2023年10月30日 予算委員会 結束こそ なぜ棄権 ガザ休戦決議巡り 宮本徹氏
日本共産党の宮本徹議員は30日の衆院予算委員会で、イスラエル・ガザ紛争の人道的休戦を求めた国連総会決議(27日)に日本が棄権したことを批判し、「いま一番大事なことは、殺りくを止めるために国際社会が結束して停戦を働きかけることだ」と主張しました。
宮本氏は、国連総会で即時かつ持続的な人道的休戦を呼びかける決議が採択されたとして、イスラエル、パレスチナのイスラム組織ハマスをはじめ、全ての当事者が同決議に従うべきだと指摘。国際社会は決議履行に最大限努力すべきであるにもかかわらず、「(日本は)なぜ棄権したのか」と迫りました。
岸田文雄首相は、決議にはハマス等によるテロ攻撃への強い非難がないなどとして、「内容面でバランスを欠いている」と弁明しました。
宮本氏は、同決議が、パレスチナとイスラエルの市民をねらったテロ行為や無差別攻撃を含むあらゆる暴力行為を非難し、人質の解放も求めていると強調。フランスやスペイン、ノルウェー、ベルギーなど、NATO(北大西洋条約機構)諸国でも決議に賛成している国はあると指摘し、「結局、アメリカの顔色をうかがっているのではないか」「パレスチナ、イスラエル双方との独自の関係を築いてきた日本の立場を生かして、暴力を止め、命を守るために力を尽くすべきだ」と訴えました。
以上2023年10月31日付赤旗日刊紙より抜粋
≪2023年10月30日 第212国会衆院予算委員会第3号議事録 該当部分抜粋≫
○小野寺委員長 これにて浅野君の質疑は終了いたしました。次に、宮本徹君。
○宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。総理、まず、ガザ・イスラエル紛争についてお伺いいたしたいと思います。多くの命が奪われ続けております。ガザは壊滅的な人道状況であります。世界中で停戦を求める声が上がっております。国連安保理が機能不全の中、国連総会で、即時かつ持続的な人道的停戦を呼びかける決議が採択されました。イスラエル、ハマス、全ての当事者がこの決議に従うべきです。そして、国際社会はこの決議履行に最大の努力をすべきです。ところが、この決議に日本政府は棄権をいたしました。総理、なぜ棄権したんですか。
○岸田内閣総理大臣 御指摘の決議についてですが、同決議は、ハマス等によるテロ攻撃への強い非難や、全ての国連加盟国が国際法に従って自国及び自国民を守る権利の重要性に関する言及がないなど、全体として内容面でバランスを欠いているとしたために、我が国として総合的に判断し、棄権をした次第です。しかしながら、同決議に含まれている人道アクセスなど、ガザの人道状況に対処するための重要かつ前向きな要素については、我が国として支持できる内容であり、この点、本決議に対してカナダから提出された修正案、これについては、ハマスによるテロ攻撃及び人質拘束を明確に非難する旨、追加する趣旨がありました。このカナダからの修正案については、我が国として賛成をした次第であります。
○宮本(徹)委員 ちょっと説明になっていないと思うんですよね。ハマスの三文字は入っていないかも分からないですけれども、この決議の中では、パレスチナとイスラエルの市民を狙ったテロ行為、無差別攻撃を含むあらゆる暴力行為を非難すると書いているわけじゃないですか。人質の解放も入っているわけですよ。ハマスの三文字がないだけで賛成しないというのは、こんなおかしな話はないんですよね。総理、今一番大事なことは、今起きている殺りくを止めるために、国際社会が結束して停戦を働きかけることじゃないですか。もしかして、アメリカが反対しているから、アメリカが反対しているものには賛成するわけにはいかない、こんなことで棄権に回ったんじゃないんですか。
○岸田内閣総理大臣 今申し上げたように、ハマスへの、攻撃、そして人質拘束、こういったものについて明確に非難する趣旨、これがカナダ案には盛り込まれていました。こういったことから、カナダ案に我が国として賛成をしたということであります。このバランス、今回の中東情勢につきましては、大変微妙なバランスの中に存在いたします。こういった視点も含めて、この決議の内容、この全体のバランスがどうなっているのか、これを総合的に判断することが重要であると認識をしております。
○宮本(徹)委員 ハマスの三文字がないからといって、フランスも同じようなことを言っていますけれども、フランスも名指しの非難があった方がいいという立場だけれども、フランスは決議には賛成していますよ。スペインも賛成していますよ。ノルウェーも賛成していますよ。ベルギーも賛成していますよ。結局、アメリカの顔色をうかがっている、こういうことなんじゃないんですか。パレスチナ、イスラエル双方との独自の関係を築いてきた日本の立場を生かして、暴力を止め、命を守るために力を尽くすべきだ、そのことを強く指摘しておきたいと思います。(以下略)