2023年11月8日 衆院厚生労働委員会 軍拡流用で賃上げ抑制 積立金 軍拡に使うな
配付資料1 出典:2023年2月1日衆議院予算委員会配付資料
配付資料2 出典:2023年2月1日衆院予算委員会議事録
配付資料3 出典:2023年6月1日参院財政金融委員会会議録
配付資料4 出典:2023年9月18日付朝日新聞
配付資料5 出典:2023年9月18日付朝日新聞
配付資料6 出典:2023年10月25日付朝日新聞
配付資料7 出典:2023年10月11日付朝日新聞
配付資料8 出典:厚生労働省ホームページ
配付資料9 出典:厚生労働省労働基準局編「労働基準法解釈総覧改訂13版」
日本共産党の田村貴昭、宮本徹両議員は8日、衆院財務金融委員会、同厚生労働委員会でそれぞれ質問し、国立病院機構と地域医療機能推進機構(JCHO)の積立金を流用し、軍拡財源法の防衛力強化資金にあてる政府の方針を批判しました。
田村氏は、両機構は財政難で施設の老朽化や病院職員の賃上げ抑制などさまざまな問題が起きていると指摘し、「病院のために使うべきではないか」と迫りました。鈴木俊一財務相は「両機構は経営上余力がある」と答えました。
宮本氏は、先月JCHOが、今年の賃金引き上げから人事院勧告の半分にしようとする事態をあげ、「これまでの人事院勧告並みの引き上げが破られた。余力があるといえるのか」と追及。武見敬三厚労相は「給与等の支払いは機構が定める。機構の判断についての是非をお答えするのは困難」と答えました。「余力があるのか」という重ねての追及に武見氏は、答弁に立つことができなくなりました。
宮本氏は、「積立金の流用が、賃上げのペースダウンをさせている」と主張しました。
以上2023年11月9日付赤旗日刊紙より抜粋
≪2023年11月8日 第212国会衆院厚生労働委員会第2号 議事録≫
○田畑委員長 速記を起こしてください。次に、宮本徹君。
○宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。今朝からの議論を聞いていまして、一点だけ私から申し上げておきたいことがあります。阿部知子議員とのやり取りで、旧優生保護法の強制不妊手術に関わる問題で、所管外だ、こういう冷たい一言の答弁があったわけでございますけれども、これは立法府の誤りであると同時に、厚生行政の誤りでもあるわけですよね。これは、立法府も自ら正していかなければならない問題ですけれども、厚生行政の誤りを引き継いでいるのは厚生労働省なんですよ。そこの自覚がないんじゃないかと思うんですね。私は、この問題は、本当に政府が責任を持って速やかな解決を果たす責任がある問題だと思います。ですから、大臣、質問しませんから、今日は阿部知子議員からも、それから私、宮本徹からも、この問題は政治決着すべき問題なんだ、速やかに解決しなきゃいけない問題なんだ、こういう指摘があったということを岸田総理に伝えていただきたい。よろしいですね。はいと言っているので、質問せずに進みたいと思います。それでは、まず、通告しております地域医療機能推進機構、JCHOの問題についてお伺いしたいと思います。通常国会で、軍事費倍増のために国立病院機構やJCHOの積立金を召し上げる、こういう法案が強行されました。JCHOの積立金のうち三百二十四億円、これが召し上げられるわけですが、法案審議の際、政府は、JCHOなどについて余力があるといって、この法案を強行したんですね。今、何が起きているのか。十月、JCHO本部が、今年の賃金引上げについて、人事院勧告の引上げ額を半額にするということを言ってきたということなんですね。これまで、JCHOは発足以来、賃上げは人事院勧告に合わせてずっと上げてきたわけですが、初めて人事院勧告並みの引上げができない、半分しか上げられない、こういう事態が生じているわけです。今日、資料を配っています。これは今年の二月の予算委員会で配った資料ですけれども、元々、JCHOの理事長は、積立金を国が召し上げることについては反対だったわけですね。改修や老朽化対策をしなきゃいけない、今ある積立金でも足りないんだと言ってきたにもかかわらず、持っていこうとしているわけですね。JCHO本部は、直近の労組との団体交渉でも、新築は一棟当たり百億円かかるんだ、五百六十五億円の積立金でも足りない、こう言っているわけですよ。政府の国会答弁とJCHO本部が労働組合に対して言っていることが全く違うじゃないですか。大臣、人事院勧告の半分しか賃上げができない、こういう経営状況というのは、余力があると言えるんですか。
