さんはこの議事録を読まれたんですかね。そういう聞き方をしたらちょっと失礼になっちゃうかもわからないんですけれども。だって、国会は、前回法律を延長したときに附帯決議までつけて、着実にこの経過措置はやめるようにしましょう、そういう附帯決議をみんなでつけたわけですよね。ところが、大臣が諮問してそこで一生懸命議論された結論については誰も読まないまま、結論ありきで延長というのが出されているわけです。きょうは、福祉部会に出ていた資料を一枚つけました。これは全国福祉高等学校長会の奥山さんの意見書です。本当に、なぜ反対するのかという痛切な思いが書かれていますよね。福祉系学校の場合は、養成施設ルートと同等の条件を満たすことを求められて、教員要件の高度化、指導時間数の大幅増、施設設備の充実など、一生懸命やってきた、しかし、教員を確保できない中、学科を閉じなきゃいけないところもたくさん出て、福祉系高校は二百三十二から百七に激減した、そんな中でも一生懸命研修をやり、授業力の向上をやり、合格率も五割台から八割台まで高めてきた、そして、介護福祉士の国家資格だということで、これを得た人たちは誇りを持って仕事をしているという話であります。その裏面に書いているのを見ると、強烈な批判が書かれていますよね。今回、「養成施設ルートへの入学生が減少している中で留学生の増加が顕著であること、外国人の試験合格率が低いことを理由として、受験義務付けを延長するというのは本末転倒です。介護サービスを受ける国民の視点に立っておらず、養成施設の運営が厳しいから延長を求めるのは国民に対して失礼だと考えます。」その下の方には、「さらなる延長は介護福祉士資格への不信感を助長し、将来、介護を目指す者の減少に拍車をかけることにつながります。」ここまで厳しい指摘をされています。介護の質を担保するために国家資格を設けたんだと尾辻さんへの答弁で大臣ははっきりと述べられていたわけでありますよね。だから、介護の質を担保するために、これは延長する必要はないじゃないですか。人材確保という話を先ほど大臣は答弁されていましたけれども、外国人の方は、養成施設コースでもし国家資格試験を通らなくても、今、特定技能という制度ができているわけですから、そちらに移って働くことができるわけですよね。ですから、人材確保、人手不足というのは、私は、この特定技能の制度もつくったもとではなかなか成り立たない議論ではないかというふうに思っております。こういう意見が出されているのを見て、大臣、どう思われますか。
○辺見政府参考人 今回の経過措置につきましては、平成二十八年当時と比較して介護現場の人手不足がより深刻化しているなどの状況のもと、さまざまな御意見も含め、総合的に勘案して慎重に検討し、介護サービス提供に支障がないよう、経過措置を五年間に限り延長することとしたものでございます。御指摘のとおり、外国籍の養成施設卒業者は、在留資格、特定技能で必要とされている試験を受験することなく介護分野の特定技能に在留資格を移行することが可能でございます。しかしながら、養成施設に入学する外国人留学生には、我が国での在留だけを目的とせず、我が国の介護福祉士資格の取得を目指す方もいらっしゃいます。こうした方々にとっては、養成施設の現状の合格率のもとで経過措置が終了すれば、せっかく二年以上留学しても介護福祉士資格を取得できない可能性が高まるように感じられること、介護分野の特定技能に必要とされる技能よりも高い水準である介護福祉士取得レベルを目指した教育を受けたにもかかわらず在留資格が特定技能しか与えられないことになります。こうしたことは、我が国の介護福祉士資格の取得を目指す外国人の方々がふえつつある流れに水を差すことにもなりかねず、介護人材の確保が厳しい状況のもと、現時点で経過措置を終了させることは適当でないと考えた次第でございます。一方、この経過措置はあくまで暫定的なものであり、速やかに養成施設の教育の質を向上させ、外国人留学生の合格率も上げていくということが必要であり、このため、養成施設ごとの合格率の公表ですとか養成施設の教育の質の向上に係る取組への財政的支援などによりまして、養成施設における取組を強化し、介護人材について量と質の向上の両立を図っていきたいと考えております。
