2024年3月13日 衆院厚生労働委員会 公立校スクールカウンセラー雇用守れ 都雇い止め計画告発
配付資料 出典:東京公務公共一般労働組合心理職ユニオン提供資料
配付資料 出典:消費者庁ホームページ
配付資料 出典:厚生労働省提出資料
日本共産党の宮本徹議員は13日の衆院厚生労働委員会で、東京都が公立学校のスクールカウンセラー(SC)を大量に雇い止めにしようとしている問題で、文部科学省に雇用の安定を図るよう迫りました。
東京都のSCは以前、10年、20年と更新できましたが、会計年度任用職員制度で公募によらない再任用の上限は4年となり、子どもの悩みに寄り添うSCが250人も3月末で雇い止めになることが明らかになっています。
宮本氏は「学校長からA評価を受けるなど、学校からも継続を望まれた方々が大量に不採用になる事態が起きている」と指摘し、自治体に雇い止めの解消を求める通知を出すべきだと要求。阿部俊子文科副大臣は「安定的な任用のもとに適切な人材の確保により、児童生徒の相談対応が行われることが望ましい」と答えました。
宮本氏は「勤務実績や評価が採用基準とならず、短時間の面接のみの選考で、圧迫面接もあったと聞く」として、不透明な採用方法も問題だと指摘。「スクールカウンセラーが管理職の顔色をうかがって萎縮してしまったら、子どもたちの権利を守る立場で働けなくなる」と述べ、文科省に調査を求めました。阿部副大臣は「学校現場での活動実績等についても、十分踏まえた上で選考を行ってほしい旨を示している」と答弁しました。
以上しんぶん赤旗ホームページ2024年3月16日配信記事から抜粋
≪2024年3月13日 第213回国会衆院厚生労働委員会第2号議事録≫
○新谷委員長 質疑を続行いたします。宮本徹君。
○宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。今日は、まず、東京都でのスクールカウンセラーの大量の雇い止めの問題についてお伺いしたいと思います。二百五十名も雇い止めされました。従前は十年、二十年と更新することができたわけですが、会計年度任用職員の制度が始まりまして、東京都は、公募によらない再任用の上限を四回として、あとは公募に応じてくださいとなりました。今回の公募ではこれまでの勤務実績や評価は採用基準とせず、面接だけで合否を決めたとされております。その結果、学校長がA評価をつけたなど学校からも継続を望まれた方々が大量に不採用になるという事態が起きております。御存じのとおり、スクールカウンセラーは、子供、保護者、学校教員を継続的に支援する専門職であります。リストカットを繰り返している子供の相談に乗って、命を守る仕事もしているわけであります。今回の事態で、私も当事者の皆さんにお話をお伺いをいたしましたが、突然の雇い止めで子供たちが不安になって泣いている、保護者も先生がいなくなったら誰に相談すればいいのかと不安になっている、若い教員も、私、どうすればいいの、こう言ってくるというわけですね。今日、労組が集めたアンケートもお配りしておりますけれども、自分の不採用で学校現場が困惑していると答えた方が六五%にも上る事態であります。今起きている事態は、子供が安心して相談できる環境とはとても言えないと思います。スクールカウンセラーの雇用の安定を図る必要があると思います。資料の後ろに、十六ページ目のところに、消費者庁が消費生活相談員について会計年度任用職員制度が始まったときに出した通知をつけました。こう言っているんですね。任用回数に一律に制限を設けることなく専門性に配慮した任用と処遇をお願いすることは変わりません、引き続きいわゆる雇い止め解消に御協力をお願いいたしますと。同趣旨のものは厚労省が婦人相談員についても出しているわけですけれども、こうした同様の通知をスクールカウンセラーについても文科省は出すべきだということを、私、この間求めてまいりましたけれども、検討はどうなったでしょうか。