○武見国務大臣 今般の地域医療機能推進機構等の積立金の国庫納付につきましては、防衛力を維持強化していくに当たって、国民の負担をできるだけ抑えるべく、あらゆる工夫を行うという政府の方針に対し、御協力をいただくこととしたものでございます。積立金の原資については、機構の中期計画において、将来の投資、これは病院建物の整備、修繕、それから医療機器等の購入等及び借入金の償還に充てることとされており、直接処遇改善の原資とすることはないものと承知しております。また、これまでも累次の処遇改善は行ってきたものと承知をしております。その上で、独立行政法人制度においては、法人の自主性、自律性を尊重した業務運営が基本とされ、給与等の支給基準も、法人が業務の実績等を考慮して定めるものとされています。厚生労働省としては、今年十月に、人事院勧告を踏まえ適切に対応するよう要請しているところでございます。
○宮本(徹)委員 余力があると言えるのかということを私は聞いたんですよ。積立金が足りなければ、当然、利益の中からまた積み立てていこうということになって、人件費に回らなくなっていくわけですよね。積立金が足りないといって人件費を抑えにかかってきているわけですから、そういう事態が余力があるのか。余力があるという認識が間違っていたんじゃないかということを聞いているんですよ。その点だけお答えください。
○武見国務大臣 先ほどもお答えしたとおり、積立金の原資については、機構の中期計画において、将来の投資、病院建物の整備、修繕、医療機器等の購入等及び借入金の償還に充てることとされておりまして、直接処遇改善の原資とすることはないものと承知をしております。これまでもその中で累次の処遇改善は行ってきたものと承知をしております。
○宮本(徹)委員 聞いたことに答えてくださいよ。余力があるのかと聞いているんですよ。積立金そのものを云々言っているんじゃないんですね。今後も、積立金が足りなくなったら、利益から積立ての方にまた回っていくでしょう、それで、利益から賃金に回らずにこういう事態が起きているんじゃないですかという話をしているんですよ。余力がないんじゃないですか。人勧並みに引き上げられてきたこれまでの慣行が今回の事態によって破られているわけですよ。これは余力があると言えるのかということを聞いているんですよ。そんなペーパーなんか見るから答えられないんですよ。大臣の普通の感覚で答えてくださいよ。
○武見国務大臣 給与等の支払いの基準というのは機構が定めるものでございます。厚生労働省としては、機構がどのような理由で給与案を提案したのかも含めて、今年度の給与に関する労使交渉の具体的内容について把握する立場ではなく、その詳細や機構の判断に対する是非をお答えするのは困難でございます。
○宮本(徹)委員 その是非を判断しろと言っているわけじゃないんですよね。余力があるといって、皆さんは積立金を召し上げる判断をした。しかし、余力があるどころか、今までどおりの賃上げもできない事態になっている。余力があるという答弁は間違いだったんじゃないのか。これは、委員長、ちゃんと聞いていることに答えるように指示を出してください。
○田畑委員長 改めて、宮本徹君の質問に、武見厚労大臣。(発言する者あり)速やかにお願いします。
○武見国務大臣 繰り返しになりますけれども、独立行政法人制度においては、法人の自主性、自律性を尊重した業務運営が基本とされておりまして、給与等の支払い基準も法人が業務の実績等を考慮して定めるものとされています。厚生労働省としては、今年十月に、人事院勧告を踏まえて適切に対応するよう要請しているところでもございます。そして、なお、給与等の支払い基準は機構が定めるものでありまして、厚生労働省としては、機構がどのような理由で給与案を提案したのかも含め、今年度の給与に関する労使交渉の具体的内容について把握する立場ではありません。その詳細や機構の判断に対する是非をお答えするのは困難であります。