○宮本委員 そういう話を聞いていますと、結局、試験を受けなくても資格が得られるから、それが人材確保につながっているからという説明にしか聞こえないわけですよね。そんなのでいいんですかね。やはり、国家資格というのはそういうものじゃないんじゃないですか。介護福祉士の資格というのはそういうものじゃないんじゃないですか。介護の質を高めていく、そのために設けた資格なのに、試験に合格しなくても資格が得られるコースがあるから、それが外国人を引きつける力になっているから続けていくんだ、そういう論理は私は全く間違っていると思いますよ。大臣、ぜひ議事録を読んで、聡明な大臣ですから速いスピードで読めると思いますので、議事録を読んで、次回の質疑の際には感想を聞かせていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
○加藤国務大臣 どのぐらいの議事録かちょっとよくわかりませんけれども、今お話がありましたので、議事録は議事録として読ませていただきますけれども、今回こうして決めさせていただいた理由は先ほど審議官の方から説明させていただいたところであります。
○宮本委員 時間になりましたから終わりますけれども、この問題は次回もやらせていただきます。ありがとうございました。
○盛山委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
≪第201回2020年5月20日衆院厚生労働委員会第14号 議事録≫
○盛山委員長 次に、宮本徹君。
○宮本委員 日本共産党の宮本徹です。まず、伊佐さんからもありました、けさの報道についてお伺いします。共同通信が、アビガン、有効性示せずということで配信をいたしました。藤田医大の臨床研究では、今月中旬に厚労省に報告した中間解析結果で、ウイルスの減少率に明確な差が出なかったということであります。一方で、総理は五月中に承認を目指すということを言われているわけであります。ちょっと大臣に一点だけ御答弁いただきたいと思いますが、この報告を恐らく大臣も聞かれているとは思うんですけれども、やはり有効性、安全性を臨床研究、治験でしっかり確認するというのが薬の承認では大前提だと思うんですね。ですから、総理が五月中ということを言っているわけでございますけれども、時期がどうのこうのということじゃないと思うんですね。やはりしっかりと有効性、安全性についてエビデンスを持って承認手続は行っていく、この点についてはっきり御答弁いただきたいと思います。
○加藤国務大臣 済みません、総理のそのときの発言がちょっと今手元にないので正確ではありませんが、たしかあのときも安全性、有効性が確認されればと言っておられたと思います。そうすれば、今月中にもできるように、ここから先は私どもの体制の問題ですね、審査手続の問題ですから。それはしっかり、政府としてそうした体制はしきますよということであります。ただ、確認されればまでのところは、我々政府ではなくて、それぞれの観察研究、臨床研究あるいは治験、そういったことの結果あるいはその分析、それを待つということでありますから、いずれにしてもその姿勢は変わるものではありません。
○宮本委員 しっかりそこは科学的にお願いしたいと思います。次に、新しく検討されている休業給付金について何点かお伺いしたいと思います。登録型派遣で働いている方は、百四十万人いる派遣労働者の半数を占めております。この間も、観光業で働く添乗員の皆さんが全く収入がなくなったということだとか、本当に悲鳴が上がっているわけですが、この新しい休業給付金は、登録型派遣、日雇派遣も対象にするという方向で検討が進んでいるということでよろしいんでしょうか。