○あべ副大臣 宮本委員にお答えいたします。スクールカウンセラー、この採用条件、任用方法につきましては、各自治体の権限と責任の下に適切に判断されるものでございまして、お尋ねの東京都の事案につきましても、東京都教育委員会の判断によるものと認識しております。文部科学省といたしましては、不登校児童生徒が増加するなど、学校や教師が直面する課題が多様化、複雑化する中にございまして、教師とは異なる専門性を有するスクールカウンセラー等が果たす役割は重要であるというふうに考えておりまして、職務の遂行上必要となる専門性を考慮するなどして十分な能力を持った者を任用することが大切だと、委員のおっしゃるように考えているところでございます。御提案の件につきましては、繰り返しになって大変申し訳ございませんが、スクールカウンセラーの採用方法、任用方法に関しましては、各自治体の責任と権限の下に適切に判断されるべきものでございまして、各教育委員会などにおきまして、様々な悩みを抱える児童生徒に対し適切な対応がされるような体制整備に努めていただきたいと考えているところでございます。以上です。
○宮本(徹)委員 各自治体の権限と判断だということをおっしゃるんですけれども、スクールカウンセラーの制度自体は国の制度としてやっているわけですよね、ですから、当然、国として、スクールカウンセラーの雇用はどうあるべきなのかというのは示してしかるべきだと思うんですよ。消費生活相談員では示している、婦人相談員では示している、しかしスクールカウンセラーについては、雇い止めを解消すべきだ、こういうことは言わないというのは、スクールカウンセラーの仕事というのは消費生活相談員や婦人相談員みたいに雇用の安定は図らなくていいという逆のメッセージにもなりかねないと思うんですよね。そこはしっかり検討される必要があるんじゃないでしょうか。
○あべ副大臣 宮本委員にお答えいたします。本日の午前中に追加でいただきましたものでございまして、十分なお答えができるかどうか分かりませんけれども、しっかりと答弁をさせていただきたいというふうに思います。文部科学省といたしましては、各学校の現場において、様々な課題を抱える児童生徒等に対して適切な対応が実施されるような体制を整備することが、委員のおっしゃるように重要だというふうに考えているところでございます。そのため、文部科学省においても、毎年度の予算についてスクールカウンセラーの配置充実を進めているほか、会計年度の任用職員の任用に関する運用マニュアルの周知を行っているところでございまして、御指摘の通知を出していないことのみをもって、スクールカウンセラーについての業務の継続性や雇用の安定性を求めていないという指摘は当たらないものと認識しております。以上でございます。
○宮本(徹)委員 私、午前、文科委員会の議論、大臣の答弁を聞いて、それで加えて聞かせていただいたわけですけれども。今の答弁でいうと、通知を出していないことをもって雇用の安定を求めていないわけではないということは、雇用の安定は求める立場だということでよろしいわけですね。
○あべ副大臣 宮本委員にお答えいたします。スクールカウンセラーの活用に当たりましては、一般的には、安定的な任用の下に、適切な人材の確保によりまして児童生徒への相談対応が行われることが望ましいと私どもも考えているところでございます。そのため、文部科学省といたしましては、令和六年度予算について、この案につきまして、スクールカウンセラーの配置時間において、全ての公立小中学校に対して行う基礎配置に加えて、いじめ、不登校対策や虐待対策、貧困対策などに対して課題に応じた重点配置を一万校に対して行い、配置時間の充実を図っているところでございます。その上で、実際のスクールカウンセラーの任用については、各自治体の権限と責任の下、御判断をいただくものと考えているところでございます。以上でございます。
○宮本(徹)委員 いや、配置のことを今日聞いているんじゃないんですよね。雇用の安定のことを伺っているんですよ。安定的な運用ということをおっしゃいますけれども、その安定的な運用というのは、雇用の安定も入るということでよろしいんですか。
○あべ副大臣 宮本委員にお答えさせていただきます。繰り返しになって大変申し訳ないのでございますが、スクールカウンセラーの活用に当たりましては、一般的には、安定的な任用の下に、適切な人材の確保により児童生徒への相談対応が行われることが望ましいと私どもも考えているところでございます。