○宮本(徹)委員 私の質問に一向にお答えにならないんですよね、ただ時間を潰される答弁ばかりされて。本当は質疑を止めてもらわなきゃいけないような答弁ですよ、昨日ちゃんと言っているんですから。余力があるのかどうか、この答弁、どうなのかということについて言っているわけだから。さすがに、答弁として、余力がありますということは大臣も答弁できないわけですよ。今、岸田政権は、三十年続いたコストカット型経済から転換するんだ、賃上げを持続させていくんだ、こう言っているわけでしょう。このときに、賃金が今までよりも上がらない、ペースダウンをさせているのは、今回の、皆さんが行った積立金を召し上げるということなんですよ。言っていることとやっていることが全然違うじゃないですか。これはちゃんと責任を取ってもらわなきゃ困りますよ。いいんですか、こういう、岸田政権と違う事態を自分たちで引き起こしておいて。
○浅沼政府参考人 お答えいたします。経営上の一定の余力があるものと考えられるというのは、施設整備等について、繰り越された積立金の多寡にかかわらず、これまでも、診療報酬等の自己収入等を財源といたしまして、機構の中期計画に位置づけられた整備計画に基づき、この業務を、いわゆる病院業務を計画的に取り組まれてきたものというふうに承知しておりますので、そういう解釈でございます。
○宮本(徹)委員 施設整備のために賃金が上げられなくなるというのは、どう考えても余力なんてないわけですよ。これは、ちゃんと次の委員会で、次は法案審議か、その先でまた聞きますので、整理しておいてください。よろしいですね。続きまして、医師の働き方改革についてお伺いしたいと思います。来年四月から、医師の働き方改革として勤務医の時間外労働の上限規制が始まります。宿直や日直を労働時間とみなさなくてよい宿日直許可というのが急増しております。昨年の許可件数は一千三百六十九件と、二年前の十倍ということになります。そこで、何が起きているのか、配付資料の四ページ目を見ていただきたいと思いますが、急患、夜間に二十六人、朝四時にやっと仮眠室に入れた、こういうものでも宿日直許可が出ているという話なんですね。宿日直許可の基準でいえば、宿直の場合は夜間に十分な睡眠が取り得るもの、その上で、少数の軽症の外来患者や、かかりつけ患者の状態の変動に対応するため、問診等による診察等を行うことということで、極めて限定的な場合にしか宿日直許可というのは本来出されないはずなんですね。これは大臣にお伺いしますけれども、夜間に急患を二十六人も診て、朝四時まで診続けている、こういうのは宿日直許可の基準を満たしているとは到底言えないと思いますが、大臣、いかがお考えですか。
○武見国務大臣 医療機関における宿日直許可については、特殊の措置を必要としない軽度、短時間の業務や、夜間に十分な睡眠が取り得る業務など、宿日直許可基準に適合しているものに限って労働基準監督署が許可の判断を行っております。こうした許可基準に適合していなければ、許可することはありません。個別の事案についてお答えすることは差し控えますけれども、一般論として、宿日直許可の趣旨に反して通常の勤務時間と同様の業務に従事することがあった場合には、その時間を通常の労働時間とし、時間外労働に対する割増し賃金の支払い義務などが生じることとなります。そのような義務が果たされないなど、宿日直許可の不適正な運用により労働基準関係法令違反が疑われる場合には、労働基準監督署において適切に対応していきたいと思います。
○宮本(徹)委員 これはどう考えても基準を満たしていないわけですから、本来、これは許可を取り消さなきゃいけないような場合だと思うんですね。この記事で書かれているお医者さんは、労基署は病院の実態をよく把握せずに許可したのではないのか、長時間労働の医師が患者を治療すれば事故も起きかねない、こう指摘しているわけです。この記事を載せたら反響メールがいっぱい来たということが朝日新聞には書かれておりました。資料の五あるいは六も同様の話が書かれているわけですね。これは宿日直許可を申請する際の話ですね。資料五、労基署の担当者に業務日誌を見せると、救急車の受入れ数がちょっと多い、もっと診療時間を短くしてくださいと指摘され、診療時間から検査結果の待ち時間を除き、救急車が少ない季節を選んで日誌を提出すると許可が下りたと。それから六ページ目ですね。申請に当たっての調査で、宿日直中の業務も急患対応以外は書かないでくれという指示があった、通常は一晩に急患を十人ほど受け入れているが、コロナクラスターの影響もあって調査時期は二、三人、この内容で労基署に提出し、許可が出たと。これも新聞記事で書かれている話ですけれども、大臣もこういう話を聞いているんじゃないですか。医療関係者の話では、実態を反映しないような報告をせよという話がごろごろあるわけですよ。宿日直許可がかなりいいかげんに出されているんじゃないか、こういう話、御存じなんじゃないですか。