○小林政府参考人 お答えいたします。新たな給付の制度のお尋ねでございます。これはまさに検討中でございますが、雇用調整助成金がまず基本にあるというふうに考えております。雇用調整助成金を活用いただきながら、休業手当をお支払いいただく。ただ、個別の事情によって休業手当を受けられない労働者の方がおられるということで、そういう場合に個人が個別に申請できる仕組みを設けるというものでございます。したがいまして、雇用調整助成金と新給付、これは基本的にパラレルの関係で捉える必要があるというふうに考えておりまして、雇用関係が継続していることを前提に、事業主の命によって休業している方が対象となるというふうに考えております。派遣労働者につきましても、そうした状況を満たせば対象になりますし、満たさなければ対象にならない、これは労働者共通の考え方でございますが、そういうことになるのではないか。いずれにしても、現在検討中でございまして、今後具体化を急いでまいりたいというふうに思います。
○宮本委員 雇用が継続しているということを言われますと大変心配になってしまうんですけれども。登録型派遣、日雇派遣はそのときそのときに雇用が発生するということになるわけですよね。登録型派遣でいえばそうですよね。日々日々発生して、それが長く継続しているのかといったら、そうなっていない方はたくさんいらっしゃるわけです。ただ、その時々の雇用は一々ぶつぶつ切れているわけですけれども、働いているという点でいえば、月に二十日間ぐらいしっかり働いていた方々というのはいるわけですね。ですけれども、そういう登録型派遣や日雇派遣みたいな方々こそ今本当に何の休業補償もなく苦しんでいるわけですから、そこはしっかりと手当てすることを検討していただきたいということを強く求めておきたいと思います。それから、あともう一点。先ほどの答弁からいえば、どうするのかなと思ってしまうんですけれども。今、高齢者の方でも、年金が大変少ない方がシルバー人材センターで収入を得ているという実態がかなり広くあります。ただ、このシルバー人材センターも現下のコロナの状況のもとで発注が減り仕事がなくなったということで、私たちの地元のところでもどうにもならないから生活保護につなぐということなんかもやっているわけでありますけれども、こういう方々は、年金だけでは暮らせない、しかし雇用ではない。派遣労働者も、登録型派遣、日雇派遣はまだ雇用ですけれども、雇用でもない方々がいるわけです、収入を得てきた方々が。そういう方々にはどう対応されるんでしょうか。
○達谷窟政府参考人 お答え申し上げます。シルバー人材センターは、共働、共助という基本理念のもと、地域の企業や地方公共団体等から発注される請負等の業務を中心に、会員の能力と希望に応じて臨時的、短期的又は軽易な就業機会を提供しており、高齢者の多様な就業機会の確保を担うものでございます。新型コロナウイルス感染症の影響によりまして、休校や事業活動の自粛に伴いまして、主に公共施設の管理業務や学校関連の業務の発注減少が大きい地域があるものと承知してございます。このような発注減少によりこれまで就業していた業務に従事することができなくなった会員に対しては、能力と希望に応じてシルバー人材センターにおいて他の就業機会を提供するほか、再就職を希望する方についてはハローワークへの誘導をするなど、各地域のシルバー人材センターの状況もお聞きしながら、会員の就業機会が確保されるよう、しっかりと対応してまいりたいというふうに考えてございます。
○宮本委員 ほかの就業機会を確保しようにも、現時点ではなかなかないというのが現状なわけですよね。ですから、本当に、コロナで収入が減った方々というのを漏れなく穴なくどうやって救うのかということをしっかり制度設計をしていかなければいけないというふうに私は思いますので、この点は大臣にもしっかり考えていただきたいというふうに思います。更に言えば、日雇派遣みたいな働き方自体、私たちはもともと禁止すべきだということを言ってきましたけれども、今これを緩和しようという議論があるわけじゃないですか、政府部内にも。それは全く違う方向だと思いますよ。私は、日雇派遣、やはりこういう不安定な働き方は禁止するという方向に持っていかなければいけないということを強く申し上げておきたいと思います。その上で、前回に続いて、介護福祉士の国家試験にかかわって質問させていただきます。前回、社会保障審議会の福祉部会の議事録について政務三役の方々は読まれていなかったということでございますが、大臣、該当の部分を読んでいただけたでしょうか。御感想をお聞かせいただきたいと思います。