○宮本(徹)委員 安定的な運用じゃなくて、安定的な任用とおっしゃったわけですね。安定的な任用というのは、安定的な雇用だと。そういう考え方を持っているということですから、だったら、通知をしっかり出して東京都にも指導していただきたいと思いますので、今日のやり取りを踏まえて、大臣とも是非御相談をいただきたいというふうに思うんですね。東京都でいうと、一校、二校、三校と、何校担当しているかにもよるんですけれども、二校担当したら年収でいえば大体四百万ぐらい、三校担当していれば六百万円ぐらいの年収なんですね。これが突然なくなるわけですよ。生活設計が壊れちゃうわけですね。ですから、私、お話を聞きましたら、家を手放した、子供の学費が払えない、離婚した、うつを発症した、こういう話が既に起きているわけであります。労組の調査では、経験がある人ほど雇い止めされていると。採用された方も、明日は我が身と、憤りと不安が広がっております。学生の中でも心理職を選んで将来の見通しが立つかと動揺が広がっていると聞きました。今日配っている資料の一番最後のページに、日本公認心理師協会の声明も載せておきました。この中でも、単年度ではなくて継続して雇用する形としてほしいということが書かれております。公認心理師の所管というのは、厚生労働省も所管なんですよね。ですから、公認心理師の雇用の安定というのは、もちろん相談者との関係でもそうですし、なり手の確保ということでも私は非常に重要なことだと思うんですけれども、大臣の認識もお伺いしたいと思います。
○武見国務大臣 公認心理師は、公認心理師法に基づいて、保健医療、福祉、教育その他の分野において、心理学に関する専門的知識及び技術をもって、心理に関する支援を要する者に対して、様々な機関、当然学校が入りますけれども、等において支援を実施するなど、重要な役割を担っております。公認心理師が安心して働くことができる環境整備は重要であるという認識を持っております。そこで、厚生労働省としては、公認心理師の活動状況や支援内容を明らかにするための調査、これは令和五年度公認心理師活動状況等調査でございますけれども、これを実施しているところであり、その調査結果を踏まえて、引き続き、公認心理師が各分野において活躍できるよう、公認心理師の資質の向上をさせることなど、必要な取組を確実に進めていきたいと考えます。
○宮本(徹)委員 公認心理師法、これは議法で作ったわけですけれども、このときの議論では、これが待遇の改善、身分保障につながることを期待したいと、当時、自民党の議員の方が提案者として答弁されているわけですよね。それと逆行する事態が今起きているわけですから、これは本当に、与野党超えて、スクールカウンセラー職の雇用の安定のためにちょっと力を尽くさなきゃいけないんじゃないかと思います。加えて、これまで現場で高く評価されてきたのになぜ不採用になったのか、スクールカウンセラーの皆さんは全く示されていないということをおっしゃっておられます。そして、面接が職業能力を判断できるようなものではなかった、圧迫面接があったという声も複数寄せられております。ある面接では、管理職にどれだけイエスと言えますか、あなたのカウンセリングの仕方が間違っていると管理職に言われた場合どうするんですか、管理職に修正してくれと言われたときにどうするかという趣旨のことを聞かれた、こういう話なんですね。スクールカウンセラーというのは、教員から子供への暴言、暴力などがあった、大人と子供の利害対立があった場合、子供の側に立つのがスクールカウンセラーの仕事なわけですね。このスクールカウンセラーが学校の管理職の顔色をうかがって萎縮するようなことになったら、子供たちの権利を守る立場で動けなくなってしまう、これが恣意的な採用、不採用の一番の大きな問題だとお伺いしました。不透明な採用の仕方によってスクールカウンセラーが自らの雇用を守るために萎縮してしまって、子供の権利を守る立場で動けないような事態を招いては決してならないと思いますが、いかがですか。
○あべ副大臣 宮本委員にお答えいたします。東京都のスクールカウンセラーの採用基準の明確化、採用プロセスのところでございますが、採用条件につきましては各自治体の権限と責任の下に適切に判断されるものと認識しているところでございまして、文部科学省といたしましては、教師とは異なる専門性を有するスクールカウンセラーが果たす役割は大変重要だと、宮本委員と同じように考えておりまして、スクールカウンセラーに求められる一般的な役割についてはガイドライン等において周知するなど、教育支援体制の充実に努めているところでもございます。引き続き、学校における教育相談体制の構築のため、必要な支援の充実に努めていくところでございます。