○武見国務大臣 医療機関における宿日直許可については、特殊の措置を必要としない軽度、短時間の業務、夜間に十分な睡眠が取り得る業務など、宿日直許可基準に適合しているものに限って労働基準監督署が許可の判断を行っております。許可基準に適合しなければ許可することはなく、全ての病院について改めて確認することは考えておりません。
○宮本(徹)委員 これから確認することはしませんなんということを言うわけですけれども、これは記事に書かれているだけでも幾つも出ているわけですよね。厚労省は、宿日直許可を出すことを前提に、形だけの調査しかしていないんじゃないかということが現場から指摘されている。同様の話はいっぱい私どもは聞いております。何でそんなかたくなに調査する気はないという話をされるのかよく分からないんだけれども、これだけたくさん指摘されておいて調査をしないというのは、何か理由があるんですか。
○武見国務大臣 労働基準監督署が適切に宿日直許可の判断を行えるよう、令和四年六月に厚生労働省から各労働局に対して参考事例の周知を行っているほか、宿日直許可に関わる処分の判断について、斉一的に対応するよう徹底を指示しております。その上で、宿日直許可の不適正な運用により労働基準関連法令違反が疑われる場合には、労働基準監督署において適切に対応してまいりたいと考えます。
○宮本(徹)委員 これだけたくさん報道されているのに対して、何の対応も取っていないということですか。
○鈴木政府参考人 お答え申し上げます。先ほど大臣が答弁申し上げたように、私ども労働基準監督署におきましては、許可基準に従いまして、実態を調査した上で、許可基準に該当する場合に許可を行っているところでございます。仮に、許可を受けた病院におきまして、許可基準、許可の基準に反するような形で通常の勤務と同様の勤務が行われた場合には、その勤務につきましては、通常の労働時間としてカウントして取り扱うということに取扱いがなるわけでございます。仮に、通常の労働時間として扱わずに、これがカウントされていないというような実態につきましては、先ほど大臣が申し上げたように、個別に労働基準監督署が調査を行いまして対応するということでございます。
○宮本(徹)委員 その対応が間違っているんじゃないですかね。そもそも許可の基準を満たしていないものに許可が出ているんじゃないのかという告発がたくさん寄せられているわけですよ。一回許可を出していて、そこは通常の労働だから、それは労働時間とその部分だけカウントしてくれ、そういう話じゃないと思うんですよね。ちゃんと基準を満たしていないものに出しているんじゃないかという告発がこれだけ新聞に出ている。にもかかわらず対応しなくて、体調を崩される、くも膜下出血になる、あるいは過労死される、こういう医師の方が出たら、厚生労働省として責任を果たしたと言えないですよ。これだけの指摘があるのに、何で調査もしようとしないんですか。理解できない。
○鈴木政府参考人 調査をしないのではなく、個別にいろいろ、そういった労働基準法に反するような事態が生じた場合には、申告あるいはいろいろな情報によりまして、個別に労働基準監督署において対応しているということでございます。
○宮本(徹)委員 新聞に書かれている話というのは、宿日直の許可基準を満たしていませんよね、どれもこれも。満たしていないものがこれだけたくさん告発されている、これ以外にもたくさん同様の事例がある。恐らく皆さんも知っているはずです。知っているにもかかわらず、見て見ぬふりをしていいのかというのがこの告発なんじゃないですか。見て見ぬふりしていいんですか。何のための医師の働き方改革なんですか。
○鈴木政府参考人 見て見ぬふりをしているというわけではございませんで、どこの医療機関がこういう実態にあるということが申告等でございましたら、個別に、労働基準監督署がそこに立ち入りまして、いろいろな調査を行っているというものでございます。