○加藤国務大臣 二〇一九年十一月十一日の第二十三回と十二月十六日の二十四回において先ほどの国家試験にかかわる議論がなされた、そこの議事録を読ませていただきました。例えば、全国福祉高等学校長会の皆さん方からも、若い方がどういう思いで歯を食いしばりながら受験、合格しようとして頑張り、また、モチベーションといいますか志望の動機を維持しているかとか、さまざまな現場の熱い思いも感じさせていただきました。一方で、そうしたことは十分承知をしているけれども、やはり介護の現場等から来て、ここはぜひとも延長してもらわなければ、こういう必死の声も他方であったということでありまして、そうしたそれぞれの声を受けとめながら、今回の法案をこうして出させていただきました。ただ、そこで皆さんの言っておられたことは、介護福祉士のこうした質というもの、量の確保とともに質の向上を図っていく必要性についてはみんな共有の意識を持ち、また、そのための一つの手段として国家試験があるんだということについては皆さん共有の認識をされていたということでありますから、我々として、今回五年の延長をさせていただきますけれども、この間にさまざまなできる限りの対応をさせていただいて、そうしたそれぞれの皆さんが思う状況というのでしょうか、環境をつくるべく努力をしていきたいというふうに思います。
○宮本委員 全国福祉高等学校長会の方の熱い思いを感じたという大臣からの答弁がありましたけれども、実は、けさ、こういう話を聞いたんですね。この全国福祉高等学校長会の方が署名を集めたそうなんですね。署名を集めて、厚労省の担当部署に話を聞いてほしいと言ったけれども、返事すら来なかった、署名も受け取ってもらえなかったと。五百筆の署名を何で受け取らないんだという話なんですけれども、事実関係をちょっと確認していただけますか。(発言する者あり)
○盛山委員長 時計をとめてください。
〔速記中止〕
○盛山委員長 時計を動かしてください。谷内社会・援護局長。
○谷内政府参考人 お答えいたします。今、担当の者から確認させていただきましたけれども、昨年の時点で担当室長が校長会の方から署名を受け取ったというふうに今聞いているところでございます。
○宮本委員 昨年じゃないですよ、ことしの話なんですよね、これは。ことしの三月の話みたいなんです、私が聞いている話は。
○谷内政府参考人 お答えいたします。ことしの三月の件に関しましては、私自身も話を聞いておりませんし、担当の室も話は聞いていないというふうに今伺っているところでございます。
○宮本委員 ちょっと改めて確認していただきたいと思います。こういう話を伝えてほしいという話で私も伺っているので、これは確認していただきたいというふうに思います。それで、前回の質疑でこういう答弁があったわけですね。経過措置を終了すれば介護福祉士資格を取得できない可能性が高まるように感じられ、介護福祉士資格の取得を目指す外国人の方々がふえつつある流れに水を差すという答弁がありましたけれども、こういう言い方というのは議事録の中には出てこないせりふだったんですけれども、これはどなたが考えた理屈なんでしょうか。
○谷内政府参考人 お答えいたします。議員御指摘の点でございますけれども、先週十五日の厚生労働委員会におきまして審議官から委員に御答弁申し上げたところでございます。また、同じような内容につきまして大臣から尾辻かな子議員に対しまして答弁した内容でございますけれども、これにつきましては、福祉部会やその他の場において表明された経過措置の延長を求める意見を踏まえまして、厚生労働省において整理したものでございます。特に、介護施設団体や養成施設団体から、養成施設に入学してくる外国人の留学生の人数が毎年倍々のようにふえているような状況である一方、留学生の国家試験合格率は低調であるという状況の中で、経過措置が終了すると国家試験不合格となった外国人留学生が帰国することにつながり、今後、養成校への留学生がなかなか集まらなくなるのではないか、したがって人材不足が進んでしまうとの意見、さらに、外国人受入れにつきましてさまざまな新たな制度が施行されておりますけれども、制度が定着するまでは経過措置の延長はやむを得ないといった御意見があったことを踏まえつつ、省内で検討して、このような答弁を行ったものでございます。