また、もう一つ御質問のございました、萎縮して子供の権利を守る立場で動くことができない事態は招いてはならないという御懸念の点でございますが、スクールカウンセラーは児童生徒のニーズを踏まえ心理的な支援を行う専門職であると私どもも考えておりまして、学校の教職員として校長の監督の下でその職務に従事することとされているところでございます。スクールカウンセラーを任用する各自治体において、こうしたスクールカウンセラーの職務の性質等を踏まえた上で、適切な教育相談体制が整えられることが重要だというふうに、宮本委員と同じように考えているところでございますので、文部科学省としてもしっかり取り組んでまいりたいと思いますので、よろしくお願いします。
○宮本(徹)委員 どこが同じなのかという声が上がっているわけでございますけれども、やはりこういう不透明な採用の仕方というのは、本当にこれはまずいと思います。これまで通例的に任用が継続してきたので、子供の側に立って頑張ることができたわけですよね。もし学校の先生と、あるいは管理職と対立するようなことがあってその学校から配置転換されても、別の学校に配属されていたわけですよ、今までは。ところが、今度のようなやり方になったら、子供の側に立って管理職や学校の先生と代わりに対立するようになったときに、理由も知らされずに雇用が継続されないということが起きるんじゃないか、こういう不安に駆られる事態になってしまうわけですよ。そうして、本当に子供のために動けるのかということになります。ですから、私は、こういうやり方というのは、一番犠牲になるのは結局子供になってしまうんじゃないかと思うんですね。今回、都教委は公募による選考は面接と書類選考だけでやっているわけですが、このスクールカウンセラーの採用選考について、短時間の面接だけではなくて、やはり勤務実績や評価も加えて行う方が適正に私は判断ができると思うんですけれども、そういうところをしっかり明確にする必要があると思いますけれども、いかがでしょうか。
○あべ副大臣 宮本委員にお答えさせていただきます。文部科学省としては、不登校児童の生徒が増加するなど、学校や教師が直面する課題が多様化、複雑化する中にありまして、教師とは異なる専門性を有するスクールカウンセラーが果たす役割は大変重要だというふうに考えております。そのため、職務の遂行上必要となる専門性を考慮するなどいたしまして十分な能力を持った者を任用することがまさに大切でございまして、文部科学省のスクールカウンセラーの活用事業に関するQアンドA、先生もお読みになっているというふうに思いますが、ここにおきましても、任用に当たっては面接等を通じて活動実績等についても十分踏まえた上で選考を行ってほしい旨を示しているところでございます。繰り返しになって申し訳ございませんが、スクールカウンセラー等の採用条件や任用方法については各自治体の権限と責任の下に適切に判断されるものでございますが、各教育委員会におきましても、様々な悩みを抱える児童生徒に対して適切な対応がなされるよう、体制整備に努めてまいりたいと考えているところでございます。
○宮本(徹)委員 QアンドAの中で、活動実績等を十分に踏まえて選考しなさいと書いてあるんですよね。その活動実績というのは、その前にちゃんと修飾語がついていますよね、学校現場での活動実績等を十分に踏まえて選考してくださいと書いているわけですよね。ところが、今回は学校現場からA評価が上がった方々が落とされる、そうしたものは今回は考慮に入れない、短時間の面接だけ、しかもその面接の中身はあたかも初めから落とすのが決まっている人がいるかのような圧迫面接が幾つも確認されている、こういう話なんですよね。これはちょっと余りにもやり方がひどいと思いますので、これはしっかり文科省としても調査をしていただきたいと思います。今日、総務省に来ていただきましたが、総務省が出しております「会計年度任用職員制度の適正な運用等について」という通知では、複数回の任用が繰り返された後に、再度の任用を行わないこととする場合には、事前に十分な説明を行う、ほかに応募可能な求人を紹介する等配慮をすることが望ましいとあります。東京都のやっていることというのは、この通知に反するんじゃないですか。
