2024年4月17日 衆院厚生労働委員会 被害数逐次公表せよ 機能性表示食品 宮本議員が要求
日本共産党の宮本徹議員は17日の衆院厚生労働委員会で、複数の機能性表示食品による健康被害について、「企業には保健所にも消費者庁にも報告義務がない。健康を守る上で制度自体に極めて問題がある」と批判しました。
医薬品のGMP(適正製造規範)省令では、微生物などによる汚染を防止する構造設備等が義務付けられていますが、サプリメントのGMPには同様の記載はありません。宮本氏は「サプリのリスクに合わせたGMPをつくる必要がある」と指摘。武見敬三厚労相は「再発防止のためにしっかり検討したい」と述べました。
宮本氏は、機能性表示食品の創設にあたり、規制改革会議ワーキンググループ(WG)では第三者委員会の認定を求める提案がされたものの、事業者が国に届け出れば商品化できる制度に至ったと指摘し、「誰の判断か」と質問。消費者庁を担当する工藤彰三内閣府副大臣は、制度の創設過程を説明した以外、明らかにしませんでした。
宮本氏は「全くのブラックボックスだ」と厳しく批判し、当時の安倍晋三首相が規制改革を打ち出したと述べ、制度創設過程の検証を要求。消費者庁の点検で機能性表示食品18製品中117件の健康被害が寄せられており、「健康被害が多い製品の件数を明らかにせよ」と迫りました。
消費者庁の依田学審議官が「5月中旬に分析結果を公にしたい」と答えたのに対し、宮本氏は「今も流通している可能性が高い。逐次、情報を出してほしい」と求めました。
以上2024年4月18日付赤旗日刊紙より抜粋
≪2024年4月17日 第213回国会衆院厚生労働委員会第13号議事録≫
○新谷委員長 次に、宮本徹君。
○宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。紅こうじの問題について質問をいたします。大臣からは、原因についてプベルル酸以外の可能性もあるということで、今、原因究明しているということであります。同時に、健康被害があったロットを中心にプベルル酸が出ているというのもあるわけです。四月三日の本委員会で、企業任せの製造管理、品質管理では駄目だ、サプリメントなどは原料も含めてGMP認証を義務づけるべきだということを私は求めました。その後、多くの会派からも同様の意見が出る状況になっております。そこで、前回の答弁を踏まえてお伺いしますが、前回の答弁では、健康食品のうち錠剤やカプセルなどの健康食品については、医薬品のGMPに準じる内容でGMPによる安全確保の取組を行うことを推奨しております、こういう答弁がありました。カビの混入を防ぐという観点で見ると、医薬品のGMP省令と厚労省の通知では、どういう違いがあるんでしょうか。
○工藤副大臣 お答え申し上げます。御指摘のカビの混入を防ぐという観点では、医薬品については、薬機法に基づくGMP省令において、微生物等による汚染を防止する構造設備を有する作業室の設置、製品に応じた適切な清掃及び保守の実施などを医薬品製造所の構造設備の基準として定めていると承知しております。他方で、いわゆる健康食品を対象とした令和六年の通知においては、微生物等による汚染の防止については明示はされておらず、また、医薬品のGMP省令のように義務を課しているわけではありませんが、錠剤、カプセル剤等食品の製造者に対して、粉じん等によって製品が汚染されることを防ぐ構造設備であること、作業室の床、壁、天井等の材質は清掃しやすいものであって必要に応じて消毒ができる構造設備であることなどについて担保するよう推奨しているところであります。
○宮本(徹)委員 今お話ありましたけれども、やはり、医薬品のGMP省令に準じるといっても、レベルの差はかなりあるわけですよね。微生物の汚染を防止するというのは、やはり、医薬品ではそこは基準になって義務づけられていますけれども、錠剤とサプリメントの場合は、そもそも義務づけがない上、推奨レベルの上、粉じん等の汚染という、ちょっとやや低いレベルのGMPということになっているわけですね。ですから、もし仮にこの厚労省の通知を義務化していたら今回の事態が防げていたのか、そういう観点での検証も私は必要なのではないのかなと思います。そうした検証を踏まえて、サプリメントはリスクがある、まあ今日も議論されていますけれども、そのリスクに合わせて、GMPですね、構造設備、製造管理、品質管理の基準をこれから作っていく必要があるんじゃないかと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○武見国務大臣 まさに委員御指摘になられたように、厚生労働省では、錠剤であるとかカプセル錠などの健康食品については、令和六年度通知のガイドラインにおいて、民間のGMP認証を受けることを推奨しております。今回の事案については、原因の究明を行っているところでもあります。今後、再発防止のために、食品衛生法体系の中でいかなる施策が必要か、これをしっかりと検討していきたいと考えております。