○宮本委員 福祉部会の意見とこの厚労省の整理の間には大分乖離があるわけですね。ちなみに、大臣も議事録を読んでいただけたと思いますけれども、帰国する人がいる、特定技能は難しいんだみたいな誤解された養成施設協会の方の発言に対して、厚労省自身がその場で、いえいえ、養成施設を卒業すれば特定技能で残れますというふうに福祉部会で訂正しているわけですよ。そうですよね、議事録を読んだらそうなっているわけです。ですから、本国に帰るというのは、私が議事録を読んだ限りでは、そういうことにはなりませんねということを厚労省自身が表明されているわけですよね。ところが、先日の答弁では、議事録とは全く違う理屈が出てきたわけですよ。本当に、不合格でも資格が取れるから資格取得を目指す外国人がふえているんだ、この流れに水を差すのはだめだという論理でいけば、これはいつまでたっても介護福祉士の国家資格試験の一本化は私はできないのではないかと思いますよ。そこを真剣に考えていただきたいというふうに思います。その上で、次に、介護福祉士の養成施設で学んだ外国人留学生の実績について伺います。二〇一八年度に卒業して介護福祉士の資格を得た方のうち、国家資格試験に合格した方の比率を教えていただきたいと思います。また、二〇一八年度の外国人留学生の卒業生がいた介護福祉士養成施設は何施設あって、介護福祉士の資格を得た者のうち国家資格試験合格者の占める比率が一〇%未満の施設は幾つあるのか、教えていただけますか。
○谷内政府参考人 お答えいたします。平成三十年度に介護福祉士養成施設を卒業した外国籍の方につきましては、国家試験に合格した方が百八名、あと、経過措置による資格登録を行った方が三百七名でございまして、合計すると四百十五名ということでございますので、議員お尋ねの国家試験に合格した方がこの合計に占める割合は二六・〇%というふうになります。また、この四百十五名の方々が在籍されておりましたのは九十五の介護福祉士養成施設でございまして、この中で国家試験に合格した方の割合が一〇%未満の養成施設は六施設、さらに、〇%の養成施設は二十九施設となっているところでございます。
○宮本委員 一〇%未満が全部で二十九プラス六で三十五施設、そのうち〇%が二十九施設。ですから、九十五施設のうち二十九施設が合格した人はどなたもいない、だけれども試験は落ちても資格は得られるということで、資格を得たということであります。中には試験を受けずに資格を受けている人もいるということだと思うんですけれども。なかなか、私も初めて今数字を聞きましたけれども、ゼロ%がそれだけあるというのは驚きですね。三分の一近くが合格者が誰もいないということなんですよね。これまで、社会福祉士については学校ごとに受験者数、合格者数、合格率などが公表されてきましたが、介護福祉士については、そうしたデータを集めながらも、この間公表してきませんでした。しかし、前回の質疑で、今後は養成施設ごとの合格率を公表するという答弁がございました。これはいつから行うんでしょうか。過去の実績も含めて公表するんでしょうか。そして、合格率を出す場合は、日本人と外国人留学生と別枠で出すということでよろしいでしょうか。
○谷内政府参考人 お答えいたします。十五日の委員会でも審議官から今後は養成施設ごとの合格率を公表するという答弁をさせていただきましたけれども、これにつきましては、この経過措置延長に際しまして各養成施設における合格率向上の取組を促すために、次回の令和二年度に、来年の一月か二月だったと思いますけれども、行われる国家試験から、各養成施設の受験者数、合格者数、合格率を、新卒さらに既卒ごとに、また日本人受験者、留学生受験者ごとに、それぞれについて公表することとしております。また一方で、先生からの過去のものにつきまして、実は介護福祉士養成施設の卒業者は平成二十九年度国家試験から受験しておりまして、過去三回の実績がございますけれども、これにつきましては、今後、関係団体や、養成施設からの報告、集計の実務を担う都道府県等の意見を聞いていきたいというふうに思っております。