○馬場副大臣 お答えします。会計年度任用職員に関して、結果として複数回にわたって同一の方を同一の職務内容の職に再度任用している場合に、何の予告もなく再度の任用を行わないことは、その方に多大な影響を及ぼすことが想定されます。御指摘の通知に関しては、このような事情を踏まえ、事前に十分な説明を行うなどの配慮が望ましいことを助言しているものでありますが、一律の対応を義務づけているものではありません。こうした対応を含め、会計年度任用職員の任用に係る具体的な運用については、制度の趣旨に反しない限りにおいて各自治体の判断に委ねられているものであり、各自治体において、通知の趣旨を踏まえ、適切に対応いただきたいと考えております。
○宮本(徹)委員 通知の趣旨を踏まえていないから質問させていただいているわけですね。ですから、ここは、ちゃんと通知の趣旨を踏まえなさいと総務省からも是非働きかけていただきたいと思います。一般的に、民間でいったら、こんな、雇い止めの理由も示さずに雇い止めするというのは許されないですよね。民間の労働契約について、ちょっと大臣、紹介してください。
○武見国務大臣 議員御指摘の民間の労働者のケースでありますけれども、有期労働契約に関しては、労働者と使用者との間の紛争を未然に防止するために、労働基準法第十四条第二項に基づく告示として、有期労働契約の締結、更新及び雇い止めに関する基準を定めております。この告示では、使用者が有期労働契約を更新しない場合において、更新しない理由についての証明書を労働者が請求したときには遅滞なくこれを交付しなければならないということとされておりまして、これに違反した場合には労働基準監督署による指導が行われます。
○宮本(徹)委員 民間でいえば労基署から指導されるようなことが、自治体現場ではまかり通っているわけですよね。なぜ自分が雇い止めになったのかも示されない、これは本当に、公務の現場こそしっかり正されていかなきゃいけないと思いますので、こういう点は、民間の労働法制に、労働契約の関係に是非倣った対応を公務の現場でもやっていただきたいと思います。残された時間で、障害福祉の報酬改定についてお伺いしたいと思います。就労継続支援B型では、平均工賃月額の算定方法の改善だとか、あるいは利用者六人対職員一人という新たな報酬体系の創設がある一方で、従来の職員配置の基準では、平均工賃一万五千円未満の基本報酬が全部減額されております。地元の就労継続Bの事業所でも、このままいけば年間百七十万円の減収になる、今でもぎりぎりの収支状況でやっているので大幅な赤字になる、こう言われました。お伺いしたいんですけれども、経営実態調査で、就労継続支援B型での赤字の事業所の割合は幾らなのか。そして、平均工賃一万五千円未満の事業所に限れば赤字の事業所の割合は幾らなのか。今回の報酬改定で、就労継続支援B型で基本報酬が減収となる事業所の比率をどの程度と見込んでいるのか、お答えいただけますか。
○辺見政府参考人 お答え申し上げます。令和五年経営実態調査におきまして、就労継続支援B型事業所全体のうち、収支差がマイナス、いわゆる赤字となっている事業所の割合は四三・三%となっているところでございます。一方、同調査においては平均工賃月額を調査項目としておりませんので、平均工賃月額ごとの収支差は把握をしていないところでございます。また、御指摘のように、基本報酬が減額になる事業所の比率の試算は行っておりませんが、今回の就労継続支援B型の基本報酬の見直しは、障害者の工賃の更なる向上の観点も含めて、報酬全体を見直すものでございます。また、事業所の収支は、基本報酬だけでなく、各種加算も含めた報酬により決まるものであることから、御指摘のような形で、部分的な基本報酬の改定のみで収支について評価をするということは適切でないと考えております。
○宮本(徹)委員 四三・三%は赤字ですから、今日もずっと議論になっております訪問介護の赤字比率が三六%ですから、それよりも障害福祉の就労継続Bの方が赤字の事業所の比率は高いわけですね。恐らく、基本報酬が低いですから、平均工賃一万五千円未満だったらこの比率はもっと上がるんじゃないかと思われるわけですよね。今日、田中委員からも指摘がありましたけれども、平均工賃一万五千円未満の事業所は、障害が重い人など支援度が高い人たちが多く通っている事業所であります。そこで報酬を切り下げると支援の水準を下げざるを得ない、こういう事業所も出てしまう。平均工賃は高くなくとも、利用者のために日々尽力している事業所はたくさんあるわけですね。作業が上手でなくとも、安定して通所できるようになることは非常にすばらしいことだと私は思います。平均工賃が低い場合に基本報酬の単価を引き下げるというのは、私は、障害者への合理的配慮に反する、ある意味、障害が重い方に対する差別的な報酬と言ってもいいと思うんですね。そういう認識はございますか。