○宮本(徹)委員 当然、原因究明を踏まえての対策ということになると思うんですけれども、プベルル酸が原因かどうか分からないけれども、カビが混入していたのはかなり……(武見国務大臣「まだ分からない」と呼ぶ)それも分からないということですかね。プベルル酸は青カビがつくると専らメディアで流れていますけれども、そうじゃない可能性もあると。何かいろいろ分かっていそうですね、今、大臣のその感じだと。分かっていることがあればいろいろお話ししていただければと思いますが、いずれにしても、サプリメントのリスクはあるんだから、やはりそれを踏まえた対応を、GMPも含めてしっかり取っていただきたいということを重ねて申し上げておきたいというふうに思います。それで、機能性表示食品の制度は、GMP認証の義務化もなければ、サプリメントの原料の工場については、製造管理はどうしているかという届出すら要らない。届出もしていなかったわけですね、今回の紅こうじサプリも。というものであります。何でこんな制度になっていったのかというのが問題だと思うんですね。規制改革会議のワーキンググループにはいろいろな提案があったわけですけれども、日本健康・栄養食品協会からの提案だったんですね。ここは、理事長さんは、厚労省の健康局長だった下田智久さんが理事長だったわけですけれども、彼が出している提案というのは、今のような機能性表示食品の制度じゃなかったんですね。第三者の認証機関によって、品質の問題、GMP、製造管理の問題、原材料の安全性、こうしたものを認定する、こういう提案になっていたわけですよ。ところが、こういう提案ではなくて、大変緩い、企業が届ければいいという制度ができてしまったわけです。一体これはなぜ、第三者機関に認証してもらおうというものが駄目で、企業の届出でいいという仕組みになってしまった、これは誰の判断なのか、誰の責任なのか、お伺いしたいと思います。
○工藤副大臣 お答え申し上げます。若干長くなりますが、平成二十五年六月十四日の規制改革実施計画の閣議決定に至るまでの過程で、規制改革推進会議の下に置かれた健康・医療ワーキング・グループの検討の際に、御指摘の日本健康・栄養食品協会から、国が直接基準作りや承認を行うというものではなくて第三者にやってもらうのが現実的ではなかろうかなどの意見があったという事実は確認しております。こうした規制改革推進会議において、検討を踏まえ、平成二十五年に閣議決定された規制改革実施計画では、特定保健用食品、栄養機能食品以外のいわゆる健康食品を始めとする保健機能を有する成分を含む加工食品及び農林水産物について、機能性の表示を容認する新たな方策をそれぞれ検討し、結論を得る。その具体的方策については、民間が有しているノウハウを活用する観点から、その食品の機能性について、国でなく企業等が自らその科学的根拠を評価した上でその旨及び機能を表示できるアメリカのダイエタリーサプリメントの表示制度を参考にし、企業等の責任において、科学的根拠の下に機能性を表示ができるものとし、かつ、一定のルールの下で加工食品及び農林水産物それぞれについて、安全性の確保、生産、製造及び品質の管理、健康被害情報の収集も含めた運用が可能な仕組みとすることを念頭に検討を行うとされました。機能性表示食品制度の創設に当たっては、この閣議決定を踏まえ、消費者庁における、食品の新たな機能性表示制度に関する検討会において、医学者、消費者団体、事業者団体などの委員により、安全性確保の在り方などを含めた、平成二十五年十二月から計八回にわたる精力的かつ充実した議論を経て報告書を取りまとめました。その際、参考にすることとされたアメリカのダイエタリーサプリメント制度は、機能性表示に係る科学的根拠等が届出、開示対象となっていないことの理由により、科学的根拠が不十分な製品が流通している可能性や製品の有効性に関する科学的根拠情報が得られない可能性があったため、これらの問題を解決するため、日本における新制度では、国の関与の在り方として、発売前の届出制度の導入が適当との方向性を示したと承知しております。いずれにせよ、安全性の確保の観点も含めて、本事案を受けた本制度の今後の在り方については、今週金曜日より、専門家で構成される機能性表示食品を巡る検討会を開催し、五月末までの方向性を取りまとめるべく、スピード感を持って取り組んでまいります。