○宮本(徹)委員 個々人の告発はなかなかしにくいんですよ、現場のお医者さんは。それは、病院の運営にも影響があるかも分からない、自分の患者さんの手術が翌日入っていたら、そのこともあってなかなか言い出しにくいとか、いろいろな事情が現場の方々にある。だけれども、ちゃんと医師の働き方改革をやって、お医者さんの健康を守ろう、お医者さんの健康を守ることは患者さんの安全を守ることだということで、ちゃんと宿日直許可の制度というのは許可制としてつくられてきているはずなんですよね。それが甘々の運用をされている。これはまずいと思いますよ、はっきり言って。調査するとも言われない。ちなみに、これは多分、与党の議員の方々の方が詳しいんじゃないですか。ちなみに、最高裁判決では、かつて、大星ビル管理事件というもので、こういうのが出ているんですね。ビル管理会社の従業員が、仮眠時間中であっても、待機や電話への対応など、労働契約上の役務の提供が義務づけられていると評価されている場合には、労働からの解放が保障されているとは言えず、労働基準法三十二条の労働時間に当たる。これが最高裁の判決なわけです。ですから、これを当てはめれば、病院の医師の宿直業務というのは、仮眠時間中も必要に応じて患者の診断、治療を行うことが想定され、当然、これを拒むことはできません。入院患者の急変や救急患者の受診があったときに患者の命を守るために全力で対応する、これが宿直されているお医者さんの仕事になっているわけですね。ですから、労働からの解放が保障されているとは到底言えないわけですよ。ですから、私は、この最高裁判決の趣旨からいっても、救急病院などの急性期病院で働く医師に宿日直許可を認めるということはそもそも間違いだと思いますよ。断続的な労働なんだということを皆さんはおっしゃるわけだけれども、宿日直をやっているお医者さんは、患者さんが病院で急変が起きたら、それにずっと対応し続けるわけでしょう。翌日の次の担当の医師に引き継ぐまで、その仕事が途切れることはないわけですよ。断続的な労働とはとても言えないわけですよね。ですから、今行われている宿日直許可というのは、この間の最高裁の判決に照らしても到底認めるわけにはいかないものだと思いますが、この点、大臣、いかがですか。
○鈴木政府参考人 御指摘の最高裁判決につきましては、個別の事案におきまして、仮眠の時間も使用者の指揮命令下に置かれているため、労働時間に当たるという判決が下された例だと認識してございます。一方、私どもの医療機関におきます宿日直許可につきましては、こちらについては、その時間が労働時間であるという前提の下に、個別の医療機関の状況を踏まえつつ、通常の労働者と比較して労働の密度が低い。したがいまして、労働基準法三十二条の労働時間規制等を適用しなくても労働者の保護に欠けないと判断された場合に限りまして、監督署長の許可を条件に規定の適用を除外をするものでございまして、これは最高裁判決と矛盾するものとは考えているところではございません。
○宮本(徹)委員 この最高裁判決の趣旨からいったら、およそ、全く今の宿日直許可の基準というのはおかしいと思いますよ、さっきは、それはおかしくないようなことをおっしゃいましたけれども。労働の密度が低いとか高いとかじゃないんですね、ちゃんと指揮命令系統の下にあって、断続的な労働ではなく、ずっと継続的な任務を求められているという状況になっているわけですから。この点は、引き続き私は問題提起していきたいと思います。元々、医師の働き方改革をやろうという話になって、なぜこんな事態が、宿日直許可の乱発というのが起きる事態になったのかというのを考えると、勤務医の数が少な過ぎるわけですよ。だから、労働時間規制に合わせるために、今まで労働時間とカウントしていたものを、宿日直許可を出して労働時間とカウントしない、こういうことをやっているわけですよね。脱法的なやり方をやっているわけですよ。これはやはり、医師そのものを増やしていく、私は、そのことをやらないと、この問題はちゃんと解決しないと思いますよ。そのことを申し上げておきたいと思います。最後の問題について質問いたします。マイナ保険証についてですけれども、マイナンバーカードを高齢者の皆さんが、私、よく聞くのは、暗証番号も大体セットとして持っているから、持ち歩くのはとても怖いから、マイナ保険証として使わないんだということを聞くんですね。大臣もそういう話を聞いたことはありますか。マイナンバーカードは暗証番号とセットで持ち歩かなきゃいけないから、落としたときに怖いから、マイナンバーカードを持ち歩かない、マイナ保険証を使わないんだ、こういう話は聞いたことがありますか。これは別にペーパーの話じゃないですから。