○辺見政府参考人 今回の障害福祉サービスの報酬改定におきましては、就労継続支援B型につきまして、障害者の経済的自立を促す観点から、工賃の更なる向上のために、平均工賃月額が高い区分については報酬単価の引上げを実施し、あわせて、平均工賃月額が低い区分の報酬単価を引き下げるものでございます。一方、基本報酬の単価設定のほか、更なる手厚い人員配置ができるように、手厚い人員配置を行うことによって手厚い支援が行われるということを評価するものとして、新たに人員配置六対一の報酬体系の創設を行っております。あわせて、工賃目標を達成した場合の加算の新設も行っております。こうしたことを通じて、手厚い支援を評価しつつ、工賃の更なる向上につながるような質の高い支援を行う事業所について、高い報酬が得られるような報酬体系としているところでございます。なお、障害者への合理的配慮につきましては、事業者が事業を行うに当たり、障害者から社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があり、その負担が過重でないときには合理的配慮を行うということを求めているものと認識をしておりまして、お尋ねの部分の報酬改定につきましては、合理的配慮に関連するものとは考えていないところでございます。
○宮本(徹)委員 平均工賃が高ければ質が高い支援だ、こういう考え方自体が障害福祉の考え方と違うと私は指摘をしておきたいと思います。そして、六対一を取れば報酬は上がるじゃないかという話がありました。確かに、六対一を取れば報酬は上がります。私の地元の事業所の中でも、頑張って六対一にしようとしているところもあります。ただ、問題は、物すごい人手不足なんですよ。一年かかってやっと一人応募があって採用できた、こういうところもあれば、ずっと応募を求めていても、一年たっても応募は来ない、こういう事業所もあるんですね。それだけの大変な深刻な人手不足の下で、六対一があるから大丈夫ですよという話にはならないんじゃないですか。これは多分、与野党を超えて、皆さんの地元でも同じことが起きていると思いますよ。ですから、これはちゃんと、基本報酬が下がるというのはやめるべきだと思いますが、大臣、いかがですか。
○武見国務大臣 御指摘の趣旨は理解をいたしますが、実際に障害者に関わるこうした基本報酬の単価の設定というものについては、先ほどから担当が説明しておりますように、やはり、更なる手厚い人事の配置ができるように新たな人員配置六対一の報酬体系の創設を行ったり、工賃目標を達成した場合の加算の新設などを行っておりますので、こうした支援の質の向上ということを考えながら障害者の工賃の更なる向上を図るという考え方は、私は適切だと思います。
○宮本(徹)委員 私は先ほど、幾ら六対一を新設しても、六対一のために努力をして応募をかけても人が来ないですよ、それぐらいの人手不足というのが今分かっているんですかということを申し上げているわけですよ。生活介護も、先ほど指摘がありましたけれども、時間払いが導入されて、七時間未満だと報酬が下がり、利用時間六時間未満だと大幅に単価が下がるわけですよね。送迎の時間もあります。でも、送迎をやっている時間というのは、営業時間には入っても利用時間には入らないわけですね。ですから、支援区分六のように送迎がなければ生活介護の事業所に来れないような方々、もちろん送迎の時間も介助しているわけですけれども、ここは支援の時間にカウントされない。そうすると、六時間未満になる方がたくさんいるわけですね。ですから、ほとんどの事業所が大幅な、生活介護でいえば、報酬がマイナスになっているんですね。もう質問時間が来ちゃいましたからこれで終わりにしますけれども、本当に、福祉の心で誠実に取り組んでいる事業所の皆さんが人手不足の中で一生懸命支援しているんですから、ここがマイナスになるようなものは絶対やっちゃならないですよ。これは今からでも考え直していただきたい、そのことを強く大臣に申し上げておきたいと思います。終わります。