○宮本委員 ぜひ、過去の実績も含めて公表をしていただきたいというふうに思います。きょうは配付資料を配っておりますが、これは介護福祉士養成施設の協会の留学生向けのホームページからとったものであります。英語表記のものですけれども、キャリアがどんどんこうなってアップしていきますよということが書いてあるわけですね。上は、初めはスチューデントビザで、日本語学校、それから養成施設。それから、日本に来て四年目からは働けますよと。ちなみに、スチューデントビザのときはインカムは毎月十万円と書いてありますね。働き始めたら二百五十万から四百万円になりますということですね。日本に来て十年目、ですから、働き始めて七年目以降には、年収は、チームリーダーになれば四百万から五百万円、マネジャーになれば五百万から六百万円、ディレクターになれば八百万から一千万円ということが書かれているわけであります。ディレクターまで行くと、足を投げ出して踏ん反り返って座っているわけですけれども、ディレクター、社長じゃないですね、この場合は施設長というふうに訳すのかなと思いますけれども、ただ、私なんかはいろいろな施設長さんからお話を伺いますけれども、施設長であれ、施設の理事の方であれ、こんなに踏ん反り返っていないですよね、一生懸命働いていますよ、本当に。それで、一千万円もらっている方が一体全体どれだけいるのか。あるいは、日本で働き始めて七年目から四百万円もらっている方がですね。というのは、平均よりも高いですよね。厚労省の出している介護福祉士の平均、八・四年目で年収換算にして三百七十六万円というのが厚労省の出している調査でしたから、そういうことなんですよね。ちなみに、これを見たある大学の先生は、大学の先生をやめて、このコースで私も一千万で施設長をやろうかななんて言っていましたけれども。かなり盛ったものが、盛りまくりという声も出ていますけれども、盛ったものが留学生向けに宣伝されているわけですよね。ちなみに、このキャリアの中には国家資格試験を受験しますという話も、この絵の中には、あるいは表の中には出てきません。私はこういう勧誘の仕方はどうなのかなと思いますけれども、大臣、これをごらんになって感想はございますか。
○加藤国務大臣 これは、介養協というのは介護養成施設協会ですかね、そのホームページからということで、海外向けということだと思います。これについて、今初めて見たので一つ一つ見ておりませんけれども、いずれにしても、海外から来られた方に、さっき言った盛ったというか、誤解のないようにというか、実態を踏まえた情報提供をしていくことが大事なんだろうと思います。
○宮本委員 実態を踏まえてやるべきだという点でいえば、ちょっと実態とは違うんじゃないかという大臣の思いも入っているのかなというふうに受けとめたんですけれども。そうであったら、うんとうなずいていただければ。いや、大臣はこれが実態だというふうに肯定されるわけでもないとは思うんですよね。ちょっと時間がなくなってきてしまったんですけれども、やはり介護福祉士というのは専門職ですよ。専門職ですから、高度な知識と技能の獲得を問わずに、養成施設を卒業すれば国家試験に落ちても専門職とみなすというのは本当にまずいと思います。そして、実際に一生懸命試験を受けて合格して介護福祉士になった方々のやる気をそぐことにもなると思いますし、介護の質の担保という点でも大変問題があると思います。求められる介護福祉士像を実現するためには私は国家試験に合格するということは最低条件だと思いますが、大臣はそうお考えになられないんですか。