○武見国務大臣 通告ではありませんから、一般的なお答えをするとすれば、マイナ保険証については、まだ十分に普及がされていない中で、実際に様々な錯誤が現実には起きて、それを今まさに是正をして、国民の信頼を回復する、その途次の中にあると私は考えています。したがって、これらの国民の不安を解消をしていく過程で、こうした御指摘のような問題の解決にもつなげていきたいと思います。
○宮本(徹)委員 錯誤の問題じゃなくてですね。私の質問を全然聞かれていないんだなというのはよく分かりましたけれども、マイナンバーカードを、高齢者の皆さん、暗証番号を覚えられないから、大体一緒に管理しているわけですよ。一緒に持ち歩いて落としたら大変なことになると思う、だからマイナンバーカードを持ち歩かないし、マイナ保険証も使わない。高齢者から私はよく聞きます。実はそのことを、先日、情報システム学会のマイナンバー制度研究会が提言を出されていて、全くそのことを指摘されているわけですね。今のマイナンバーカードには根本的な問題がある。身元確認、当人確認、真正性確認という三つの本人確認機能を入れ込んでいる。マイナンバーカードを身元証明書として常時携行させる。常時携行すれば盗難被害に遭う人は増え、最高保証レベルの当人確認の所有物であるので、犯罪ターゲットになりやすく、マイナンバーカードを使用して利用できる情報システムが増えれば増えるほど、マイナンバーカードに関わる犯罪が増えることになる。全く正しい指摘だと思います。そして、マイナンバーカードと保険証とを一体化したら、成り済ましリスクが増加する。高齢者施設等で管理した場合、職員の転職などのタイミングで漏えいし、裏社会に流通し、成り済ましによって勝手に銀行口座が開設され、マネーロンダリングの温床になることもあるであろう。こういうことが指摘されているわけですね。これは根本的なマイナンバーカードの欠陥だと私は思うんですね。この指摘について、大臣はどう受け止められますか。
○武見国務大臣 先月、情報システム学会マイナンバー制度研究会が公表した「マイナンバー制度の問題点と解決策」に関する提言の中で、マイナンバーカードの紛失、盗難率の更なる上昇による成り済ましリスク増加の問題や、高齢者施設においてマイナンバーカードの暗証番号を職員に共有する取扱いに対する問題などが指摘があったということは私も承知をしております。成り済ましリスクの増加の御指摘に対しては、現行の保険証と異なり、マイナンバーカードには顔写真がついておりますので、成り済ましのリスクを軽減することができます。また、紛失、盗難時には、二十四時間対応のコールセンターへ連絡することにより、即座にその使用を停止し、第三者による悪用を防ぐことができる仕組みとなっております。高齢者施設における暗証番号の共有等の御指摘に対しては、高齢者施設等における利用者のマイナンバーカードの管理については、暗証番号を法定代理人以外の者に知らせることは適当でないこと、暗証番号の設定が不要なマイナンバーカードの発行の準備も進めていることについて、厚生労働省においてマニュアルを作成し、施設向けにお示しをしております。このように、課題を一つ一つ解決をして、メリットを丁寧にお伝えすることを通じて、国民の皆様方が安心してマイナ保険証を御利用いただける環境を一刻も早く実現していきたいと考えております。
○宮本(徹)委員 時間が来ましたから終わりますけれども、日本の学者の皆さんが、皆さんで、このままだと本当に大変な犯罪が起きる、成り済ましが起きる、こう警告されていることについて、もっと真剣に政府は受け止めなきゃいけないと思いますよ。マイナンバーカードを使った成り済ましが起きたら、本当にいろいろなことができちゃうわけですからね。健康保険証じゃできないようなこともマイナンバーカードではできてしまう、マネーロンダリングにまで使われかねない、こういう指摘がされていることに対して真面目に受け止めて、根本からこの問題を考え直す、健康保険証廃止はあり得ない、そのことを申し上げまして、質問を終わります。