○宮本(徹)委員 別に経過を聞いているわけじゃないですよね。誰の判断でそうなったのか。一方の提案は排除されて、一方の提案は採用されていったというのは、全くブラックボックスなんですよ。結局、安倍総理が、世界で一番企業が活躍しやすい国だと規制改革を打ち出して、そして、安倍さんのゴルフ仲間である森下竜一さんを規制改革委員のメンバーに選んで、その路線で全部進んでいったんじゃないんですか。そういうところも含めて全部検証しないと駄目ですよ。そのことを強く求めておきたいと思います。次の質問に行きます。消費者庁の点検で、機能性表示食品のうち、十八製品で百十七件の健康被害の情報が医療従事者から事業者に寄せられておりました。午前中も議論があったわけですけれども、改めてお伺いしますけれども、この十八製品で寄せられた健康被害情報が多い製品、これについて何件寄せられていたのか明らかにしていただけますか。もし午前中のように明らかにできないという場合、理由もまともに示さずの答弁は許されないですよ。私は通告、何日も前からしていますからね。
○依田政府参考人 お答え申し上げます。委員御指摘の、先週末の時点で公表いたしました十八件、延べ百十七件について、製品ごとの症例数を明らかにせよという御指摘と理解しておりますけれども、製品ごとの症例件数につきましては、症例について事業者さんごとに報告内容にばらつきがちょっとございまして、精査が必要な状況でございます。したがいまして、現在、追加的な聞き取りも必要な状況でございます。いずれにしましても、医師等の専門家により、健康被害との因果関係も含めて分析の上、その結果を公表することとしたいと考えております。その専門家の分析は、症例数が百件を超える状況でございますので、一定のお時間をいただきたいというふうに存じます。急ピッチで体制を整えておりますけれども、恐らく連休明けから五月中旬ぐらいまでになってしまうかと思いますが、分析結果が出次第、公にさせていただきたいと思っておりますので、御理解のほど、よろしくお願いいたします。
○宮本(徹)委員 なかなか理解はしづらいわけですけれども。今の話では、報告にばらつきがあるというのは、報告の信頼性、信憑性といいますか、報告レベルに差があるということで、このままの数字ではちょっと、同じ基準での数字にならないという説明だということですか。
○依田政府参考人 お答え申し上げます。委員御指摘のとおりでございまして、真面目にこつこつと報告していただいているところもあれば、ざくっと報告しているような事業者さんもおりますので、ベースラインを少し整理した上で、分析結果につきましては、いずれにしても、専門家の観点から健康被害の因果関係も含めて分析した結果を公にさせていただければというふうに考えております。
○宮本(徹)委員 ベースラインをそろえてという話ですけれども、ただ、今日の午前中の議論を聞いていましても、それがまだ流通し続けている可能性が高いわけですよね。なおかつ、もしかしたら、それが十件とかじゃなくて、二十件、三十件、四十件と被害情報が寄せられている製品もある可能性もあるわけですよね。それは本当に、消費者から見たらこれほど心配なことはありませんので、本当に早急に、五月という話がありましたけれども、もっと可及的速やかに、出せる情報は逐次でも、聞き取りが終わり次第出していただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。最後ですけれども、これも早稲田さんからお話がありましたけれども、今回の健康被害について事業者から保健所や消費者庁には連絡はなかった、これについて、ガイドラインに沿った対応なのかどうか今整理しているという答弁がありましたけれども、普通に読めば、速やかに報告はしていないと、不十分な情報でも速やかに報告するというのには背いているわけですけれども、同時に、このガイドラインの後ろ側には、事業者が判断して報告するというのがあって、このガイドライン自体が大変中途半端なものなんじゃないかと言わざるを得ないんですけれども、いかがですかね。
○新谷委員長 依田審議官、簡潔にお願いいたします。
○依田政府参考人 はい。現在のガイドラインとの適用関係については、先ほど御答弁申し上げましたように、確認中ということでございます。いずれにしましても、この健康被害の報告のルールの在り方も含めて、五月末に向けた、本事案を受けたこの制度の在り方についての検討ということに反映していきたいということでございます。
○宮本(徹)委員 これだけ健康被害が寄せられていても、ガイドライン違反だということを朝からおっしゃらないわけですよね。ですから、複数の健康被害、しかも同様の被害が寄せられているにもかかわらず……
○新谷委員長 申合せの時間が経過しておりますので、御協力をお願いいたします。
○宮本(徹)委員 保健所にも消費者庁にも寄せられない、こういう制度自体が健康を守る上では極めて問題だということを申し上げまして、質問を終わります。
○新谷委員長 次に、緒方林太郎君。