○加藤国務大臣 まさに、国家資格試験の義務化を導入したその背景には、やはりこうした試験をすることによって質の向上を図っていきたい、ただ、もともと養成施設についてはこうした試験の資格がなくても福祉士資格も与えられてきた、そうした歴史的な経緯もあって、その当時、五年間の延長が図られたということであります。今回については、先ほど福祉部会等の議事録も読ませていただいて、さまざまな議論がある中で、やはり更に五年延長する必要があるということでありますけれども、しかし、この間においても、養成する中においてしっかり養成が図られていくということ、それから、もう一つ大事なことは、介護福祉士が資格を取られたとしても、それからそれぞれの現場で活躍をしていただき、そしてある意味ではチームリーダーとしてその力を発揮していただく、そうした支援もあわせて進めることによって働く方の更にスキルアップがなされ、そして、それにのっとって、そうしたことを背景に、またそれを目指す人もふえていく、こういういい循環をまさにつくっていくべく努力をしていきたいと思います。
○宮本委員 やはり、介護福祉士の養成施設の人たちにも、学んでいる人たちにはちゃんと国家資格試験に合格してもらって資格を取る、そのための援助こそ私は全力でやらなければいけないというふうに思います。ちなみに、EPAルートのベトナム人の合格率というのは九〇%だという話なんですよね。やはりN3があって来ているわけですね。でも、実際は、養成施設は名目上はN2だということを言っていますけれども、実態はN2じゃなくて、N3どころかN4の人たちもいっぱい受け入れているから全然合格しないところも出ているというのが実態なわけですよね。ですから、私は、本当に、日本で介護福祉士を目指す人には、日本語教育の支援も含めて、しっかりとそういう支援をやっていくことこそやるべきだということを強く申し上げておきたいと思います。最後に、障害者福祉について、通告が全部できないんですけれども、質問させていただきたいと思います。コロナの影響で障害者福祉の事業所が大変影響を受けているというのは、私も何度も取り上げてまいりました。放課後デイの問題や就労Bの問題、工賃の確保の問題も言ってきましたが、とりわけ利用が大きく落ち込んでいるものの一つが移動支援です。感染拡大と外出自粛の中で、先日もお話を伺っていたら、それまで月二百万あったものが五十万の収入にまで、四分の一にまで収入が落ち込んでいるという話です。ヘルパーさんは休んでもらうけれども、移動支援の担当の方の人件費というのは出ていくわけですよね。経営面から見ても大変厳しいというお話でした。この移動支援の事業所の減収をどう把握しているのか、そして、こうしたところも含めて障害者福祉の減収にどう対応されるのか、伺いたいと思います。
○橋本政府参考人 御指摘の移動支援事業でございますが、こちらは、障害のある方の社会参加を促進し、地域での自立した生活を支える地域生活支援事業の一つでございます。新型コロナウイルスの影響が広がる中でも継続して支援が提供される必要がございます。しかしながら、今般の感染症の拡大に伴いまして、障害者の方々の予定されていた外出の中止ですとか、あるいは外出時間の短縮などによりまして事業所の収入が減少しているといった声も私どもの方に聞こえてきております。このため、今般の感染症の拡大に伴いまして、移動支援による外出ということを予定しておりました障害者が外出時間を短縮したり、あるいはやむを得ず外出を自粛せざるを得ないような場合におきまして、移動支援の事業所が居宅等において必要な支援を行った場合には移動支援事業を実施したものと取り扱ってよい旨をお示しして、柔軟に対応させていただいているところでございます。このほか、委員御案内のとおり、無利子無担保の融資の制度ですとか雇用調整助成金による支援、あるいは持続化給付金といったものもございます。引き続き、現場の状況などを踏まえながら、機動的に必要な支援を講じてまいりたいと考えております。
○宮本委員 時間になりましたから終わりますけれども、居宅の支援を全部できるわけではないわけですね、実際は、現場の実態は。それで利用料が発生するという問題も、とても現場の感覚からいえば合わないわけですから、しっかりと二次補正予算で、障害者福祉施設の減収分への対応、そして、私の前の委員からも指摘がありましたけれども、就労Bの工賃などへの対応も行うことを強く求めまして、きょうの質疑は終わらせていただきます。残った質問はまた次回やらせていただきます。
○盛山委員長 次回は、来る二十二日金曜日午前八時四十五分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。